「シャチの詩」
【物語】
ピノコは、家の近くの砂浜で真珠をみつける。
それを見たブラック・ジャックは、昔話を始めた。
海辺の岬の突端の家で、医師を開業して間もないころ、
ひとりで孤独だったブラック・ジャックは、深手を負ったシャチの手当てをする。
数日後、元気になったシャチは、治療費とばかりに真珠を持って砂浜へとやって来た。
最初は、シャチをトリトンと名づけ、可愛がっていたブラック・ジャックだった。
しかし、その傷が、漁場荒らしをして、漁師たちに追い払われる時に怪我をしたものだと知った時、
治療を続ける事は出来なかった。
だが、トリトンは、重傷のまま、来る日も来る日も真珠を砂浜に運び続けた。
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「座頭医師」
【物語】
乞食のような、みすぼらしい身なりだが、
無償で病人を治療して全国を旅している盲目の針師、琵琶丸がいた。
偶然、ブラック・ジャックと出会った琵琶丸は、
すれ違いざまに医者の匂いを嗅ぎ取り、薬に頼ったり、身体を切り刻むのはくだらないと語る。
とある団地で、琵琶丸はブラック・ジャックが執刀予定の少女に針を打って立ち去った。
その事を聞いたブラック・ジャックは、あわてて少女の元に駆け付けた。
少女は、激しい痙攣を起こしていた。
琵琶丸は、何故自分の針が失敗したのかが、まるで判らなかった。
実は、少女は針に恐怖を感じる、不安神経症だったのだ。
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「ゴーストタウンの流れ者」
【物語】
激しい嵐の中、ゴーストタウンで車がエンコしたブラック・ジャックは、
避難した廃屋内で、腕に深手を負った脱獄囚トムと出会う。
銃で撃たれた腕は、すでに壊疽を起こして、切除するしかなかった。
トムは、町から出る方法を教えるのを交換条件に、腕の手術を頼む。
そして、衣料品を仕入れに町へと行くブラック・ジャックに、
出来る事ならば昔の恋人アンに、切り落とした腕を届けてくれというのだが…。
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「火と灰の中」
【物語】
雄叫山の火口に落ちて重傷を負った青年は、避難所に居合わせたブラック・ジャックに手術を受けた。
素早い措置だったので命は取り留めたが、両足は切断するしかなかった。
その青年は、有名な大商社ニッパチ産業の一人息子。
ブラック・ジャックは、もし自分が怪我をしたときには治療をしてくれていう依頼をされていたのだった。
青年は、親子の断絶を苦にした父親に、火口へ突き落とされたのだ。
だが、青年は、自分があやまって火口に落ちたと、犯人である父親をかばい続けた…。
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