昭和47年10月2日(月)〜10月7日(土)放映


第1週(第1回〜第6回)


演 出高橋一郎


【出演】

館野令子(村田里ん)宮口精二(村田弥兵衛)磯村千花子(村田すま)山崎亮一(村田捨吉)葉桐次祐(新之助)
木田三千雄(植忠)相沢治夫剛竜二富井貞夫成田清征
岸田森(長又左介)押方了(吉村銀之助)大原穣子(内儀達)飯田悦子(内儀達)沢柳迪子(内儀達)
長田伸二(友太)徳川清(荒木)大矢兼臣(出陣隊長)北見治一(兵庫屋忠吉)近藤典弘(兵庫屋定一)
原保美(兵庫屋庄右ヱ門)村松克巳(古市)渡辺晃三(矢村)井上博一(高木)本田竜彦(井上)
尾田義男佐伯美奈子佐藤允(片帆の孫七)塚本信夫(石黒清吾)森幹太(新兵庫屋政五郎)
太田京子(大賀せつ)細川俊之(ナレーション)   



【物語】

明治九年秋、岡山県津山市。
村田里ん(館野令子)は、幼くして両親を失い、祖父、弥兵衛(宮口精二)に育てられていた。
代々作州無念流の使い手だった弥兵衛は、ある日、押し入った賊を、たった一人で撃退する。
その腕を見込まれて、弥兵衛は警察で撃剣を教える事になった。
里んは、撃剣に興味があり、毎日のように道場に通っていた。
そんな里んに、同じ警察官の長又(岸田森)は、撃剣を教え出す。
西南戦争が激しくなり、とうとう津山の巡査隊にも九州へ出動命令が下った。
弥兵衛は、薩摩が撃てるのならばと喜び勇んで参加するが、長又は納得できずに津山に残った。
ある日、津山の天守閣の取り壊しが決まった。
憤る津山の人々。
だが、取り壊しに名乗りを上げた大黒屋は、津山の出身者、
しかも、以前長又の家の下男だった男だった。
それを知り責任を感じた長又は、口論の末大黒屋の腕を斬り落として逐電してしまった。
秋の深まる頃、西南戦争は終結し、弥兵衛は無事津山へと戻ってくる。
帰途、陸蒸気などの文明が物凄い勢いで発達しているのを見て、
弥兵衛は自らの古い生き方を変えてゆこうと考えていた。



【解説】

岸田森か演じる長又は、警察署長の代理として、弥兵衛(宮口精二)を剣術指南役に迎えるためにやってくる。
その後の撃剣の練習はすさまじく、初日から、長又は弥兵衛に滅茶苦茶にやられる。
しかし、見学に来ていた里ん(館野令子)が、撃剣に興味を持っているのを知り、教えるようになる。
現実派で、西南戦争は薩摩の内紛だと判断、派遣には加わらない冷静さを持つ。
だが、津山城取り壊しに名乗りを上げた業者が、自分が目をかけていた大黒屋だと知り、
口論の末腕を斬り落とし、津山から逐電してしまう。
剣道のシーンが多く、練習の段取りなど、
さすがに基礎が出来ているだけあって、見栄えがいい出来栄えである。


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昭和47年10月9日(月)〜10月14日(土)放映


第2週(第7回〜第12回)


【物語】

急速に移り変わる世の中に、自分の古さを認めた弥兵衛(宮口精二)は、
守り続けてきたチョンマゲを切る決心を固めた。
チョンマゲを切ると言うことは、今まで守ってきた武士を捨てることでもあった。
並大抵ではない決意でチョンマゲを切った弥兵衛は、
里ん(館野令子)の提案でマゲを津山城跡に埋めることにする。
ところが、埋めようとした場所から千両箱が出てきてしまった。
弥兵衛は、この小判は旧藩主のものだと考えた。
しかし、古市(村松克己)は、旧藩士救済に使うべきだと強引に奪おうとした。
防ごうとした弥兵衛は、誤って古市を撃ち殺してしまう。
殺人罪で追われる事になった弥兵衛は、侠客の孫七(佐藤允)と共に、
千両箱を、旧藩主に届けようと東京へと旅立った。


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昭和47年10月16日(月)〜10月21日(土)放映


第3週(第13回〜第18回)


演 出福田新一


【出演】

館野令子(村田里ん)宮口精二(村田弥兵衛)磯村千花子(村田すま)山崎亮一(村田捨吉)岸田森(長又左介)
常田富士男(飛松)伊藤正次(幸助)内海賢二(駅夫)直木みつ男(旅館の番頭)青森伸(探偵)
原保美(兵庫屋庄右ヱ門)佐藤允(片帆の孫七)北見治一(兵庫屋忠吉)塚本信夫(石黒清吾)太田京子(大賀せつ)
小寺大介(車夫)藤田啓而(刑事塚本)渡辺康子(お伸)島津喜美枝井上由紀夫
細川俊之(ナレーション)    



【物語】

神戸で、横浜行きの汽船を待つ弥兵衛(宮口精二)一行は、
津山を出奔していた長又(岸田森)と偶然出会った。
長又は、今はは偽名を使い、警察官となっていた。
弥兵衛たちは、長又の助けで西南戦争の時に世話になった旧津山藩士、石黒(塚本信夫)に会い、千両箱を託した。
ここまでの出来事で、弥兵衛は疲れ果てていて、東京まで汽船に揺られて行く自信がなかったのだ。
だが、殺人事件の捜査は神戸でも始まった。
長又の知らせで、弥兵衛は勧められるまま、京都行きの汽車に乗って逃走する。
数日後、東京から神戸に戻り、何も知らずに弥兵衛と合流しようとした孫七(佐藤允)たちは、
待ち構えていた警察に捕まってしまう。 その頃、津山で、弥兵衛の帰りを待つ里ん(館野令子)は、
まだ幼いながらも事件のあらましを知って耐えていた。





【解説】

長又は、津山を出奔した後に、播州赤穂の知人宅に身を寄せて、
備中藩士、長谷川と名乗り神戸の警察署に奉職していた。
偶然出会った弥兵衛(宮口精二)一行に何かと便宜を図る。
そして、警察の手入れを知り弥兵衛を逃がす。
汽車に乗る弥兵衛に、力強く再会を願う言葉をかけるシーンが、とても印象的だ。
そして、この行為は警官にあるまじき事と、
自ら辞表を提出、海外にでも行こうと考えるようになる。
現実的だが、生真面目な性格がここでも長又の人生を左右してしまった様子が描かれる。


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昭和47年10月23日(月)〜10月28日(土)放映


第4週(第19回〜第24回)


演 出高橋一郎


【出演】

館野令子(村田里ん)原保美(兵庫屋庄右ヱ門)磯村千花子(村田すま)山崎亮一(村田捨吉)常田富士男(飛松)
伊藤正次(幸助)佐藤輝昭(牛若)当銀長太郎(小虎)波多野樹三(富太)平戸優(勘吉)
北見治一(兵庫屋忠吉)近藤典弘(兵庫屋定一)横森久(カゴ辰)坊屋三郎(錦屋の隠居)佐藤允(片帆の孫七)
岸田森(長又左介)日笠潤一(船頭)三谷勉(船頭)森幹太(新兵庫屋政五郎)清水良英(喜乃)
財津一郎(大黒屋宗助)細川俊之(ナレーション)   



【物語】

孫七(佐藤允)は「自雷也力俥帳場」という人力車屋を始め、
津山の田舎にも文明開化の波は少しずつ押し寄せていた。
孫七は、里ん(館野令子)に綺麗な着物を着せて人力車に乗せ、派手に宣伝をした。
その最中、里んは、長又(岸田森)がいるのを見つける。
長又は、清国へと渡る前に密かに墓参りをしようと、津山に戻っていたのだ。
翌日、長又は東京へと去った。
だが、同時に里んの姿が見えず大騒ぎになった。
里んは、弥兵衛を探しに東京へと行くために、長又の乗った高瀬舟にもぐりこんでいたのだ。
長又は、里んに津山へと帰るよう諭し、最後に里んと撃剣で立っ会った後、一人去っていった。
月日はたった。
りんは弥兵衛(宮口精二)を思いつつ、
学校の合間には回漕問屋兵庫屋を手伝い、利発な才能を発揮し始めていた。



【解説】

長又(岸田森)は、清国に渡る前に墓参りをしようと、故郷津山に密かに舞い戻っていた。
洋装で、メガネに帽子に付け髭という変装をするが、
里ん(館野令子)にはあっさりと見抜かれてしまう。
日本では暮らせなくなった長又は、清国でマッチ工場を作る計画をたてていた。
里んとの別れに、撃剣の勝負をする。
そして、里んの腕の上達を喜びながら、一人立ち去ってゆく。
真っ直ぐな性格の好青年を、しっかりとした口調で演じており、
岸田森自らのキャラクターを活かした役づくりをしている。
やはり、剣道の有段者だけあって、撃剣のシーンは迫力がある。


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昭和47年10月30日(月)〜11月4日(土)放映


第5週(第25回〜第30回)


【物語】

弥兵衛(宮口精二)が出奔してから10年の歳月が流れ、
里ん(本阿弥周子)も18歳の娘盛りに成長した。
庄右衛門(原保美)の回漕問屋兵庫屋も隆盛を極め、里んも忙しくきびきび働く。
そんな中で、りんは倉持壮二郎(溝口舜亮)という青年に魅かれていった。



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昭和47年11月6日(月)〜11月11日(土)放映


第6週(第31回〜第36回)


【物語】

兵庫屋庄右衛門(原保美)の娘婿が色恋ざたで失敗し、姿をくらましてしまった。
庄右衛門は、もはやこれまでと娘婿と離縁する。
跡継ぎがいなくなった兵庫屋は、里ん(本阿弥周子)にノレンを守ってほしいと頼む。
こうして里んは、女性ながら、兵庫屋の正式な跡継ぎとして、
お披露目のため回漕問屋の寄り合いに出席した。



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昭和47年11月13日(月)〜11月18日(土)放映


第7週(第37回〜第42回)


【物語】

失踪した弥兵衛(宮口精二)を見掛けたという噂を聞き、
里ん(本阿弥周子)は岡山へと向かった。
しかし、そこには目指す弥兵衛はいなかった。
そこで、偶然にも壮二郎(溝口舜亮)と再会する。
いまに、津山にも鉄道がひかれる日が必ず来ると語る壮二郎の言葉に、里んはがく然となった。
吉井川を渡る高瀬舟はどうなるのか。
里んの心配がまたひとつふえた。



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昭和47年11月20日(月)〜11月25日(土)放映


第8週(第43回〜第48回)


【物語】

里ん(本阿弥周子)に鉄道のことを熱く語った壮二郎(溝口舜亮)は、鉄道建設の技師だった。
里んは、川筋家業である回漕問屋の跡継ぎである。
川で働いている人々の生活を守らなければならない。
いくら、思いを寄せている相手の言葉でも、素直には喜べなかった。
しかも、後家となったツタ(伊藤栄子)が、壮二郎に思いを寄せていた。
里んは、複雑な気持ちに悩みながらも、必死に暖簾を守り続ける。



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昭和47年11月27日(月)〜12月2日(土)放映


第9週(第49回〜第54回)


【物語】

兵庫屋が鉱石運搬を請け負っていた鉱山が、突然仕事を打ち切った。
大黒屋幸助(財津一郎)が、大幅な値引きをして、鉱石の運搬契約を交わしたためである。
この損害を埋めるためにも、もはや五十駄船に賭けるほかはない。
里ん(本阿弥周子)は、日本一の船大工といわれる市兵衛(花沢徳衛)を訪ねた。
だが、偏屈の市兵衛は、里んの頼みを素直に聞こうとしない。
それでも里んはねばった。


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昭和47年12月4日(月)〜12月9日(土)放映


第10週(第55回〜第60回)


演 出豊原隆太郎


【出演】

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本阿弥周子(村田里ん)原保美(兵庫屋庄右ヱ門)伊藤栄子(ツタ)磯村千花子(村田すま)北見治一(兵庫屋忠吉)
常田富士男(飛松)新倉博(捨吉)近藤典弘(兵庫屋定一)永井柳太郎(小山熊平)藤井多重子(撃剣会内儀)
井関一(撃剣会士族)大沢真吾(撃剣会士族)山岡徹也(撃剣会士族)名川貞郎(職人)田部誠二(職人)
岸田森(長又左介)塚本信夫(石黒清吾)宮口精二(村田弥兵衛)中村俊一(明石進之介)風見章子(明石たね)
立川雄三(士族)維田修二(百姓)島田彰(百姓)中村俊一(明石進之介)風見章子(明石たね)
溝口舜亮(倉持壮二郎)伊藤正次(幸助)高橋香(田助)大友純(胴元)石光豊(壷師)
勝野誉志夫(中盆)前田吟(仁吉)高松しげお(十作)佐藤允(片帆の孫七)細川俊之(ナレーション)



【物語】

明治二十二年冬、兵庫屋庄右ヱ門(原保美)は、
鉱石船の一件を一人で片付けた里ん(本阿弥周子)が、
すでに一人で店を切り盛りしてゆけるようになったと認めていた。
その頃、長又(岸田森)が清国から十年ぶりに東京にやって来た。
鉄道省で出世していた石黒(塚本信夫)や、里んの弟捨吉(新倉博)らと再会した帰り道、
縁日の撃剣会で作州無念流を使う士族に出会う。
弥兵衛が教えたものだった。
出奔した弥兵衛は、撃剣会の一員として旅から旅を渡り歩く芸人になって生きていたのだ。
やっとの事で居場所を探し出した長又は、
弥兵衛に、旧藩主に届けた千両金は、全てが旧藩士に分配され、
人々を救うのに役立った事を教えた。
そして、罪は償われたからと、津山へ戻る事を強く勧めた。
しかし弥兵衛は、自らが斬ってしまった古市の子息が、ちゃんと成人するまでは、
津山の地を踏むことは無いと言い、決して戻ろうとはしなかった。
長又は、再び清国へと旅立った。
弥兵衛が津山へと戻る事を祈って。



【解説】

清国に行っていた長又(岸田森)が、十年ぶりに東京に戻ってくる。
今回は、出奔していた弥兵衛(宮口精二)を語るエピソードが中心なので、
長又は狂言回し的な存在となる。
清国で事業が成功したらしく、身なりが良い。
やっと見つけ出した弥兵衛は、
斬ってしまった古市の遺児が成人するまで、生き恥を晒しても援助を続けるときっぱり言い切る。
その弥兵衛が、いつかは津山に帰る事を祈り、長又は、ふたたび清国へと去ってゆく。
岸田森の演じる長又がかなり目立つ週。
特に第56回は、主役であるはずの本阿弥周子が登場せず、
宮口精二と岸田森、二人が主役で進む回になっていて見ごたえがある。



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昭和47年12月11日(月)〜12月16日(土)放映


第11週(第61回〜第66回)


演 出福田新一


【出演】

本阿弥周子(村田里ん)溝口舜亮(倉持壮二郎)岸田森(長又左介)塚本信夫(石黒清吾)北見治一(兵庫屋忠吉)
伊藤栄子(ツタ)浜村純(角佐の佐五平)中台祥浩(細川医師)常田富士男(飛松)高松しげお(十作)
高橋香(田助)近藤典弘(兵庫屋定一)森一江茶木礼子磯村千花子(村田すま)
田畑孝(石倉秋平)原保美(兵庫屋庄右ヱ門)細川俊之(ナレーション)  



【物語】

里ん(本阿弥周子)は、壮二郎(溝口舜亮)に対する自分の心を必死に抑えていた。
自分には、兵庫屋のノレンを守り続けなければならない宿命があるし、
ツタ(伊藤栄子)が壮二郎に好意以上のものを持っていることも知っていたからだ。
裸祭りの日、壮二郎と出かけたツタが、夜が明けても帰ってこない。
里んは心を落ち着かせようとしたが果たせず、ついに眠れぬ一夜を過ごした。
鉄道工事のため岡山に来ていた石黒(塚本信夫)に、料亭へ呼びだされた里んは、
そこで10年ぶりに長又(岸田森)と再会する。
再び清国に渡る前に、岡山に立寄っていたのだ。
再会は楽しかった。
しかし、弥兵衛(宮口精二)の気持ちを考えると、
長又は、里んに撃剣会のことは言えなかった。
長又が、何か隠していると直感したりんは、胸にすがって泣き出してしまう…


【解説】

長又(岸田森)は、河原で別離の剣を交えてから、里ん(本阿弥周子)と十年ぶりの再会を果たす。
本来は、里んを清国へ連れて行き、一緒に事業をしようと、本気に思っていた事もあったと告白。
だが、里んは、兵庫屋に無くてはならないという事を知り、あきらめたのだ。
ほんの束の間といった趣の登場。
保護者然とした態度で、じっくりとセリフを喋り、十年の経過を表わす演技をするのはさすが。
里んと月夜の庭で、二人で語り合う、じっくりとした見せ場がある。



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昭和47年12月18日(月)〜12月23日(土)放映


第12週(第67回〜第72回)


【物語】

たとえ津山の町に鉄道が敷かれる日が来ようとも、
吉井川を行き来する船頭達の生活を守らなければならない。
里ん(本阿弥周子)は、そのために市兵衛(花沢徳衛)に五十駄船を頼んでいたのだ。
しかし、船が後一歩で完成という時に放火されてしまった。
気落ちした市兵衛は頭がおかしくなってしまう。
警察の調査の結果、現場から壮二郎(溝口舜亮)の懐中時計が発見され、
回漕業者に怨みを持つ壮二郎が犯人ではないかと疑われる。
里んは、とても信じられなかった。
そして、無実を信じて真犯人を捜しだそうと決意した。



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昭和47年12月25日(月)〜12月30日(土)放映


第13週(第73回〜第78回)


【物語】

津山に鉄道を敷こうという壮二郎(溝口舜亮)の夢は、もろくもくずれる。
すべて破れた壮二郎は、
誰も知らない遠くの国で、新たに出直そうと考えていた。
密かに想い続けていた里ん(本阿弥周子)にとって、
壮二郎がいなくなることは身を切られるようにつらかった。
しかし、兵庫屋の暖簾を守り抜かねばならない使命がある里んは、
これでよかったのだと思い込んだ。



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昭和48年1月1日(月)〜1月6日(土)放映


第14週(第79回〜第84回)


【物語】

今度こそ津山に鉄道を引こうと、壮二郎(溝口舜亮)は再び里ん(本阿弥周子)の前に姿を現す。
心に消えかかっていた恋の炎が燃え上がったのを感じるが、
回漕問屋の兵庫屋のノレンを守る決心をしていた里んは、
壮二郎に会っても平然を装うしかなかった。
辛いが、これがお互いのためなのだと思って。



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昭和48年1月8日(月)〜1月13日(土)放映


第15週(第85回〜第90回)


【物語】

兵庫屋の娘ツタ(伊藤栄子)が、急に教会の牧師と結婚すると言い出した。
以前壮二郎(溝口舜亮)に気があったのを知っていた里ん(本阿弥周子)は、複雑な思いだった。
しかし、兵庫屋の人達に反対されると、ツタはさっさと家を出てしまった。
兵庫屋の暖簾を守る里んは、ツタのような行動に出ることは出来る立場ではない。
恋のために家を出るツタ。里んはそんな恋がうらやましかった。



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昭和48年1月15日(月)〜1月20日(土)放映


第16週(第91回〜第96回)


【物語】

ついに津山ステーションの予定地が決定した。
三年もすれば津山の町にも陸蒸気が走るようになる。
そうすれば回漕業の衰退は、目に見えていた。
それでも里ん(本阿弥周子)には、古い暖簾と川筋衆の生活を守らなければならない使命がある。
鉄道がどれくらいの力を持っているかは、川筋衆を始め、津山の町の人達はほとんどが知らなかった。
里んは、陸蒸気を肌で感じようと、一人岡山へ向かう。
そこには、鉄道の用事で出向いた壮二郎(溝口舜亮)もいるはずであった。


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昭和48年1月22日(月)〜1月27日(土)放映


第17週(第97回〜第102回)


【物語】

七十年ぶりという大雨が、津山を襲った。
吉井川は決壊の危機にさらされ、回漕五軒衆は川舟の大半を失う。
蔵は崩壊し、預った積み荷は流され、その損害は大きかった。
しかも、壮二郎(溝口舜亮)らの津山鉄道は、
岡山の隣接地点に起点標識の杭を打ち込むところまで進んでいる。
川衆を守るにはどうすればよいか、里ん(本阿弥周子)は悩む。



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昭和48年1月29日(月)〜2月3日(土)放映


第18週(第103回〜第108回)


【物語】

津山への鉄道の開通も目前に迫り、しかも回漕業は洪水で大被害を受けていた。
鉄道に対抗するには、五軒衆を合併して新会社を造り、急場を乗り越えなければならない。
里ん(本阿弥周子)の考えは、古いノレンを守り続けてきた回漕問屋たちから同意を得られなかった。
途方に暮れているとき、五十駄船が完成という知らせが来る。
里んの喜びはひとしおだった。



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昭和48年2月5日(月)〜2月10日(土)放映


第19週(第109回〜第114回)



【物語】

七十年ぶりの大洪水から三カ月が過ぎた。
里ん(本阿弥周子)や兵庫屋庄右ヱ門(原保美)の努力で、
津山の町にもようやく復興の光明がさし始める。
そんなころ、日本一の船大工市兵衛(花沢徳衛)が里んの要請を受けて建造していた、
待望の五十駄船が運航の運びとなり、
この出港を、津山中の人たちは我が事のよう喜び祝いあった。
しかし、津山鉄道の開通をめぐる話も着々と進んでいる。
里んは、どこまで川筋業者を守れるか不安だった。



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昭和48年2月12日(月)〜2月17日(土)放映


第20週(第115回〜第120回)



【物語】

鉄道が敷かれたら、吉井川の船はその内、姿を消すだろう。
負けるとわかっていても、里ん(本阿弥周子)には川筋衆の生活を最後まで見届ける義務がある。
それは、兵庫屋を継いだ里んの宿命だった。
だが、回漕問屋仲間には、船に見切りをつけ鉄道の株まで買っている者がいた。
りんの弟捨吉(新倉博)は、そんな里んの気持ちとは裏腹に、鉄道に生きることを決意する。
そして、もっと鉄道のことを知るために、家を出てゆく。
里んは、鉄道に未来を見た弟の心配をしながらも、川船を守っていった。



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昭和48年2月19日(月)〜2月24日(土)放映


第21週(第121回〜第126回)



【物語】

明治二十七年夏、津山の入り口までついに鉄道がやって来た。
機関車の試運転が行われたのだ。
もはや津山の人々の関心は鉄道に傾き、
反対者は里ん(本阿弥周子)を始めとする川筋衆の者だけになる。
それでも船頭達は、鉄道を食い止めないことには自分たちの生活の場が無くなると必死だった。
そんな里んたちに、日清戦争のニュースがもたらされた。



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昭和48年2月26日(月)〜3月3日(土)放映


第22週(第127回〜第132回)



【物語】

明治三十一年、ついに津山鉄道は開通する。
鉄道が一日に運ぶ貨物の量は、里ん(本阿弥周子)らの予想をはるかに上回り、
川船業者は、改めて鉄道の威力を思い知らされた。
だが、鉄道開通よりも、里んがもっと心を動揺させた事件が持ち上がる。
里んが必死に思いを断ち切って来た壮二郎(溝口舜亮)から、突然求婚されたのだ。
里んの心は、波のように高まるのだった。



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昭和48年3月5日(月)〜3月10日(土)放映


第23週(第133回〜第138回)



【物語】

津山の町でも鉄道が営業を開始した。
人々の目を釘付けにした鉄道にも欠陥はある。
雨が降れば、急こう配の上り坂を汽車が上りきれずに逆戻りしてしまうのだ。
そんなことで、一時汽車を利用した人たちも、また少しづつ川船に戻りだした。
川船の復興を見た庄右衛門(原保美)は、
兵庫屋の大船頭仁吉(前田吟)を、里ん(本阿弥周子)の婿に迎えようと考える。
だが、里んはまだ壮二郎(溝口舜亮)を忘れられなかった。



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昭和48年3月12日(月)〜3月17日(土)放映


第24週(第139回〜第144回)



【物語】

客が再び川舟に戻ったのを機会に、
庄右衛門(原保美)は五十駄船を増やし、川舟の優位を確立しようと考えた。
しかし、五十駄船は普通の船より造るのに金がかかる。
五十駄船を増設して、これから先、採算が採れるだろうかと、
里ん(本阿弥周子)は、庄右衛門の考えに素直に賛成することは出来なかった。
ところが、例年にない日照りに見まわれて川の水が細り、
五十駄船の運航が出来なくなってしまったのだ。



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昭和48年3月19日(月)〜3月24日(土)放映


第25週(第145回〜第150回)



【物語】

人も積み荷も川船を見限り、速い鉄道へと乗り換えていった。
追い詰められた回漕問屋も次々と転業し、ついに兵庫屋だけになってしまう。
二百年の歴史を誇っていた兵庫屋も、もはやどうすることも出来ない。
のれんを下ろす決心をした庄右衛門(原保美)の淋しそうな後ろ姿を、
里ん(本阿弥周子)はただ黙って見つめていた。


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昭和48年3月26日(月)〜3月31日(土)放映


第26週 (第151回〜第156回 最終週)



演 出高橋一郎


本阿弥周子(村田里ん)磯村千花子(村田すま)北見治一(兵庫屋忠吉)岸田森(長又左介)清水良英(喜乃)
伊藤正次(幸助)近藤典弘(兵庫屋定一)財津一郎(大黒屋宗助)原保美(兵庫屋庄右ヱ門)佐藤允(片帆の孫七)
宮口精二(村田弥兵衛)三重街恒二(小屋の男)宮本曠二郎(兵頭)溝口舜亮(倉持壮二郎)常田富士男(飛松)
高橋香(田助)日笠潤一(権七)村瀬正彦(仙吉)小池雄介(芝吉)山口譲(小政)
手塚敏夫(由三)塚本信夫(石黒清吾)小野川公三郎(小三郎)前田吟(仁吉)高松しげお(十作)
小沢幹雄(富次郎)波多野樹三(富太)篠田敏夫(留造造)市地洋子(お絹)細川俊之(ナレーション)



【物語】

鉄道の開通は、津山を活気づけた。
だが、川船は廃れ、あれほど兵庫屋と競り合った大黒屋も破産、宗助(財津一郎)は失踪してしまう。
そんな時、突然兵庫屋に長又(岸田森)がやってきた。
祖父、弥兵衛(宮口精二)が危篤だという。
大阪に急行した里ん(本阿弥周子)は、病のために動けなくなっていた弥兵衛の臨終を見取る事が出来た。
そして、二百年の歴史を誇った兵庫屋もまた、ノレンを下ろす。
一方、鉄道の理想に燃える壮二郎(溝口舜亮)は、
津山線の延長を巡って石黒(塚本信夫)と対立、会社を辞める。
津山から立ち去る時、壮二郎は里んに、自分と一緒に来てくれと頼む。
しかし、里んは、吉井川から離れることが出来なかった。
壮二郎は自分の作った汽車に乗って津山を出てゆく。
しかし、その汽車が事故に遭い、壮二郎は子供を助けようとして、大怪我を負ってしまう。
汽車は不通。
里んは、残っていた船で入院先の岡山まで急いだ。
吉井川に、兵庫屋の印の入った帆が、高々と翻った…



【物語】

清国に行っていた長又(岸田森)は、突然兵庫屋に里んを訪ね、弥兵衛(宮口精二)の危篤を知らせた。
津山を逐電したという事情を無視するくらいに、思いつめた行動だった。
里んたちと汽車で大阪へ向かう途中、長又は大黒屋宗助(財津一郎)と鉢合わせしてしまう。
宗助は、長又が腕を斬ってしまった男だ。
長又は潔くわび、思うとおりにしてくれと素直に謝る。
それを見た宗助は怨む事が出来なかった。
岸田森の、思いつめて表情ひとつ変えない演技が見事に場面を引き立て、素晴らしいシーンになっている。
弥兵衛の臨終を看取った後、供養のために、長又は久しぶりに里んと撃剣で立ち会い、精一杯の勝負をして別れを惜しんだ。



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