第7回まで
【物語】
北海道、旭川の病院長、辻口啓造(芦田伸介)の妻、夏枝(新珠三千代)が、
医師の村井(田村高廣)と密会している間に、
娘ルリ子が殺されてしまう。
辻口は、妻の浮気への罰と、汝の敵を愛せという心から、
妻には真相を知らせないまま、
ルリ子を殺した犯人の娘、陽子を引き取って育てる。
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昭和41年3月13日(日)放映
第8回
【出演】
新珠三千代(辻口夏枝) | 田村高廣(村井) | 内藤洋子(辻口陽子) | 岸田森(辻口徹) | 市原悦子(辰子) |
藤原釜足(病院事務長) | 高田稔 | 遠藤周作(特別出演) | 富永美紗子 | 中真千子 |
水谷実子 | 小林昭二 | 加茂嘉久 | 田中志幸 | 三田国夫 |
八代駿 | 劇団ひまわり | 芦田伸介(辻口啓造) | | |
【物語】
昭和37年3月、
辻口家の長女、陽子(内藤洋子)も15才に成長した。
母夏、枝(新珠三千代)の、陽子への憎しみは続いたが、
長男の徹(岸田森)は5年前に陽子の出生の秘密を知って以来、
何かと彼女をかばい続けた。
陽子は、中学の卒業式で晴れて答辞を読むことになった。
それを知った夏枝は、徹が陽子の出生の秘密を知ったショックから、
答辞を読むのをほかの生徒に譲ったのを思い出す。
陽子に対する憎しみが募る夏枝は、答辞を白紙にすりかえてしまった。
【解説】
クライマックスの卒業式シーンは、
昭和41年19662月25日に
南千住中学校講堂で、全校生徒特別出演で撮影された。
また、作家の遠藤周作がアパートの管理人に扮して、特別出演している。
複雑な家庭のために、家族の会話の中に必ず何か裏の意味がある。
そういう状況を適切に語る芥川比呂志のナレーションが、
巧みに物語を盛り上げてゆく構成になっている。
シリーズ初登場の岸田森は、陽子(内藤洋子)の事を心配し続けるという役どころを的確に演じた。
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昭和41年3月20日(日)放映
第9回
【出演】
新珠三千代(辻口夏枝) | 田村高廣(村井) | 内藤洋子(辻口陽子) | 北村和夫(高木) | 市原悦子(辰子) |
岸田森(辻口徹) | 井上紀明(北原) | 日恵野晃 | 富永美紗子 | 加茂嘉久 |
松山照夫 | 采野圭子 | 水谷実子 | 花柳滝美智 | 菊地広子 |
花柳滝恵美(日舞指導) | 芦田伸介(辻口啓造) | | | |
【物語】
昭和37年4月。
陽子(内藤洋子)は高校へ入学する。
答辞を白紙にすり替えてしまった夏枝(新珠三千代)は、
さすがに自責の念にかられた。
一方、陽子は、夏枝のした悲しい仕打ちを決して忘れることが出来ず、
自然に辰子(市原悦子)の家を訪ねることが多くなって行く。
ある日、夏枝は偶然、以前密会をしていた村井(田村高廣)と出会う。
夏枝は当惑した。
村井は、同僚の高木(北村和夫)が独身を通している理由は、
夏枝が忘れられないからだと打ち明ける。
そんな時、徹(岸田森)が、学友の北原(井上紀明)を連れて帰郷してきた。
【解説】
陽子(内藤洋子)が、なんとなく夏枝に冷たくなる。
答辞のすり替えを、夏枝の仕業だと感づいていたのだ。
そんな態度に、夏枝(新珠三千代)は苦悩する。
大学に通うために、内地へ行っている徹(岸田森)の出番は終了間際までない。
夏休みになって北海道に戻ってきた徹は、
一緒に連れてきた北原(井上紀明)と陽子(内藤洋子)が仲良くしているのを見て、
嫉妬のようなものを感じる。
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昭和41年3月27日(日)放映
第10回
【出演】
新珠三千代(辻口夏枝) | 内藤洋子(辻口陽子) | 市原悦子(辰子) | 岸田森(辻口徹) | 井上紀明(北原) |
采野圭子 | 斉藤真理 | 芦田伸介(辻口啓造) | | |
【物語】
徹(岸田森)が連れて帰ってきた北原(井上紀明)は、
子供の頃母親を失ったという。
夏枝(新珠三千代)は我が子のように歓待したが、
陽子(内藤洋子)はなぜか心が弾まなかった。
夏枝は意識的に陽子を北原に近付けまいと、無理な用事を言い付けたりする。
北原の登場で、辻口家は妙にぎくしゃくしだした。
辻口家を去った北原は、陽子に手紙を出すようになる。
しかし、夏枝は、北原からの手紙を、
陽子からそれとなく取り上げてしまう…
【解説】
徹(岸田森)は、いくら愛しているとは言え、自分の妹と結婚は出来ない。
それならばと、自分の一番信頼している友人北原(井上紀明)を
陽子(内藤洋子)に紹介しようとする。
若者ゆえの性急な行動だった。
しかし、夏枝(新珠三千代)は、
北原が陽子と一緒にいるのを、嫉妬心から何かと妨害する。
それでも二人の間は少しづつ縮まってゆく。
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昭和41年4月3日(日)放映
第11回
【出演】
新珠三千代(辻口夏枝) | 内藤洋子(辻口陽子) | 北村和夫(高木) | 市原悦子(辰子) | 岸田森(辻口徹) |
井上紀明(北原) | 藤原釜足(病院事務長) | 伊藤孝雄 | 塩沢とき | 采野圭子 |
芦田伸介(辻口啓造) | | | | |
【物語】
昭和37年7月21日。
ルリ子の17回忌の日がやってきた。
夏枝(新珠三千代)は悲しみのあまり、ルリ子が殺された見本林をさまよう。
そんな夏枝を、啓造(芦田伸介)は再び冷たく責めた。
8月末、徹(岸田森)と陽子(内藤洋子)は層雲峡に一泊旅行に出掛ける。
夏枝は不安を覚えるが、それは徹も同じだった。
陽子の美しさに、あらためて妹というより異性を感じて動揺する。
その晩、陽子は自分がもらい子だということを知っていると徹に告げた。
驚く徹に、陽子は明るく強く生きてゆくと語る。
正月、北原(井上紀明)が突然訪ねてくる。
そして、彼が陽子に宛てた手紙が、夏枝によって無残にも突き返されていたことが告げられる。
陽子は愕然とした。
【解説】
17年前のことがいつまでも尾を引き、
一見平和そうに見える辻口家は、内部ではがたがたになっている。
夏枝(新珠三千代)は、相変わらず北原(井上紀明)との仲を裂こうとする。
そんな中でも、陽子(内藤洋子)は明るく生活を続けた。
岸田森の演じる徹は、そんなに陽子の強さに驚きと羨望を覚えてゆく。
層雲峡で、陽子と一緒の部屋へと泊まる事なになった徹の心の揺れを、
岸田森は初々しく演じ切り、エピソードの見所の一つにしていた。
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昭和41年4月10日(日)放映
第12回
【出演】
新珠三千代(辻口夏枝) | 内藤洋子(辻口陽子) | 北村和夫(高木) | 市原悦子(辰子) | 岸田森(辻口徹) |
井上紀明(北原) | 宮本信子 | グループ・暁 | 芦田伸介(辻口啓造) | |
【物語】
大学に進学させてもいいという辻口夫妻の意向に反して、
陽子(内藤洋子)は就職したいとはっきり夏枝(新珠三千代)に伝える。
陽子のもとには、北原(井上紀明)からたびたび手紙が来たが、
それを徹(岸田森)にも見せようとはしなかった。
六月のある午後、
寮にいる徹からの手紙の中に、北原と女の写真が入っていた。
その写真を見て、女の人は恋人かもしれないと、夏枝は呟くのだった。
陽子は、自分の一筋の願いが裏切られたような気持ちがして、
淋しく北原からの手紙を燃やしてしまう。
【解説】
自分の手に負えなくなった陽子(内藤洋子)に、
夏枝(新珠三千代)の意地悪が続くようになった。
陽子は北原(井上紀明)を誤解してしまう。
そして、ついに徹(岸田森)は、
陽子に妹ではなく異性を感じているという自分の気持ちを、
正直に告白してしまう。
物語は佳境へとなだれ込んでゆく。
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昭和41年4月17日(日)放映
第13回(最終回)
【出演】
新珠三千代(辻口夏枝) | 内藤洋子(辻口陽子) | 北村和夫(高木) | 市原悦子(辰子) | 岸田森(辻口徹) |
井上紀明(北原) | 采野圭子 | 北村弘一 | 加西永未子 | 牛崎敬子 |
芦田伸介(辻口啓造) | | | | |
【物語】
昭和38年のクリスマス・イブ。
北原(井上紀明)の訪問を喜ぶ陽子(内藤洋子)を見て、
帰省していた徹(岸田森)は、黙って家を出てしまう。
家の子である徹が遠慮しているのに、
殺人犯の子供の陽子が我が物顔にふるまっていると感じた夏枝(新珠三千代)は、
陽子に向けて怒りを爆発させた。
陽子がルリ子を殺した犯人の娘であることを、北原もいる前で暴露したのだ。
罪人の子であるという衝撃から、
陽子は雪の見本林で睡眠薬自殺をはかる。
昏睡を続ける陽子の枕元で、高木(北村和夫)が意外な事実を告白した。
【解説】
とうとう明かされる出生の秘密に、陽子(内藤洋子)は自殺を試みる。
遺書に書かれた言葉に、徹(岸田森)への想いもつづられ、
二人の前途がうまく行くように暗示されて物語は終了する。
セリフではなく、表情で心境を表現する難しい芝居を、岸田森は的確にこなして、物語のラストを締めた。
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