昭和41年10月24日(月)放映
第1回
【物語】
慶長三年八月、
天下を統一した太閤秀吉(東野英治郎)の死期は迫り、
次の世を狙う実力者たちは密かに行動に移っていた。
その頃、信州上田城の城主、真田昌幸(中村竹弥)の次男、幸村(中村錦之助)の名は、
すでに一部の人々には知れ渡っており、
将来を恐れた徳川家康(中村勘三郎)は、密かに暗殺を試みていた。
幸村は、腹心の部下、望月六郎(清水紘治)と共に、
上田城を出て市中に居を構え、民心の掌握に努めていた。
ある日、幸村は、野盗由利鎌之助(田中邦衛)にさらわれた村娘、久美(浅丘ルリ子)を救い出す。
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昭和41年10月31日(月)放映
第2回
【物語】
その頃、敦賀城主、大谷吉継(志村喬)が昌幸(中村竹弥)を訪ねて来た。
そして、大谷の娘、浪江(三井美奈)と幸村(中村錦之助)の結婚をまとめてしまう。
幸村は、結婚を決める気は毛頭なかったが、
自害するとまで言われたために、浪江を屋敷に住まわせる事にする。
一方、幸村に散々にやられた野盗の鎌之助(田中邦衛)は、
幸村に復讐を試みるがことごとく失敗、
ついに幸村屋敷の門前に「この男十文で売ります」と正札をつけられて縛りつけられてしまう。
騒然とした世情を探るために、幸村は大坂方面へと旅立つ事になった。
浪江は、鎌之助を本当に十文で買い取ってしまい、幸村の共をさせる。
この旅の途中、幸村に心服した鎌之助を始め、
猿飛佐助(松山英太郎)、三好清海入道(大前鈞)、伊三入道(尾形伸之介)らが、
その人格にうたれて次々と幸村の部下となって行った。
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昭和41年11月7日(月)放映
第3回
【物語】
幸村(中村錦之助)が、家来と共に泊まっていた旅籠を、
服部半蔵(天本英世)一味が襲撃して来た。
徳川家康(中村勘三郎)が幸村暗殺に放った刺客である。
同じ頃、家康は、もう一人の実力者、石田三成(神山繁)の暗殺を、
霧隠才蔵(日下武史)に命じていた。
襲撃をかわした幸村は、仲間と別れて一人、京の京福寺を目指した。
幸村の出生の秘密を知っている唯一の生き残り、
樋口四角兵衛(河野秋武)が、仏門に入っている事を知り、
真相を確かめようとしていたのだ。
一方、伏見城では、病床の秀吉の元に、徳川家康ら大老らが集まっていた。
秀吉(東野英治郎)は、自らの死後、
秀頼(中村信二郎)の事を立てるよう、誓紙を取って忠誠心を確かめようとする。
しかし、秀吉に過去の威光は、すでになかった。
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昭和41年11月14日(月)放映
第4回
【物語】
厳重に秘せられているはずの秀吉(東野英治郎)の死は、
早くも天下に知れ渡り、乱世の兆しをみせていた。
上田城への帰路、服部半蔵(天本英世)の襲撃に
追い詰められた幸村(中村錦之助)一行を助けたのは、穴山小助(柴田p彦)だった。
以前小助は、妹その(大川栄子)の恋人を惨殺した役人を怒りに斬ってしまい、
逃げている所を幸村一行に救われていたのだ。
幸村は、小助を部下の一人に加えて上田へと戻る。
帰った幸村は、父昌幸(中村竹弥)に、大谷吉継(志村喬)の娘、浪江(三井美奈)を娶るよう命じられる。
それを知った久美(浅丘ルリ子)は、幸村を密かに想っていただけに悲しみに沈んだ。
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昭和41年11月21日(月)放映
第5回
【物語】
幸村(中村錦之助)の結婚を知った、兄、信幸(仲谷昇)は愕然とした。
信幸の妻は、徳川方の重臣、本多忠勝の娘。
幸村の妻となる浪江(三井美奈)は、徳川に敵対する大谷家の娘だった。
信幸は、この婚礼に猛反対する。
だが、幸村は、兄弟が戦場であいまみえる事があるにもかかわらず、
父昌幸(中村竹弥)の、真田家を後世に残そうという考えがわかっており、
あえて婚礼を進めた。
そんな時、密かに幸村を想っていた久美(浅丘ルリ子)が、
服部半蔵(天本英世)らによって誘拐されてしまう。
急ぎ救出に向かった幸村を、鉄砲の名人、筧十蔵(新田昌玄)が狙っていた。
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昭和41年11月28日(月)放映
第6回
【物語】
百発百中を誇る名人、筧十蔵(新田昌玄)の鉄砲の前にして、
幸村(中村錦之助)は動じずに立ち向かった。
その態度を見た十蔵は、
はじめて自分の主と仰ぐ人物と見つけたと心服し、その場で部下になる事に決める。
十蔵の働きで、幸村は無事に久美(浅丘ルリ子)を救出した。
幸村の屋敷には、猿飛佐助(松山英太郎)ほか七人の勇者が集まっていた。
しかし、穴山小助(柴田p彦)だけは、
妹のその(大川栄子)が武士になるのを反対していた。
だが、小助の決意は堅かった。
落胆するそのを見て、久美は言葉をかけられなかった。
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昭和41年12月5日(月)放映
第7回
【物語】
大規模な合戦が近いと悟った幸村(中村錦之助)は
勇士たちそれぞれに密命を与え全国へと放った。
猿飛佐助(松山英太郎)は、偽名を使い海野鉄砲店に住み込んだ。
店の実権を握る海野六郎(長谷川哲夫)は、
徳川であろうと豊臣であろうと、儲かる方に鉄砲を売ろうとする死の商人だった。
六郎は、堺の遊郭に顔が利く根津甚八(石立鉄男)を使い、外国とも貿易をしようとしていた。
根津が商売道具として使おうとしていた遊女りん(小林哲子)こそ、
筧十蔵(新田昌玄)の、かつての恋人だった。
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昭和41年12月12日(月)放映
第8回
【物語】
幸村(中村錦之助)の手に、
三丁も最新式の鉄砲を渡す羽目に陥った海野六郎(長谷川哲夫)は、
悔しがったが後の祭りだった。
幸村たちは、早速集合場所で落ち合い、新式銃を前に夢を語り合った。
去りたければ去っても良いと言って、勇士たちを旅に送り出しただけに、
幸村は、一人も去らずに戻ってきてくれた事に感動していた。
勇士たちは、再び幸村から密命を帯び、四方へ散っていった。
その頃、徳川、石田の鉄砲争奪戦は激しさを増していた。
海野六郎は、少しでも鉄砲を入手しようと、貿易商人ペドロ(ユセフ・トルコ)へ
遊女りん(小林哲子)を差し出そうとしていた。
だが、りんは駆けつけた幸村たちに助け出され、
逆に六郎自身が石田三成(神山繁)にさらわれてしまう。
三成は、海野鉄砲店の銃全てを手に入れようと画策していたのだ。
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昭和41年12月19日(月)放映
第9回
【物語】
幸村(中村錦之助)は、石田三成(神山繁)と相対した。
幸村は、三成に徳川打倒の心内を明かす。
三成もまた、家康が会津討伐に向かった隙に、軍を起こす心内を明かした。
戦に勝つには、鉄砲がいる。
幸村は、三成が捕らえている海野六郎(長谷川哲夫)を解き放つほうが、
より多く銃が入手出来るとアドバイスする。
ある深夜、徳川方の鉄砲輸送隊が、お面をつけた異形の集団に襲われる。
それは、幸村以下、勇士たちの変装だった。
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昭和41年12月26日(月)放映
第10回
【物語】
徳川家康(中村勘三郎)は、
海野六郎(長谷川哲夫)に大金を払って手に入れた三千数百丁の鉄砲を、
そっくり野盗に奪われたと聞き激怒した。
野盗が真田幸村(中村錦之助)たちであると見当はついたが、
もともと非合法に入手した鉄砲だったために、
表立って咎める事は出来なかった。
だが、家康も手をこまねいてはいなかった。
会津討伐へ本格的に準備を始めたのだ。
討伐のために、自分が江戸を留守にすれば
石田三成(神山繁)らが挙兵するだろうと見越して仕組んだ罠だった。
一方、幸村暗殺に失敗して処刑されそうだった霧隠才蔵(日下武史)は、
筧十蔵(新田昌玄)と女忍者亜矢(野川由美子)に救い出される。
徳川の扱いに憎悪を抱いた才蔵は、幸村の配下となる。
そんな激動のさなか、浪江(三井美奈)は、玉のような幸村の子を産んだ。
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昭和42年1月1日(月)放映
第11回
【物語】
徳川家康(中村勘三郎)は、
会津討伐軍に、真田親子の軍も参加を要請して来た。
父の昌幸(中村竹弥)は、この要請に出陣を約す。
いぶかしく思いながらも、幸村(中村錦之助)、信幸(仲谷昇)兄弟は、父と共に出陣をした。
一方、石田三成(神山繁)は、
会津へと出陣した留守を狙うために、着々と挙兵の準備を進めていた。
そして、昌幸父子を自軍に引き入れようと、
遊女りん(小林哲子)に密書を持たせた。
大谷吉継(志村喬)は、三成と呼応して挙兵する覚悟を決め、
上田城で娘、浪江(三井美奈)と別離のひと時を過ごす。
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昭和42年1月9日(月)放映
第12回
【物語】
家康(中村勘三郎)は、
自らの陣地に昌幸(中村竹弥)、幸村(中村錦之助)をわざわざ招き、
真田家を取り込もうと必死になる。
昌幸は、家康がそれだけ真田家に執心するからには、
石田三成(神山繁)がすでに挙兵したのだと悟る。
石田三成からの密書を持った遊女りん(小林哲子)は、
猿飛佐助(松山英太郎)の助けで、幸村の元に無事たどりついた。
やがて、三成挙兵が知らされた。
昌幸、幸村父子は三成率いる西軍に、
信幸(仲谷昇)は家康率いる東軍へと加わり、
真田家は分裂してしまう。
浪江(三井美奈)と結婚した時に、信幸の最も恐れた事は、早くも実現してしまう。
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昭和42年1月16日(月)放映
第13回
【物語】
戦乱の世の厳しいしきたりに、ついに真田家は敵味方に分裂してしまう。
昌幸、幸村父子は、
三成を助け、天下を手中に収めたいという野望を持っていたが、
そのためには、肉親の信幸といえども倒さねばならないのだ。
そんな時、幸村にもっと辛い試練が訪れた。
妻浪江(三井美奈)が、産後健康が優れないまま、短い生涯を終えてしまったのだ。
だが、天下分け目の戦いの前、
幸村には感傷に浸っている時間はなかった…
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昭和42年1月23日(月)放映
第14回
【物語】
昌幸、幸村父子は、居城上田城へと戻り、合戦の準備を始めた。
徳川秀忠(尾上九朗右衛門)の率いる三万の軍勢は、
着々と上田城に迫って来る。
しかも、先陣を任されているのは、真田家の長男、信幸(仲谷昇)である。
迎え撃つ真田の軍勢は、わずかに二千だった。
だが、昌幸は、石田三成(神山繁)に、秀忠の軍を一週間は釘付けにすると確約していた。
幸村は、久美(浅丘ルリ子)を戦火に巻き込みたくないと、
帰農をすすめるが承知しなかった。
そして、三万の軍が上田城を取り囲んだ時、
久美は幸村の一子、大助幸昌と共に城から姿を消していた。
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昭和42年1月30日(月)放映
第15回
【物語】
幸村(中村錦之助)は、決死隊を率いて陽動作戦を展開した。
負けたと見せかけて誘い込み一気に鉄砲を撃ちかけるなど、その活躍は目覚しかった。
その頃、久美(浅丘ルリ子)は、城近くの草むらに隠れていた。
幸村の子、大助の貰い乳に城を出た時に、
合戦が始まってしまったので身動きが取れなくなったのだ。
久美は、ちょうど旅から帰って来た由利鎌之助(田中邦衛)と出会う。
鎌之助は、小早川秀秋(田村高広)が寝返った事をいち早く幸村に知らせようとしていたが、
大軍に囲まれた上田城には、容易に近づけなかった。
一方、幸村の兄、信幸(仲谷昇)は、
徳川の軍臣たちからは信用されず、幸村の手を読んだ対抗策を考えても、まったく取り上げられなかった。
そして、信幸の案じていた通り、
その夜秀忠(尾上九朗右衛門)の本陣に幸村が奇襲をかけ、軍は大混乱に陥ってしまう。
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昭和42年2月6日(月)放映
第16回
【物語】
幸村(中村錦之助)は、秀忠の大軍を相手に、存分に戦い続けた。
そして一方では、猿飛佐助(松山英太郎)ら勇士たちを
大谷吉継(志村喬)の元に走らせた。
三成(神山繁)は、いまだに佐和山城において決戦の意思を示さず、
このままでは西軍の勝機を逃してしまう。
幸村は、小早川秀秋(田村高広)の裏切りを三成の親友、吉継に知らせ、
西軍を動かそうと考えたのである。
秀忠(尾上九朗右衛門)の軍が火薬を一箇所に集めている事を知った幸村は、
樫の板と鉄板を使った戦車を作らせ、急襲し爆破してしまう。
火薬の分散を進言していた信幸(仲谷昇)を無視した結果である。
大混乱に陥った徳川秀忠以下重臣らは、
ついに信幸の対抗策を取り上げるしかなくなった。
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昭和42年2月13日(月)放映
第17回「野ネズミ作戦」
【物語】
たった二千の軍に、三万の軍を率いる秀忠(尾上九朗右衛門)は八日間も足止めされていた。
信幸(仲谷昇)の立てた対抗策は、
上田城を捨てて進軍すると見せかければ、徳川勢を引き止めたい幸村(中村錦之助)は、必ず城を出る。
それを大軍で取り囲んで殲滅しようという作戦だった。
信幸の狙い通り、幸村は城から出て包囲されてしまう。
徳川の重臣の一人、榊原康政(下元勉)は、
鉄砲で手っ取り早く皆殺しにしようとする。
そのやり方に怒りを覚えた信幸は、幸村に一騎打ちを挑んだ。
勝負は熾烈を極めた。
だが、功をあせった康政は、二人に向けて銃弾を浴びせた。
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昭和42年2月20日(月)放映
第18回「関ヶ原前夜 その1」
【物語】
秀忠(尾上九朗右衛門)の軍は、上田城一つ落すのに九日間もかかってしまっている。
嫡男の初陣を祝って、三万の軍を預けてしまった家康(中村勘三郎)は、
天下分け目の決戦に、秀忠が間に合うのかどうか気が気ではない。
ついに秀忠は、上田城攻略をあきらめ、決死隊に夜襲をかけさせる。
幸村は、城門の内側に兵を招きいれてから、
爆薬で殲滅するという捨て身の戦いで、襲撃を防ぐ。
だが、本隊がすでに西へと向かった事を知ると、
由利鎌之助(田中邦衛)に間道を案内させ、全速力で大坂へと向かった。
小早川秀秋(田村高広)の裏切りがはっきりした今、
三成率いる西軍に勝ち目は無い。
幸村は、正面からの激突を、なんとか回避しようとする。
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昭和42年2月27日(月)放映
第19回「関ヶ原前夜 その2」
【物語】
天下分け目の戦いの機は熟していた。
家康(中村勘三郎)は、
ついに秀忠(尾上九朗右衛門)の軍を待たずに進撃しようとしていた。
一方では、石田三成(神山繁)、大谷吉継(志村喬)らも準備を終えていた。
しかし、三成は、小早川秀秋(田村高広)の考えを計りかねて、
まだ動こうとはしなかった。
そんな秀秋の陣地に、
ふとした偶然で久美(浅丘ルリ子)と大助幸昌(上野達弘)が紛れ込んで身動きが取れなくなってしまう。
秀忠軍よりも早く大坂に到着した幸村は、淀君のいる大坂城に乗り込んだ。
幸村は、この戦が、
もとを正せば太閤秀吉の正室、北政所(東山千栄子)と側室淀君(淡島千景)の争いである事を見抜き、
必死の和平工作に乗り出そうとしていたのだ。
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昭和42年3月6日(月)放映
第20回「関ヶ原前夜 その3」
【物語】
大坂城に乗り込んだ幸村(中村錦之助)は、
徳川家康(中村勘三郎)に従っている豊臣恩顧の諸大名たちを西軍に導くためには、
幼い秀頼自ら陣頭に立つ以外に道はないと説いた。
初めは真意を疑っていた淀君(淡島千景)だったが、
幸村の熱意に打たれその意見に従う事にする。
幸村は、ただちに京へと飛び、
豊臣秀吉の正室で今は仏門に入っている北政所(東山千栄子)と面会した。
北政所に、おいである小早川秀秋(田村高広)の裏切りを思いとどまらせてもらおうとしたのだ。
北政所は、実直な幸村と意気投合する。
しかし、豊臣家は秀吉一代限りのものと、協力は頑なに拒むのだった。
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昭和42年3月13日(月)放映
第21回「関ヶ原」
【物語】
幸村(中村錦之助)の奔走もむなしく、
徳川忍者の暗躍に恐れをなした淀君(淡島千景)は、秀頼の出陣を取りやめてしまう。
これは、小早川秀秋(田村高広)に、豊臣家の跡継ぎを譲ると申し出て、
翻意を促そうという石田三成(神山繁)の目算もあった。
慶長五年九月十四日夜、
西軍は関ヶ原を決戦の場と選んだ。
生来の武人である吉継(志村喬)は、
戦いを望んでいない三成の心中がわからないではなかったが、
あえて自ら死地に乗り込もうとする。
舅である吉継の決意に、幸村も五百の軍勢を預かり戦場に向かった。
この夜、関ヶ原は激しい雨のために、
筧十蔵(新田昌玄)の鉄砲も、家康(中村勘三郎)を倒す事は出来なかった。
翌朝、戦場には一寸先も見えない、濃い霧が立ち込めた。
その中、天下分け目の戦いがついに始まる。
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昭和42年3月20日(月)放映
第22回「関ヶ原合戦」
【物語】
慶長五年九月十五日未明、
霧の中東西両軍の先鋒は激突した。
幸村(中村錦之助)は、霧の晴れないうちに
家康(中村勘三郎)の本陣を急襲しようと僅かな手勢を率いて戦場を走った。
しかし、霧は意外と早く晴れてしまい、襲撃は失敗に終わる。
猿飛佐助(松山英太郎)は、家康の本陣から、大胆にも作戦地図を盗み出して来る。
だが、さすがに家康、布陣には一分の隙もなかった。
霧はすっかり晴れ渡った関ヶ原では、
大軍同士が、一進一退の戦いを続けていた。
そして午後、松尾山に布陣したたまま動かなかった小早川秀秋(田村高広)が、
ついに東軍に加担して軍を押し出して来た。
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昭和42年3月27日(月)放映
第23回「死ぬ者、生きる者」
【物語】
小早川秀秋(田村高広)の裏切りによって、
西軍はあっけなく大敗してしまう。
西軍の将、石田三成(神山繁)は、あくまでも逃げ延びて再起を図ろうとしていた。
幸村(中村錦之助)も、落武者狩りから逃れるために、とある農家に身を隠す。
だが、その家には、
小早川秀秋の陣から逃げ出して来た久美(浅丘ルリ子)と、一子大助がいた。
思いもよらぬ再会に幸村は目を見張った。
初めての負け戦に気落ちしていた幸村に、
久美は始めて愛を告白し、一緒に再起を図ろうと言う。
二人はいつまでも立ちつくしていた。
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昭和42年4月3日(月)放映
第24回「関ヶ原脱出」
【物語】
西軍が大敗した今、
幸村(中村錦之助)の血をひく大助幸昌の命を、
家康(中村勘三郎)は狙ってくるだろう。
感動の再会を果たした二人だったが、
久美(浅丘ルリ子)は別れがたい思いをいだいたまま、大助を連れて京へと落ちのびた。
幸村は、一刻もはやく信州上田城に戻ろうとした。
だが、服部半蔵(天本英世)配下の忍者群に取り囲まれ、容易には動けなかった。
そんな幸村の元に、根津甚八(石立鉄男)がやって来る。
死の商人、海野六郎(長谷川哲夫)を見限ったのだ。
その頃、敗軍の将、石田三成(神山繁)は、ついに家康の手に落ちてしまう。
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昭和42年4月10日(月)放映
第25回
【物語】
上田城に帰った幸村(中村錦之助)は、
城に蓄えてあった軍資金を、百姓たちに配ると言い出した。
武器を捨て、百姓に身を投じて再起の機会を待とうというのだ。
だが、城内の抗戦派は、
どうせ死ぬのなら華々しく最後の一戦を飾ろうとしていた。
そして、次第に抗戦派は城内の意思をひきずり始めていた。
勝った徳川家康(中村勘三郎)は、
大名たちの移封、改易など素早く戦後処理を行って行った。
そして、石田三成(神山繁)ら、家康に捕まった者たちは、
さらし者にされ素早く処刑されてしまう。
大坂城に豊臣秀頼がいるにもかかわらず、すでに天下は徳川のものと言ってもよかった。
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昭和42年4月17日(月)放映
第26回
【物語】
昌幸(中村竹弥)、幸村(中村錦之助)父子は、
徳川家康(中村勘三郎)からの沙汰を待っていた。
だが、家康は、なんらかの口実がなければ真田父子を処刑できないために、
上田城を囲んだ兵にあからさまに挑発行為を繰り返させた。
その行為に腹を据えかね、城兵の多くは抗戦派に傾いてゆく。
父、昌幸まで玉砕を決意した事を知った幸村は、
自ら望月六郎(清水紘治)、三好兄弟(大前鈞、尾形伸之介)だけを伴って、包囲軍の中に乗り込んだ。
徳川方に組みした幸村の兄、信幸(仲谷昇)も、
己の戦功にかえて、必死に真田父子の助命を願い出ていた。
しかし、家康は容易には許さない。
この事態を打開しようと、信幸は妻の稲(岸田今日子)を上田城に赴かせ、昌幸を説得させた。
幸村が人質となってしまった以上、昌幸としても動くに動けなかった。
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昭和42年4月24日(月)放映
第27回「落城」
【物語】
上田城を包囲する徳川勢は、
投降してきた幸村(中村錦之助)らを強引に処刑しようとする。
幸村らは、ついに脱出、城を帰る途中で猿飛佐助(松山英太郎)たちと合流する。
その頃、上田城は、信幸(仲谷昇)の妻、稲(岸田今日子)の説得工作を無視し、決戦体勢を整えていた。
幸村は、いきり立つ決死隊の前に立ちふさがり止めようとするが、
逆に抗戦派は鉄砲を向けてきた。
筧十蔵(新田昌玄)と根津甚八(石立鉄男)が、
城中の火薬を湿らせたために不発に終わったが、余断を許さない状況は続いた。
一方、信幸の助命運動は、ついに秀忠(尾上九朗右衛門)の心を動かす事に成功、
家康(中村勘三郎)も仕方なく真田父子の死一等を減じて、紀州九度山に流す事にする。
ついに、真田一族の本拠、上田城は開城の日を迎えた。
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昭和42年5月1日(月)放映
第28回「総集編」
【内容】
慶長三年七月、
豊臣秀吉(東野英治郎)の死から、
天下を分けた戦い、真田一族の分裂、
上田城攻防戦、関ヶ原の合戦、
そして昌幸(中村竹弥)、幸村(中村錦之助)父子が九度山に封ぜられるまでを描いた、
第1回から第27回までを一時間にまとめたもの。
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昭和42年5月8日(月)放映
第29回「鬼の村で」
【物語】
九度山へ落ちてゆく真田昌幸(中村竹弥)、幸村(中村錦之助)父子に、
徳川家康(中村勘三郎)が許した供の数はたったの五人だった。
しかも、服部半蔵(天本英世)は、紀州への道中で、二人を付け狙った。
だが、幸村に心服して各地から集まってきた真田十勇士たちは、
表面上は真田家の家臣ではなく、陰日なたになりながら幸村たちを守り続けた。
紀州に行く途中、
十勇士の一人、穴山小助(柴田p彦)は、故郷の村に立ち寄った。
そこで、かつての恋人その(大川栄子)が、
同じ村の辰ぞ(草野大悟)のもとに嫁ぐ事を知った…。
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昭和42年5月15日(月)放映
第30回「九度山の風」
【物語】
穴山小助(柴田p彦)の故郷の村人たちを、
幸村(中村錦之助)は役人の手から救い出した。
しかし、村人達は服部半蔵(天本英世)の率いる忍者たちにことごとく殺害されてしまう。
ただ、小助のかつての恋人その(大川栄子)の死体は見つからなかった。
一方、久美(浅丘ルリ子)は、
京都東福寺の樋口四角兵衛(河野秋武)に、
幸村の一子、大助幸昌の擁護を頼んだ。
四角兵衛は、大助を見ながら幸村出生の秘密を語り始めた。
幸村の母は百姓の娘だった。
幸村を産むと間もなく我が子から引き離されて気が狂ってしまい、
四角兵衛に伴われてこの東福寺に落ち延びたというのだ。
幸村たち一行は、浅野左京太夫(細川俊夫)監視のもと、
九度山で配流の日々を送った。
周り中敵ばかりの心休まらない生活が続いたが、
十勇士たちは八方に潜伏し、幸村たちを守り続けた。
『真田幸村』エピソード解説へ戻る
昭和42年5月22日(月)放映
第31回「ホトケの忍者」
【物語】
九度山で、浅野幸長(細川俊夫)から与えられた真田屋敷の井戸に、
医者の青庵(桑山正一)でも判らない毒物が投げ込まれた。
投げ込むだけだったら、誰でも簡単に出来る。
犯人を探し出すのは困難を極めた。
佐助(松山英太郎)は、“ホトケの忍者”と呼ばれる、毒を使う忍者がいる事を思い出した。
もしかしたら、その忍者の仕業かもしれない。
その夜、真田幸村(中村錦之助)の寝所の天井裏に潜んでいた忍者を、佐助は仕留めた。
だが、毒物は持っていなかった。
敵は何人いるのかが、まったくわからなかった。
佐助ら十勇士たちは、“ホトケの忍者”の正体を探ろうと必死になる。
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昭和42年5月29日(月)放映
第32回「大仏炎上」
【物語】
真田幸村(中村錦之助)を慕う人々は、密かに真田屋敷を訪ねて来た。
かつて敵対していた堺の鉄砲商人、海野六郎(長谷川哲夫)も
、幸村の心意気に惹かれてはるばる九度山まで出向いて来るようになった。
猿飛佐助(松山英太郎)、
霧隠才蔵(日下武史)、
由利鎌之助(田中邦衛)、
三好清海入道(大前鈞)、
三好為三入道(尾形伸之介)、
穴山小助(柴田p彦)、
望月六郎(清水紘治)、
筧十蔵(新田昌玄)、
根津甚八(石立鉄男)、
海野六郎の十人は、
集結した夜、自らを真田十勇士と名乗る事に決め、幸村らを前に忠誠を誓った。
その頃、徳川家康(中村勘三郎)は豊臣家の力を弱らせようと、
太閤殿下供養のための大仏建立を進言した。
淀君(淡島千景)はその甘言に乗ってしまうが、大仏建立にかかる費用は莫大なものだった。
事態の急を悟った幸村は、望月六郎を影武者に仕立てて屋敷に残し、京へと急いだ。
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昭和42年6月5日(月)放映
第33回
【物語】
すでに六十二歳となった徳川家康(中村勘三郎)は、
九度山に押し込めてある真田昌幸(中村竹弥)、幸村(中村錦之助)父子を何とかしない限り、
徳川の天下はないと焦っていた。
何とか幸村を討ち取る口実を作りたいと思って挑発をするが、
慎重に行動して家康に付け入る隙を与えなかった。
あせった家康は、京都東福寺に匿われていた、幸村の子、大助幸昌をさらってしまう。
愕然とする幸村だったが、下手に動くと家康に口実を与えてしまう。
ここぞとばかりに真田十勇士が活躍を始めた。
表向きは家来ではない十勇士は、おおっぴらに動ける。
由利鎌之助(田中邦衛)、穴山小助(柴田p彦)、猿飛佐助(松山英太郎)、霧隠才蔵(日下武史)に、
久美(浅丘ルリ子)も加わって必死の捜索が始まった。
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昭和42年6月12日(月)放映
第34回
【物語】
慶長十年、
徳川家康(中村勘三郎)は息子の秀忠(尾上九朗右衛門)に征夷大将軍を譲った。
これを期に家康は、豊臣家を怒らせて一気に片をつける短期決戦を目論んだ。
極秘のうちに作らせていた大砲が出来上がり、大阪城攻略の自信がついたからだった。
しかし、それを知った真田十勇士が
輸送途中の大砲を爆破してしまい、家康は泣く泣く計画をあきらめる。
その頃、真田幸村(中村錦之助)の父、昌幸(中村竹弥)は、波乱に飛んだ一生を終える。
幸村は、長い間自分に命がけで付き添ってくれた久美(浅丘ルリ子)を妻として迎える事に決め、
父の遺骸の前で厳粛な祝言を挙げた。
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昭和42年6月19日(月)放映
第35回「乱れ雲」
【物語】
九度山は、表面上は平静を保っていた。
しかし、その影では真田十勇士と、服部半蔵(天本英世)率いる忍者軍団との戦いが続いていた。
そんな時、霧隠才蔵(日下武史)が、
猿飛佐助(松山英太郎)の遺品を持って屋敷に帰って来た。
途中、服部忍者に待ち伏せされたというのだ。
これには、さすがの真田幸村(中村錦之助)も衝撃を受けた。
佐助の帰ってくる日時は、極秘のはずだった。
誰かが敵に行動を漏らしたらしい。
一同は、新参者として真田屋敷にやって来た千代(水野久美)に疑いの目を向けた。
だが、望月六郎(清水紘治)だけは千代の潔白を信じ、必死に庇った。
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昭和42年6月26日(月)放映
第36回「哀しい女たち」
【物語】
徳川家康(中村勘三郎)に連れ去られた、真田幸村(中村錦之助)の息子大助幸昌(百瀬功一)を、
久美(浅丘ルリ子)は見つけ出した。
しかし、中々九度山に戻ってこない。
監視が厳しく幸村は動けない。
密かに、筧十蔵(新田昌玄)と根津甚八(石立鉄男)が探索に向かった。
そして、カブキ踊りの一座、出雲の阿国(川口秀子)たちの芝居小屋に匿われていた久美を発見する。
芝居の一座は、諸国を比較的自由に行き来できる。
女の久美が紛れ込んでいても、不思議がなく、
潜入するのはもってこいだった。
しかも阿国は、久美たちに好意的だった。
甚八は、一座にいた阿国の弟子で、美人の美保(河村有紀)に惹かれるものを感じた…。
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昭和42年7月3日(月)放映
第37回「残党の歌」
【物語】
関ヶ原の合戦から十年が過ぎた。
徳川家康(中村勘三郎)の圧政により、各地で一揆が多発した。
元、石田三成の家臣、伊藤数馬(佐藤慶)という浪人が、
素晴らしい指導力を発揮して、百姓たちから神様のように頼られていた。
それを知った由利鎌之助(田中邦衛)は、
正義感から真田幸村(中村錦之助)を一揆の総大将に担ごうとした。
しかし、幸村はまったく立ち上がる気配はなかった。
十勇士たちは、困っている民衆を助けない幸村に不満を持った。
幸村は、数馬の正体に疑問を持っていた。
そして、幸村の読み通りに、
数馬は徳川家康から、幸村を一揆に引っ張り出すよう命令されていたのだ。
家康は、それを口実に、幸村を討ち取ろうとしていた。
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昭和42年7月10日(月)放映
第38回「二条城の会見」
【物語】
八年前、政略結婚させられた豊臣秀頼(太田博之)は、
いまや天下人太閤秀吉を継ぐにふさわしい、器量の優れた若者に成長した。
そして、妻の千姫(恵とも子)も、
たぐいまれなる美しさを誇るようになる。
徳川家康(中村勘三郎)は、すでに七十歳となっていた。
余命いくばくもないと悟っていた家康は、
素質の無い二代目将軍秀忠(尾上九朗右衛門)が天下を掌握する時に障害となる、
秀頼を葬り去らなければならないと思い込んでいた。
そして、暗殺の機会を得ようと、
秀頼に、二条城で会見しようと申し込んだ。
九度山にこもっていた真田幸村(中村錦之助)は、
陰謀を即座に見抜き、敢然と立ち上がった。
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昭和42年7月17日(月)放映
第39回「天下の浪人」
【物語】
二条城の会見は、
真田幸村(中村錦之助)らの活躍もあり、無事に終了した。
豊臣秀頼(太田博之)の資質を見た徳川家康(中村勘三郎)は、
ますます豊臣打倒を急がなくてはならないと考えるようになる。
その後半年の間に、加藤清正はじめ豊臣方の諸大名の急死が相次いだ。
しかも、大坂城内では、
淀君(淡島千景)と情を通じている大野修理(原保美)が、
何かと片桐且元(山形勲)と反目していて、団結するには程遠いい状況だった。
大坂城下には、合戦を当て込む浪人があふれていた。
その浪人たちの間では、
真田幸村がいよいよ総大将として大坂城へ乗り込むのではないかという噂が流れていた。
事実、幸村は秘密裏に大坂に潜入、
且元らと会見を重ね着々と準備を進めていたのだ。
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昭和42年7月24日(月)放映
第40回「国家安康」
【物語】
徳川方も、豊臣方も、結局は世襲しか考えていない。
九度山にあり、圧政にあえぐ人々を見て来た真田幸村(中村錦之助)にとって、
それはむなしいものだった。
幸村は、日本の底辺をささえ、歴史を築いてきた人たちによる、
まったく新しい政治形態を切り開こうと考えていた。
その頃、方広寺の大仏開眼供養のために作られた鐘に彫られていた文字「国家安康」が、
家康という名前を途中で分断しているという難癖をつけて来た。
明らかな徳川方の挑発である。
世間は騒然となり、幸村の目指していた新しい世の中への道は中断してしまう。
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昭和42年7月31日(月)放映
第41回「桐は枯れた」
【物語】
方広寺の鐘への言いがかりが、
明らかにすぐ合戦へ持ち込みたいという徳川家康(中村勘三郎)の執念と見抜いた片桐且元(山形勲)は、
大仏開眼供養を中止する。
だが、それが見抜けない淀君(淡島千景)と大野修理(原保美)は、
且元を非難した。
且元は、単身駿府城へと出向き家康を説得しようと試みる。
しかし、修理の密命を帯びた使いが先に駿府城で歓待されており、
且元には会おうともしなかった。
しかも、その頃大阪城では、
片桐且元が、豊臣家の大切な金銀を大仏のために浪費し、
大坂を徳川に売ろうとしている叛逆者だという烙印を押されていた…。
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昭和42年8月7日(月)放映
第42回「九度山脱出」
【物語】
徳川家康(中村勘三郎)が、
慶長十九年十月十一日に、大坂攻撃の軍を駿府から動かすという情報を、
猿飛佐助(松山英太郎)はつかんだ。
ついに、真田幸村(中村錦之助)は大阪城入りを決意する。
だが、九度山から大坂への道は、すべて徳川方に固められている。
幸村は、浅野家の高部天兵衛(安井昌二)が一番固い守りを敷いている
木の芽峠突破をあえて選んだ。
近隣の百姓たちを、父昌幸の法事といって集め酒宴を開き油断させ、
その隙に幸村は、十勇士共々三々五々九度山を脱出した。
十余年、幸村を監視し続け、
その人柄に打たれていた高部天兵衛は、
身を捨てて幸村主従を見逃すのだった。
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昭和42年8月14日(月)放映
第43回
【物語】
真田幸村(中村錦之助)の大坂城入城に、
徳川家康(中村勘三郎)は烈火のごとく怒り狂った。
しかし、幸村が大坂城で見たものは、
疑心暗鬼が渦巻く人間関係と、
金目当てで戦意の無い浪人たちの群。
とても戦のできる状況ではなかった。
幸村は、十勇士達を集め、城外の平野に出城を築く。
ここで徳川方を食い止め、城の被害を最小限に食い止めようという作戦をたてたのだ。
人々は、出城を真田丸と呼んだ。
建設途中、他国へ落ち延びさせたはずの幸村の妻、久美(浅丘ルリ子)が真田丸にやって来てしまう。
追い返そうとする幸村だが、
死なばもろともという久美の決意に、さすがの猛将もついに屈してしまう。
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昭和42年8月21日(月)放映
第44回「大阪冬の陣 その1」
【物語】
大坂城を打って出ようという、真田幸村(中村錦之助)の提案は
大野修理(原保美)ら大坂城主流派によって退けられてしまう。
そうこうしている間に、城は十八万の大軍に囲まれてしまった。
さすがに徳川家康(中村勘三郎)でも、天下の名城、大坂城をたやすく攻略は出来ず、戦線はこう着状態となる。
そんな中、木村重成(北大路欣也)は、戦で大活躍を見せた。
喜んだ淀君に、重成は豊臣秀頼(太田博之)の出陣を要請、
軍隊の士気を挙げようとした。
しかし、戦を知らない淀君(淡島千景)は、
出陣に乗り気の秀頼にはお構いなく、危険だと拒否してしまう。
その後も、淀君は無理な命令を頻発して、城内は混乱していった。
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昭和42年8月28日(月)放映
第45回「大阪冬の陣 その2」
【物語】
大坂冬の陣は、こう着状態に陥ってしまう。
城内では、講和説と決戦説が果てしなく議論されているが、結果は出るはずもなかった。
ある日、徳川方への内通者を発見した真田幸村(中村錦之助)は、
それを逆用して徳川秀忠(尾上九朗右衛門)に奇襲をかける。
だが、あと一歩という所で惜しくも逃げられてしまう。
長期戦が不利だと悟った徳川家康(中村勘三郎)は、
遂に大坂城攻めを開始した。
城内は大混乱に陥るが、
出城真田丸だけは徳川方の軍勢を散々に叩き、
敵に大損害を与え続けた。
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昭和42年9月4日(月)放映
第46回「いつわりの講和」
【物語】
真田幸村(中村錦之助)は、徳川方に内紛を起こさせようと、
猿飛佐助(松山英太郎)ら忍者たちに決死の密命を下した。
そして、豊臣方の勇将、塙団右衛門(南原宏治)も、
由利鎌之助(田中邦衛)らが加わった部隊を率いて、徳川方に夜襲をかけた。
お互いとも目覚しい活躍を見せるが、
作戦は空振りに終わってしまう。
その頃、戦火に怯えた淀君(淡島千景)は、
無理やり講和を推し進めようとしていた。
豊臣秀頼(太田博之)は、徹底抗戦を望んでいたが、
淀君は母親として秀頼を説き伏せ、ついに講和論を押し通した。
幸村らのこれまでの努力は、水泡に帰してしまうのだった。
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昭和42年9月11日(月)放映
第47回
【物語】
講和の条件には、
徳川方から強い要求があった、堀の埋め立てが書き込まれていなかった。
これは、豊臣方の大野修理(原保美)が、
外堀は徳川方の手によって埋めさせる代わりに、
内掘は豊臣方で埋め立てるという口約束を交わしていたからだ。
修理は、工事を長引かせて、
高齢の徳川家康(中村勘三郎)の死を待とうというのだ。
だが、それを見越した家康は、
手伝いと称して膨大な人足を送り込み、
あっという間に堀を埋め立ててしまった。
大坂城が丸裸になってしまい、さすがの真田幸村(中村錦之助)にも打つ手が無いと思われた。
だが、幸村は、密かに全国の農民の力を集結し
家康に対抗しようと、十勇士を全国に放っていた。
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昭和42年9月18日(月)放映
第48回
【物語】
講和を結んだにもかかわらず、
徳川家康(中村勘三郎)は、第二の合戦に備えて米の徴発を大々的に始めた。
米を持ち去られ、苦難にあえぐ百姓たちを、
潜入した十勇士たちがあおりたて、各地に一揆を起こした。
だが、家康は百姓たちに厳しい弾圧を繰り返して強引に鎮圧してしまう。
元和元年三月十日、
家康は豊臣秀頼(太田博之)に対し、国替えを命じた。
これは、家康からの事実上の宣戦布告だった。
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昭和42年9月24日(月)放映
第49回「十粒の麦」
【物語】
豊臣方には、誰の目で見ても勝機はなかった。
利に敏い商人たちは、潮が引くように去ってゆき、
大坂城内で重きをなしていた織田有楽斎(三津田健)ですら、
いち早く脱走、徳川方に寝返ってしまう。
淀君(淡島千景)も、ようやく家康にだまされたと悟ったが、後の祭りだった。
真田幸村(中村錦之助)は、城内の一室に十勇士たちを集め、自らの決意を語る。
それは、この後栄華を誇るだろう徳川の天下にあえて抗った者達がいたという事実を、
いつの日か訪れるだろう、新しい日本の夜明けを開花させる一粒の種にしたいと。
それが偽りのない武人としての幸村の心だった。
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昭和42年10月2日(月)放映
第50回「大阪夏の陣 その1」
【物語】
徳川方は、十六万の軍勢集結を完了した。
だが、大坂方は、
それぞれの思惑が一人歩きして、全く統一が取れなかった。
作戦をたてても、抜け駆けの功名争いばかりで、まったく無意味だった。
後藤又兵衛(加藤武)ら豊臣方の勇将も次々と戦死、
作戦の失敗が続く真田幸村(中村錦之助)は、裏切り者扱いされる始末だ。
汚名を返上しようと必死に暴れまわる幸村を、大坂方は冷ややかに眺めるだけだった。
だが、皮肉にも徳川方の軍勢は、その奮戦に目を見張り一目置いていたのだ。
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昭和42年10月9日(月)放映
第51回「大阪夏の陣 その2」
【物語】
大坂平野口の合戦は、
功名争いをする諸将のために惨敗してしまう。
大坂城に戻った真田幸村(中村錦之助)は、
大野修理(原保美)の差し金で、前線から引き上げさせられ、
後方の守備へと回されてしまう。
一方、大坂城内では、
修理が自ら助かりたいために、
淀君(淡島千景)と豊臣秀頼(太田博之)の助命工作に狂走していた。
修理らの唯一の頼みは、
徳川秀忠の娘で秀頼の妻である千姫(恵とも子)だった。
だが、徳川家康(中村勘三郎)は、服部半蔵(天本英世)を使って、
千姫に短刀を一振り届けさせた。
千姫は、祖父のあまりの非情さに衝撃を受け、自害しようとするが果たせなかった。
その頃、海野六郎(長谷川哲夫)と根津甚八(石立鉄男)は、
幸村を南蛮へと落ち延びさせようという手はずを整える。
しかし、時すでに遅く、幸村はすでに手勢をまとめて、決戦場へと向かっていた。
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昭和42年10月16日(月)放映
第52回「真田日本一の兵」(最終回)
【物語】
合戦の大将、豊臣秀頼(太田博之)の出陣は、
淀君(淡島千景)の溺愛の前に、もはや絶望的だった。
茶臼山に布陣した真田幸村(中村錦之助)らは、
合戦の隙をつき、小数で本陣に突入して、
敵方の総大将徳川家康(中村勘三郎)の首をとろうという、最後の作戦をたてた。
猿飛佐助(松山英太郎)、霧隠才蔵(日下武史)らの攪乱作戦も功をなし、
幸村はついに家康を追い詰めた。
だが、三方が原の合戦以来、逃亡を知らないと豪語していた家康は、情けなく逃げ出してしまう。
あと少しの所で首が取れるはずだった幸村は、
敵の真っ只中に一人取り残されてしまう。
百余人の敵が、幸村の首級を挙げようと殺到して来たその時、
轟音と共に地雷が爆発、一瞬にして全てを吹き飛ばしてしまった。
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