【テレビ作品】


昭和39年1月5日(日) 放映


日本名作ドラマ

「浮草」


NETテレビ 
22時00分〜23時00分(60分)白黒作品
演 出土屋達一郎原 作小津安二郎




【出演】

柳永二郎(駒十郎)藤間紫(すみ子)加賀まり子(加代)杉村春子(お芳)岸田森(清)
宮口精二西村晃殿山泰司天知茂 



【物語】


ドサ回りの一座の座長、駒十郎(柳永二郎)は、
昔の女、お芳(杉村春子)のいる田舎町へ興行しに行くことになる。
女には駒十郎の子供がいて、
立派な青年、清(岸田森)になっていた。
そして、駒十郎をおじさんだと思い込まされている。

駒十郎の情婦で、一座の看板女優でもあるすみ子(藤間紫)は、
昔の女に嫉妬して、妹分の女優、加代(加賀まり子)に
清を誘惑するように仕向けた。
騒動が起こり、清は実の父親の事を知ってしまう…。


【解説】


昭和38年1963 に死去した巨匠、小津安二郎の追悼ドラマとして正月に放映された。
小津安二郎が、昭和9年1934 と昭和34年1959 に二度映画化した作品のテレビ版リメイク。
文学座からは、岸田森のほかに、杉村春子と宮口精二が出演している。
文学座時代、岸田森と杉村春子のコンビは、意外と多い。


【岸田森の役】



お芳(杉村春子)の息子だが、
実の父を、おじさんだと言われていた駒十郎(柳永二郎)だと知って悩む。








昭和39年2月23日(日)放映


東芝日曜劇場

「橋の下」



TBSテレビ放映 
21時00分〜22時00分(60分)白黒作品
演 出辻道勇原 作山本周五郎脚 本生田直親


【出演】

三國連太郎(老人)杉村春子(老婆)岸田森(源之丞)西田昭市(伊織)斎田アナウンサー(ナレーター)


【物語】


源之丞(岸田森)は、一人の女をめぐって、
竹馬の友・伊織(西田昭市)と果たし合いのために、約束の河原へとやって来た。
静かな夜明け、河原に先に着いた源之丞は
橋の下の小屋に住んでいる、
城下でも有名な乞食夫婦(三國連太郎、杉村春子)に出会う。
老人は、源之丞の羽織の下に果たし合いの装束を認め、
問わず語りに自分の過去を語り始めた。

この老乞食もかつては武士で、
いまの妻を親友と張り合って討ち果たしたものの、
その過去の傷を忘れることが出来ず、流れ歩いているのだ。
もし、あの時一服のお茶でも飲んでいたら、
あんなことにはならなかったであろうと、今でも後悔の念ひとしおだという…


【解説】


東芝日曜劇場の一本。
山本周五郎の短編が原作。
対話劇のように構成された作品である。
ここでもまた、杉村春子とコンビを組んでいる。
岸田森は、この頃すでに重要な役に抜擢されるようになっているのがわかる。


【岸田森の役】

源之丞

一人の女をめぐって、幼友達と決闘することになってしまう。


関連作品

東芝日曜劇場

東芝日曜劇場「星形」(昭和38年1963
東芝日曜劇場 女優シリーズ14 「サファイヤ・ミンク」  (昭和39年1964
東芝日曜劇場 第835回「−茶の花匂う−より あによめ」  (昭和47年1972









昭和39年3月4日(水)放映


講談ドラマ

「あづさ弓の歌」



NHK総合テレビ放映 
20時00分〜21時00分(60分)白黒作品
演 出広江均増田耕


【出演】

河津清三郎(近藤忠左衛門)一の宮あつ子青柳美枝子花ノ本寿池田秀一
大塚国夫浦辺粂子岸田森一竜斎貞花(口演) 


【物語】


官軍から和平勧告を受けた会津藩では、
家老の近藤忠左衛門(河津清三郎)が恭順を説いていた。
しかし多くの人たちは、徳川家の恩義に報いるため、
藩のメンツにかけて戦い抜こうといきり立っていた。

血気にはやる白虎隊の若者たちは、
忠左衛門の態度に激怒し天誅を加えようとする。
そして、白虎隊の隊員である源之丞に、父の暗殺を迫った。
そんな中で、会津藩主松平容保は
忠左衛門の意見を採り入れ、恭順降伏せよと裁可したが…。


【解説】


白虎隊の少年達が、若い命を散らした悲劇的な会津戦争。
なぜそのような悲惨な戦争に、会津藩が突入しなければならなかったかを、
家老の近藤忠左衛門一家を中心に描く。


【岸田森の役】

岸田森の役は不明だが、近藤忠左衛門の一家の一人と思われる。








昭和39年3月29日(日)放映


東芝日曜劇場

女優シリーズ14「サファイア・ミンク」



TBSテレビ放映 
21時00分〜22時00分(60分)白黒作品
演 出蟻川茂男脚 本松山善三


【出演】

江利チエミ(矢野芳子)菅原謙二(上林)渥美国泰(玉木雄作)岸田森(秋山和夫)岩本多代(水原きん子)
木村俊恵(岸ひさ子)近藤準(小島老人)   


【物語】


矢野芳子(江利チエミ)は、高級毛皮洋品店の縫子をしていた。
ある日、サファイア・ミンクのコートにマチ針を縫い込んでしまい、
客から突き返されてしまった。
あわてて仕立て直した芳子は、
コートのポケットにわび状を忍ばせて届けた。
だが、この手紙を見た、注文主の兄、上林(菅原謙二)が、
芳子の誠意に打たれ、そのコートを着て町を歩いて見ないかと誘ってくれたのである。
豪華なコートを着て町へ出た芳子は、
コート一枚で世間の目が余りにも違うのにびっくりした…。


【解説】


人間を表だけで判断しがちな現代社会を風刺した作品。
脚本家としても有名な『名もなく貧しく美しく』(昭和36年1961 )等の監督、松山善三が、
いままでの江利チエミと違ったものを引きだそうという
製作者の意図を受けて、書き下ろした作品である。


【岸田森の役】

秋山和夫

芳子(江利チエミ)の勤める高級毛皮製品店のデザイナー助手。
ヘマばかりの芳子を力づけているうちに、
彼女に好意を持つようになる。


関連作品

東芝日曜劇場

東芝日曜劇場「星形」(昭和38年1963
東芝日曜劇場 「橋の下」  (昭和39年1964
東芝日曜劇場 第835回「−茶の花匂う−より あによめ」  (昭和47年1972









昭和39年4月2日(水)放映


七人の刑事

第112話「春の愁い」



TBSテレビ放映 
20時00分〜20時56分(56分)白黒作品
演 出山田和也脚 本砂田量爾


【出演】

堀雄二(赤木係長)芦田伸介(沢田部長刑事)菅原謙二(杉山刑事)佐藤英夫(南刑事)城所英夫(中島刑事)
美川陽一郎(小西刑事)天田俊明(久保田刑事)渡辺文雄(岡田健之助)岸田森(福島勝男)森野五郎(福島の父)


【物語】


日報社会部記者の岡田(渡辺文雄)は、
酒に酔ってバーのホステス、河村トミ子のアパートを訪ね、
寝ている彼女の脇で眠り込んでしまう。
ところが、翌朝目を覚ますと、
トミ子はすでに絞殺された後の死体だった。
岡田は迷わず飲み仲間の南刑事(佐藤英夫)に連絡した。
といったところで、相手は警視庁の刑事。たとえ知り合いの社会部記者でも容赦はしなかった。
飲み仲間とはいえ、取り調べは厳しく、岡田は容疑者にされてしまう。
岡田は、自分の手で犯人を捕まえようと、トミ子の男関係を調べた。
そんな岡田を、捜査一課の刑事たちもマークする。
やがて、同時に犯人らしい男を突き止めた…。


【解説】


殺人、強盗などの凶悪犯罪を追う
警視庁捜査一課の刑事を主人公にした刑事ドラマの元祖。
堀雄二、芦田伸介、菅原謙次、美川陽一郎、城所英夫、佐藤英夫、天田俊明の七人の刑事の活躍を描く。

昭和36年1961 10月に放映が始まって以来、
昭和44年1969 4月まで、全382回放映される大ヒット番組となる。
しかし、ビデオで撮影されていたために、
現在映像がほとんど残っていない。
残念ながらこのエピソードは残っていないようだ。
メディアによっては「供述調書」というサブタイトルで紹介されているものもある。


【岸田森の役】

福島勝男

殺されたトミ子に、純情に打ち込んでいた一流大学の学生。
犯行当日にアリバイが無く、
岡田(渡辺文雄)につきまとわれる。
そして、犯行現場から指紋が出てきたことから容疑者となる








昭和39年5月8日(金)放映


近鉄金曜劇場

「剣」



TBSテレビ放映 
20時00分〜20時56分(56分)白黒作品
演 出高橋一郎原 作三島由紀夫脚 本山田正弘


【出演】

加藤剛(国分次郎)蜷川幸雄(賀川幸雄)高津住男(高木戸達)真船道朗(壬生始)浜田晃
新克利岸田森村上允俊荒谷甫水藤林正巳
北見治一清水將夫   


【物語】


剣道部の一年生、壬生(真船道朗)にとって、
主将の国分(加藤剛)は尊敬の対象だった。
剣に強く、意志も強い。
そして異常なまでに孤独で純粋な生き方を主義としていたためである。
剣道部員には厳しい規律を課し、過酷な修練を強要する。
それは国分自身にとって、必要不可欠な手段だったが、
ほかの部員にとっては耐え難いものだった。

そんなある日、近づいた全日本選手権のために、
剣道部は西伊豆の田子で合宿をする。
かし、国分が合宿を離れたその留守の間に、
副将格の4年生賀川(蜷川幸雄)が、規律を破り、部員達と海に入ってしまう。
一人壬生だけが規律を守って残っていたが、
やがて国分が帰ってくるのを見るや、衣服をかなぐり捨てて海へ走った。
自分だけよい子になっている偽善に耐えられなかったのだ。

自分をもっとも尊敬していた後輩にそむかれたその瞬間、国分の世界は崩れた。


【解説】


三島由紀夫の短編小説「剣」のテレビドラマ化。
各劇団の若手俳優が剣道部員を演じ、
出演者が全て男性ということで話題になった。
同年に大映から市川雷蔵主演、三隅研次監督で映画化されている。

後に、何本も岸田森と仕事をする事になる高橋一郎ディレクターの演出デビュー作。
意欲的な演出シーンが各所に見られ、見所が多い。
特に、剣の理想を語る国分のバックに、現実社会の映像を投影して、
理想と現実の違いを画像面で見せたり、
自殺した高木戸のシーンに、明るい音楽をバックに流すなど、
丁寧で凝った演出を見せる。
剣道シーンはかなり本格的で、実際練習をかなり積んでからの撮影だった。


【岸田森の役】

剣道部部員の一人

本編では役名などの詳しい説明はないが、
四年生で剣道部の幹部の一人だと思われる。
所々セリフがあり、練習のシーンでは前の方で訓練をしている事が多い。
実際、この撮影では剣道のコーチも担当しており、
剣道シーンの臨場感を盛り上げるのに、一役買っている。
合宿の最終日、打ち上げで気分がゆるんで演説をうつという見せ場がある。



関連作品

高橋一郎

近鉄金曜劇場 芸術祭参加作品「正塚の婆さん」(昭和38年1963
きんきらきん 第11回   (昭和44年1969
美作ノ国 吉井川      (昭和47年1972
白い影 第14回(最終回) (昭和48年1973
夢のあとに 第1回〜第3回 (昭和53年1978


近鉄金曜劇場

近鉄金曜劇場 「結婚」(前後編)(昭和37年1962
近鉄金曜劇場 芸術祭参加作品 「正塚の婆さん」(昭和38年1963
近鉄金曜劇場「剣」(昭和39年1964








昭和39年7月1日(水)〜7月22日(水)放映


初恋物語

全4回



フジテレビ毎週水曜日放映
21時00分〜21時30分(30分)白黒作品
演 出福中八郎原 作源氏鶏太脚 本浅川清道北村篤子




【出演】

森雅之(昇平)田島和子十朱幸代杉村春子石立鉄男(昇助)
岸田森    


【解説】


源氏鶏太の自伝的小説「初恋物語」を全4回でドラマ化。
杉村春子、森雅之ほか文学座がユニットで出演している。





【各エピソード解説】

第1回第2回第3回第4回






昭和39年10月17日(土)放映


スター劇場

第48話「やぶれ家族」



日本テレビ放映 
21時30分〜22時30分(60分)白黒作品
演 出金井晴生脚 本松田暢子


【出演】

三津田建(南雲雄作)杉村春子(南雲克子)本山可久子(南雲国枝)小川真由美(南雲文子)八木昌子(南雲不二子)
北村和夫(南雲澄夫)笈田勝弘(南雲幸介)岸田森(南雲達司)荒木道子(綾乃)長岡輝子
加藤武(俵藤太)菅野忠彦   


【物語】


南雲家は、長男が料理研究家、二男がジャズピアニスト、
長女が建築設計士、三女が前衛書道家、
当主の妹がお茶とお花の師匠と、派手な職業を持つ人間が多い。
そんな中、次女の文子(小川真由美)だけは
普通のBG(ビジネス・ガール)で、平凡な生活を望んでいる。
けれども、文子が、同じ会社に勤める同僚と結婚したいと話しだしても、
母、克子(杉村春子)は、宝石店を建てるための金策に忙しく、まったく無関心であった。

ある日、俵藤太(加藤武)という男が、赤ん坊を抱いて南雲家に現われる。
それを見た克子は、
夫の雄作(三津田建)が、どこかの女に生ませた子だろうと思い込んでしまう…。



【解説】


『スター劇場』は、そのタイトルの通り、
お茶の間に人気のスターを主演に据えた60分の単発ドラマシリーズ。
気楽に見られるコメディータッチの作品を中心に放映され好評を博し、
昭和38年1963 11月23日(土)から、昭和44年1969 3月29日(土)の
5年4カ月というロングラン放映になった。

今回の「やぶれ家族」は、文学座がユニット出演しており、
出演者はほとんどが文学座員。
映画等で「悪女女優」というイメージが強かった小川真由美を主役に据えて、
今までと逆の清純で平凡な役を演じさせた事が話題となった。



【岸田森の役】

南雲達司

南雲家の三男で、大学生。
派手な職歴を持つ一家の中では、
姉の文子(小川真由美)や父、雄作(三津田建)と共に肩身が狭い。
家族とは違った平凡な暮らしを望んでいる。



関連作品

松田暢子

われら夫婦 第9話「ぶなの木のある家」全18回(昭和41年1966
















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