昭和47年10月3日(火)放映


第1回


監 督山本迪夫脚 本松木ひろし


【出演】

星由里子(手塚早苗)竜雷太(手塚八郎)大塚道子(手塚民子)岸田森(謙三)佐原健二(沖山)
山本紀彦(信一)小倉雄三(菅沼)辻しげる本田淳子(好江)片山滉
山川弘乃小沢かおる大島ゆみ恵春江ふかみ鈴木泰明
広瀬楊子小竹外登美杉野公子西川幾雄小海とよ子
石井麗子増田順司神田正夫丘寵児矢島正明(ナレーター)


【物語】

写真家の八郎(竜雷太)の妻、早苗(星由里子)の妊娠がわかる。
早苗は幼い頃、火事のショックで失語症になっていた。
そんな時、八郎にベトナムでの撮影の仕事が舞い込んでくる。
早苗は、一人寂しく待っている事が不安ではあったが、カメラマンとしては願ってもいないチャンスだと、夫をベトナムに行かせる事にする。
しばらくして、八郎が戦争に巻き込まれて死んだという知らせがもたらされた。
早苗は、突然訪れた悲劇に為す術が無い。しかも、赤ん坊はもうすぐ生まれて来る。
頼れる人がいなくなった早苗は、まだ一度も会った事がない八郎の母親を訪ねる。
孤島にある八郎の実家には、母、民子(大塚道子)と共に、
不気味な従弟、謙三(岸田森)も住んでいた。


【解説】

出演シーンは、終わり近くなってから。
登場シーンはかなりショッキングな演出だ。
青白いメイクで、ゆっくりとした喋り。
屋敷の不気味さを盛り立てている。


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昭和47年10月10日(火)放映


第2回

監 督山本迪夫脚 本松木ひろし


【出演】

星由里子(手塚早苗)竜雷太(手塚八郎)大塚道子(手塚民子)岸田森(謙三)山本紀彦(信一)
小倉雄三(菅沼)蔵悦子本田淳子(好江)小栗一也(安田)矢島正明(ナレーター)


【物語】

民子(大塚道子)の優しさに安心する早苗(星由里子)だった。
だが、八郎(竜雷太)に対する長年の恨みを陰湿に語る謙三(岸田森)の不気味さには不安を覚えた。
謙三には娘、好江(本田淳子)がいた。
良江は、謙三に虐待され、森の中にある小屋に独りで住まわされていた。そのために、早苗には中々心を開かなかった。
医者に行った帰り、東京でも見かけた男に呼び止められた。男は菅沼(小倉雄三)という私立探偵で、手塚家に関して何か調べているらしい。
その夜、早苗は屋敷の庭で菅沼の死体をみつける。
だが、民子を呼び戻ってみると、死体はなくなっていた。
ショックで、早苗は気絶してしまう。
あまりの出来事に、翌朝早苗は、謙三の目を盗み屋敷を逃げ出した。
そして、逃げ込んだ小屋で、目もくらむような激痛に襲われた…



【解説】

謙三は、女性に対する憎悪を、無神経に言いまくる。
後にわかるのだが、強度のマザーコンプレックスからくるセリフである。
それを岸田森が話すと、その喋り方から場が突然緊張してしまう。
物凄い演技効果だ。
この回の見せ場は、八郎(竜雷太)へのコンプレクスを、早苗(星由里子)へ延々言い続けるシーン。
近くにいたカエルをいきなり捕まえ、生皮を剥ぎながらネチネチと三分近く話し続ける。
このシリーズの中でも、一番の不気味なシーンだ。



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昭和47年10月17日(火)放映


第3回

監 督山本迪夫脚 本松木ひろし


【出演】

星由里子(手塚早苗)竜雷太(手塚八郎)大塚道子(手塚民子)岸田森(謙三)山本紀彦(信一)
蔵悦子小倉雄三(菅沼)本田淳子(好江)石川誠邦創典
小高まさる小栗一也(安田)矢島正明(ナレーター)





【物語】

丸二日の眠りから覚めた早苗(星由里子)は、亡き夫八郎(竜雷太)の子を死産したと聞かされる。
義母、民子(大塚道子)は優しく慰めてくれた。
早苗は、民子に懇願されて、屋敷に残る事を決める。
相変わらず無神経な事を言い続ける謙三(岸田森)を、民子が突然殴りつけた。
民子の豹変ぶりを見て、早苗はびっくりする。
翌日、何かと世話を焼いてくれる若い漁師・信一(山本紀彦)が、屋敷に早苗を訪ねてきた。
信一は、以前、早苗といるのを見かけた菅沼(小倉雄三)の水死体が、浜に上がった事を伝えた。
そして、久しぶりに会った民子は、昔とは全然雰囲気が違うと語るのだった。
信一が帰った後、町医者、安田(小栗一也)がやって来た。
そこで早苗は、民子が安田を買収して、早苗の赤ん坊を殺させたという内緒話を偶然聞いてしまう。
その夜、早苗は、好江(本田淳子)が森の小屋で、赤ん坊をあやしているのを見た。


【解説】

この回でも、映像では描かれないが、謙三は飼い犬を躊躇なく殺害している。謙三の残虐ぶりがいよいよ増してくる。
まるで見張るように色々な所に不気味に出没、早苗を追い詰めてゆく気味悪い展開となる。
だが、それまでの残虐さが嘘のように、豹変して殴りつける民子には、ただ助けを求めるだけで無抵抗なまま殴られ続ける二面性を見せる。
回を重ねるごとに、岸田森の演技は緊張感を増してゆき、物語を盛り立ててゆく。


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昭和47年10月24日(火)放映


第4回

監 督山本迪夫脚 本松木ひろし


【出演】

星由里子(手塚早苗)大塚道子(手塚民子)岸田森(謙三)山本紀彦(信一)本田淳子(好江)
中北千枝子矢島正明(ナレーター)


【物語】

死んで土の中に埋められたはずの、早苗(星由里子)の赤ん坊は生きていた。
謙三(岸田森)の娘、好江(本田淳子)が、森の小屋で密かに育てていたのだ。
夜中、謙三が埋めた箱から泣き声がしたので、掘り返したのだという。
早苗は、漁師の信一(山本紀彦)が昔の民子(大塚道子)とは違うといったことを思い出した。
確かに、昔の民子の写真と、今の民子とはホクロの位置が違っている。
今の民子は、民子の姉が入れ替わっているらしい。
早苗は、唯一頼れる信一に助けを求めた。
だが、早苗が信一に宛てた手紙を、民子が読んでしまう。
その夜、早苗は赤ちゃんと共に屋敷を逃げ出した。
だが、そこで見たのは、迎えに来ていくれているはずの信一の死体だった。



【解説】

生きている赤ん坊を躊躇無く生き埋めにしたり、秘密を知った信一(山本紀彦)を、伊勢えびを使って脅しをかけるシーンが描かれた。
カエルの皮を剥いだり、飼い犬を殺したりと、このシリーズでは、謙三(岸田森)は躊躇なく動物を殺し、残虐性がクローズアップされる。
だが、それがコンプレクスから来るという事を感じさせる演技を所々にはさみ、
表面だけの残虐描写に終わらせていないところはさすが岸田森、演技構成が素晴らしい。
途中の、タバコを味噌汁椀で消すシーンは、細かい演技で派手ではないがキャラクターの不気味さを盛り上げる見事な演技プランだ。



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昭和47年10月31日(火)放映


第5回

監 督山本迪夫脚 本松木ひろし


【出演】

星由里子(手塚早苗)大塚道子(手塚民子)岸田森(謙三)佐原健二(沖山)天草四郎
本田淳子(好江)田川恒夫小栗一也(安田)矢島正明(ナレーター)


【物語】

殺害したのは謙三(岸田森)だった。
次に民子(大塚道子)は、病気か自殺に見せかけて早苗(星由里子)を殺そうとしていた。
その頃、早苗は森の小屋で、好江(本田淳子)から真実を聞いていた。
自分の母、節子(大塚道子・二役)が、優しい民子を殺し入れ替わっていたという事を。
節子は、家の乗っ取りをたくらんでいたのだ。
節子に見つかった早苗は、屋敷の部屋に立てこもる。だが、赤ちゃんは謙三に奪われてしまい睡眠薬をうたれてしまう。
そんな時、八郎(竜雷太)の同僚、沖山(佐原健二)が早苗を訪ねてくる。
その事が気に食わない謙三は、早苗に謝罪文を要求、嫌々ながら書く。
それは、遺書の代わりとしてとして使われるためのものだった。
それを知った好江は、ボヤを起こしてその隙に早苗と赤ちゃんを逃がす。



【解説】

物語上、謙三の正体もかなり明かされて、岸田森の悪役ぶりもこの回になると盛り上がり、
平然と好江(本田淳子)を殴り倒す狂暴ぶりを見せる。
早苗(星由里子)に、謝罪文を書かせるときのしつこい迫り具合はさすが岸田森ならではである。
来客を前に、早苗を追い抜いて無理やり階段を駆け下りるという、演技の工夫も冴えていた。



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昭和47年11月7日(火)放映


第6回(最終回)

監 督山本迪夫脚 本松木ひろし


【出演】

星由里子(手塚早苗)竜雷太(手塚八郎)大塚道子(手塚民子)岸田森(謙三)本田淳子(好江)
秋山文人新井和夫小栗一也(安田)矢島正明(ナレーター)


【物語】

森で謙三(岸田森)に追われた早苗(星由里子)は、偶然見つけた洞窟に逃げ込んだ。
そんな時、ベトナムへ取材に行っていたまま行方不明になっていた八郎(竜雷太)が、突然屋敷にやって来た。
ニュースは誤報だったのだ。
節子(大塚道子)は八郎に、民子の行方を言う事が出来なかった。
その夜、八郎は好江(本田淳子)から話を聞き、洞窟にいる早苗と無事再会した。
早苗の話から全てを知った八郎は、決着をつけるために屋敷へ戻るが、謙三に捕らえられてしまう。
追い詰められた節子は、ささいな事から口論となり激高、謙三を刺し殺してしまう。
事件は終わり、八郎、早苗の夫婦にとって、久しぶりの幸せが訪れた。
早苗たちは、一人残された謙三の子、好江を引き取り、四人で暮らす事にする。



【解説】

謙三は、八郎(竜雷太)を見て無神経な事を言い続ける。
それまでの切れ者ぶりが八郎へのコンプレクスによって崩れ始めてゆく。
この回岸田森は大熱演を見せる。
クライマックスで自分の生い立ちを告白する5分近いシーンは特に物凄い。
八郎を脅しているはずが、母親への告白へとすり替わるあたりの演技構成は見事だ。
最後には母、節子に刺し殺され「かあさん、あんた…」という一言を残し絶命する。



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