昭和49年10月3日(木)放映


第1話「不義者俊平」


監 督佐伯孚治脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)田坂都(おしん)岩崎信忠(千之助)
岡本崇(太一郎)大前均(お相撲徳)丹古母鬼馬二(為五郎)西山辰夫(家老)不破潤(井本兵庫)
入江慎也(目付)浜伸二(寺内源之進)滝譲二(留吉)北野拓也(文造)暁新太郎(赤岩の子分A)
美樹博(赤岩の子分B)志垣太郎(道家鋭三郎)吉田聖一(西丸主馬)乃木年雄(古着屋)重久剛(飛脚)
伊波一夫(番頭)三浦徳子(女郎)小林加奈枝(茶店の老婆)畑村佳代子(小女)菅貫太郎(松平丹波守)
火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛)   


【物語】

美作藩家人、楢井俊平(近藤正臣)は、藩主松平丹波守(菅貫太郎)の命で、
心ならずも親友の森千之助を上意討ちにしてしまう。
しかし、上意討ちは、千之助の妻菊(和泉雅子)を我物にしようという藩主の下心からのものだった。
それを知った俊平は、菊と息子の太一郎(岡本崇)を連れて脱藩する。
江戸へと向かう三人を、千之助の父嘉兵衛(佐藤慶)と異母弟、伝八郎(岸田森)が追った。



【解説】

冒頭からいきなり立ち回りがある軽快な出 だしの第1話。
何故、俊平(近藤正臣)が不義者と呼ばれ追われる身になったったかが手際良く描かれる。
途中出会った、弥吉(火野正平)と鋭三郎(志垣太郎)のキャラクターが、
暗く沈みがちなストーリーに明るさを与えた。

岸田森が演じる森伝八郎は、妾腹に産まれたばかりに今まで苦汁をなめてきたが、
この事件を解決すれば自分が父、嘉兵衛(佐藤慶)の道場を継ぐことが出来ると、色々な策略を打って出る。
屈折したキャラクターを、岸田森は大変印象深く演じた。



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昭和49年10月10日(木)放映


第2話「松平はずし」


監 督佐伯孚治脚 本横光晃



【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)
高森和子(おたみ)長谷川弘(儀十)千葉敏郎(深編笠の浪人)千葉保(下足番)堀北幸夫(覆面の武士)
笹吾朗(宿の番頭)内田真江(女郎)火野正平(弥吉)藤川準(旅人A)橋本尚友(旅人B)
真木祥次郎(初老の旅人)美鷹健児(駕篭店の者)三木昭八郎(駕篭かき)山内八郎(用人)丸尾好弘(子分)
東悦次(子分)扇田喜久一(子分)橋本和博(子分)志垣太郎(道家鋭三郎)佐藤慶(森嘉兵衛)


【物語】

俊平(近藤正臣)達は播州松平領の宿に落ち着いた。
だが、そこで「松平はずし」の処刑を目撃する。
自分たちにも「松平はずし」が掛けられているかもしれないと恐れた俊平は、急いで宿を引き払う。
恐れた通りに、嘉兵衛(佐藤慶)と伝八郎(岸田森)は、宿を一軒づつ改め始めていた。
俊平たちは、間一髪二人から逃れる。
松平藩から脱出するために、俊平たちは、弥吉(火野正平)の助言で
「目こぼし駕篭」を頼んでみることにした。



【解説】

「松平はずし」とは、「松平廻状」の別名で、松平姓を名乗る二十八藩だけに回される指名手配書。
ここに書かれた罪人は、松平藩の手で闇から闇へと葬られる。
それを逃れるために、俊平(近藤正臣)たちは、関所を自由に通れる「目こぼし駕篭」に乗り込む。
岸田森が演じる伝八郎は、このエピソードで投槍の腕を存分に発揮した。
第1話での槍の描かれ方が、中途半端なだけに印象的だ。



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昭和49年10月17日(木)放映


第3話「お札くずれ」


監 督太田昭和脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)
小島三児(伊助)根岸一臣(本間十蔵)阿藤海(荒谷庄兵衛)岩尾正隆(川野作次郎)志垣太郎(道家鋭三郎)
沖時男(刀屋 主人)飯塚明美(おちよ)松尾勝人(喜八)伊波一夫(清吉)香月京子(おみね)
朝比奈潔子(おこと)和田かつら(おもん)火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛) 


【物語】

伝八郎(岸田森)は、宿泊した宿場で偶然、俊平(近藤正臣)達を見掛ける。
自分一人で手柄を立てようと考えた伝八郎は、邪魔な嘉兵衛(佐藤慶)を山中におびき出す。
計略に気づいた嘉兵衛は、
誤って足を踏み外し谷川に落ちてしまい、偶然、菊(和泉雅子)に救われた。



【解説】

伝八郎(岸田森)のひねくれたキャラクターが際立った一本。
伝八郎は、嘉兵衛(佐藤慶)のふとした言葉から、
菊(和泉雅子)の子、太一郎(岡本崇)がいるかぎり、自分が森家を継げないと悟った。
偶然、俊平(近藤正臣)達を発見した伝八郎は、叔父、嘉兵衛を騙して自分から遠ざけ、
その間に太一郎を斬り捨てようと謀る。
しかし、間一髪、太一郎は逃げ出し、菊だけを捕らえた。
以前から菊を狙っていた伝八郎が、ねちっこく彼女に言い寄るシーンは、
静かながら異様な迫力に満ちている。こういう芝居は、岸田森の独壇場だ。



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昭和49年10月24日(木)放映


第4話「女が峠を越えるとき」


監 督太田昭和脚 本横光晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)横山リエ(たか)
倉野章子(みき)笠原玲子(ゆう)宮前ゆかり(ちせ)小柳圭子(女中)火野正平(弥吉)
森章二(女衒)堀北幸夫(野盗首領)花岡秀樹(関所役人)三笠敬子(ふさ)広田和彦(駕篭かき)
美鷹健児(駕篭かき)渥美智里(女郎)常盤茂子(女郎)入江須恵子(女郎)服部明美(女郎)
柳沢真一(行商人)志垣太郎(道家鋭三郎)佐藤慶(森嘉兵衛)  


【物語】

山越えをしている最中、立ち寄った無人の村で、女郎達の一行と出会った。
一行は、山賊に狙われているので助けてほしいという。
俊平(近藤正臣)は、女郎達を襲撃してきた山賊をことごとく打ち倒す。
女ばかりだと思っていた山賊たちは、俊平の強さを見て仲間を呼びに戻ってしまった。
数にはかなわないと見た俊平は、
たった一人で敵陣へ乗り込み、山賊の首領を斬り捨てることに成功する。


【解説】

「山越え女郎」を助けることになる俊平(近藤正臣)達一行の物語。
「山越え女郎」とは、藩政が変わって遊廓が取りつぶしになった時などに、
山を越えて他の藩の遊廓に行く女郎達の一行の事。
山賊たちにとっては、またとない獲物だ。
殺陣の最中、鋭三郎(志垣太郎)の刀が何回も折れたり曲がったりする描写が、リアルで面白い。
岸田森たちは、最初と最後に登場する。
山越えをする俊平たちを先回りして待ち伏せているが、女郎たちの助けで間一髪逃げられてしまう。
テレビガイドなどでは「山越え女郎」のサブタイトルで紹介されているので、
放映直前に変更になったと思われる。


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昭和49年10月31日(木)放映


第5話「女が命を燃やすとき」


監 督松野宏軌脚 本松田司



【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)
江幡高志(甚吉)三島ゆり子(お紺)木村元(田中勘三)火野正平(弥吉)加茂雅幹(細兵衛子分)
東悦次(細兵衛子分)広田和彦(細兵衛子分)北見唯一(番頭)柴田和子(女中)井上明子(斬られる女)
横堀秀勝(介添役)金田龍之介(からくり細兵衛)志垣太郎(道家鋭三郎)佐藤慶(森嘉兵衛) 


【物語】

野宿をしていた俊平(近藤正臣)達が目を覚ますと、太一郎(岡本崇)がいなくなっていた。
あわてて近くを探し、林の中の炭焼小屋へ探しに入った俊平は、地下室に転落してしまう。
炭焼小屋は、盗賊の隠れ家で、太一郎はそこで盗賊にとらえられていた。
一方、別行動の菊(和泉雅子)は、追ってきた伝八郎(岸田森)に見つかり、槍で脅される。


【解説】

この回では、伝八郎(岸田森)は、菊(和泉雅子)を
第3話に引き続きいたぶる。
しかも、今回は槍を使うから始末に悪い。
菊に拒絶された伝八郎は、最後に晒し者にしながら連れ回すというひねくれた行動にでる。
伝八郎の策略で、話がどんどん複雑に入り組んでゆくエピソードである。



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昭和49年11月7日(木)放映


第6話「女が道を変えるとき」


監 督松野宏軌脚 本横光晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)富川K夫(永井啓之進)
暁新太郎(浪人)馬場勝義(浪人)渡辺憲悟(浪人)大井進(浪人)志垣太郎(道家鋭三郎)
丸尾好弘(警護兵)横堀秀勝(警護兵)伊波一夫(警護兵)広田和彦(警護兵)原田逸夫(藩士)
橋本和博(藩士)小泉一郎(藩士)美鷹健児(藩士)小笠原良知(田島玄斎)藤川準(高野重兵衛)
弓恵子(梢)火野正平(弥吉)   


【物語】

菊(和泉雅子)は、俊平(近藤正臣)への気持ちが抑えられなくなり、
太一郎(岡本崇)と共にだまって宿を出てしまう。
菊たちが辻堂で一休みをしていると、そこに女武道の梢(弓恵子)が現れた。
そして、当て身を食わされた菊が気づくと、太一郎の着物を着た子が置去りにされていた。
太一郎は、梢が警護する泉藩の若殿の身代わりにされたのだ。


【解説】

第5話
「女が命を燃やすとき」で、伝八郎(岸田森)に責められ続けた菊(和泉雅子)は、
とうとう俊平(近藤正臣)に対する言ってはならない本心を告白してしまう。
今回は、それを引き継いでのエピソード。
俊平に本心を隠し通せる自信をなくした菊は、とうとう俊平と別れて旅をする決心をする。
しかし、泉藩の内紛に巻き込まれて、再び俊平の元に引き戻されてしまう。
このエピソードは、番外編的なもので、
嘉兵衛(佐藤慶)と伝八郎(岸田森)は出演していない。
冒頭のストーリー紹介部分と、中盤にある第5話の回想シーンには、
岸田森が過去に登場したシーンが使われている。



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昭和49年11月14日(木)放映


第7話「男は待っていた」


監 督大熊邦也脚 本国弘威雄


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)
岩崎信忠(森千之助)千原しのぶ(みね)五味龍太郎(大橋半蔵)志垣太郎(道家鋭三郎)川口敦子(吉岡つや)
柴田p彦(三沢市之助)阿木吾郎(松岡主計頭)赤井タンク(町人)泉祐介(町人)松岡与志雄(御用人田岡)
馬場勝義(役人)渡辺憲吾(役人)大井進(役人)橋本和博(役人)早川保(吉岡敬一郎)
火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛)   


【物語】

山中の荒れ寺にたどりついた俊平(近藤正臣)らは、浪人吉岡敬一郎(早川保)に出会った。
吉岡は、密通した妻と男を討つ身だった。
俊平らに追っ手がせまったとき、吉岡は加勢するという。
その頃、弥吉(火野正平)たちは、心中しようとしている男女に出会う。
この二人こそ、吉岡の追っている不義者だった。



【解説】

物語は、女(め)敵討ちをしようとしている吉岡(早川保)を中心に進む。
彼は妻の言葉を聞き、結局は自らが手を引く道を選ぶ。
そして最後には、妻達共々、俊平(近藤正臣)達を助けるために、壮絶な最期を遂げた。
このエピソードで、初めて伝八郎(岸田森)の過去がクローズアップされる。
妾腹だった伝八郎と母親は、体面を重んじる兄のために、菊(和泉雅子)達の結婚式にも呼ばれず、
その式の最中に母が病死してしまうという悲しい過去があった。
乱闘になったとき、真っ先に菊の息子太一郎(岡本崇)を討とうとするほど、この怨みは深かった。



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昭和49年11月21日(木)放映


第8話「女が愛にゆれるとき」


監 督工藤栄一脚 本横光晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)牧冬吉(船頭)
田中弘史(源七)伝法三千雄(棺桶屋)沖時男(番頭)松尾勝人(番人)伊波一夫(番人)
横堀秀勝(山男)鈴木義章(山男)小泉一郎(山男)日下弥一(山男)加茂さくら(たき)
火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛)   


【物語】

菊(和泉雅子)にからんだ宿場のならず者の源平を、俊平(近藤正臣)は斬って捨てた。
一方、伝八郎(岸田森)達は着々と俊平たちを追い詰めて来る。
疲れの見える菊(和泉雅子)のために、俊平達は船で川下りをすることにした。
そこに、たき(加茂さくら)という女が船頭をかって出る。
しかし、菊と太一郎だけを船に乗せると、俊平を敵の前に置き去りにして岸を離れてしまう。
たきは、ならずもの源平の妻。
復讐のために、俊平を置き去りにしたのだ。


【解説】

同時期に放映していた
『傷だらけの天使』でも岸田森と組む、工藤栄一監督作品。
全編の半分以上が川下りという、アクティブな話に仕上がっている。
伝八郎(岸田森)は、船を見つけると、太一郎(岡本崇)が乗っているにもかかわらず、鉄砲を撃ちかける。
また、急流に突入する船を見て動揺する嘉兵衛(佐藤慶)に向かって、
死体は上がらないでしょうと、伝八郎はあっさり言い放つ。
こういう非情な振る舞いを平然とするキャラクターを、岸田森は見事に演じている。



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昭和49年11月28日(木)放映


第9話「男は耐えていた」


監 督工藤栄一脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)上田忠好(玄庵)
池田忠夫(茂兵衛)近江輝子(おみよ)火野正平(弥吉)吉田良全(与助)下元年雄(捨吉)
家野繁次(村人)広岡善四郎(村人)伊吹新吾(勘三)多賀勝(留十)松田明(春吉)
島米八(半次)大橋壮多(岩次郎)谷村昌彦(新八)志垣太郎(道家鋭三郎) 


【物語】

俊平(近藤正臣)たちは宿場に着いたが、不義者と言うだけで恐れをなして泊めてくれる宿はなかった。
熱のある菊(和泉雅子)を診てもらうために俊平は医者(上田忠好)を呼びに行くが、
医者は村人同様冷淡だった。
かっとなり医者を斬りそうになる俊平に、村人達は憎悪の目を向ける。
そんな時、以前村人達に弟を縛り首にされた、ヤクザの勘三(伊吹新吾)が戻って来た。


【解説】

不義者というだけで冷淡な村人が、天領という名目を守るために、右往左往する。
そして、俊平たちの力を借りてならず者を倒しておきながら、
手のひらを返したように村から追い出してしまう。
この話には、冒頭のあらすじシーンで過去の映像が使われた以外に、岸田森は出演しない。



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昭和49年12月5日(木)放映


第10話「女が炎になるとき」


監 督田中徳三脚 本横山晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岡本崇(太一郎)賀川雪絵(けい)桜井浩子(とせ)
志垣太郎(道家鋭三郎)出水憲司(武士)花岡秀樹(武士)宮川珠季(武士)丘夏子(りく)
内田真江(さき)阿波地大輔(頭目)笹吾郎(番頭)加藤清武(万屋主人)伊波一夫(男)
服部明美(母親)火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛)  


【物語】

俊平(近藤正臣)と菊(和泉雅子)は、太一郎(岡本崇)を弥吉(火野正平)に預け、山の間道を行く。
吹雪の中、山小屋に着いた俊平は、薪をとりに出て山犬に襲われ、谷川に落ちた。
気を失った俊平を暖めるには、自分の体しかない。
菊は、裸になり俊平を暖める。
そこに、嘉兵衛(佐藤慶)が現れた。



【解説】

嘉兵衛(佐藤慶)の心の揺れにスポットを当てた作品。
喜兵衛は、菊(和泉雅子)が不義者ではない事を祈っているが、弁解には一切耳を傾けようとはしない。
高熱で身動きできない俊平(近藤正臣)に、情けを掛けて斬ろうとはしなかった。
しかし、負傷した自分を討とうとしない俊平には、つい、お前は甘いとつい言ってしまうのだった。
この話にも、岸田森は冒頭のあらすじで使用された過去の映像シーン以外に出演していない


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昭和49年12月12日(木)放映


第11話「女が闘うとき」


監 督田中徳三脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)富田浩太郎(作左衛門)
中井啓輔(小寺甚内)九重ひろ子(おかつ)福田真知子(おその)中塚和代(おもん)和田かつら(おたみ)
古川ロック(村人)千代田進一(村人)乃木年雄(村人)田中直行(武士)加茂雅幹(武士)
美樹博(武士)星田知則(作太郎)扇田喜久一(役人)広田和彦(役人)入江若葉(はな)
火野正平(弥吉)    


【物語】

飛騨の山奥で、太一郎(岡本崇)が名主の息子の危機を救ったことから、
一行は、この家に疲れた体を休めた。
主人の作左右衛門(富田浩太郎)の好意で、
つかのまの安らぎをむさぼる俊平(近藤正臣)と菊(和泉雅子)。
だが、伝八郎(岸田森)は、すでに二人の行方を突き止め、代官を抱きこんでいた。


【解説】

われていた二人が逃げ込んだ村は、好意に満ちあふれていた。
村人達は、二人を不義者と知りつつ、留まったらどうかとまで言ってくれる。
俊平(近藤正臣)は、菊(和泉雅子)と一緒に村に住む決心をする。
しかし、非情にも、「松平はずし」の手が伸びてくる。
伝八郎(岸田森)の捜索は情け容赦なく、匿う村人を簡単に殺害してしまう。
その壮絶さには、悪代官すら声もないほどだった。



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昭和49年12月19日(木)放映


第12話「男は賭けた」


監 督西村大介脚 本安倍徹郎大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)田坂都(おしん)岡本崇(太一郎)
垂水悟郎(水田主膳)不破潤(黒木)横堀秀勝(赤尾)浜田雄史(白石)火野正平(弥吉)
遠山二郎(三次)重久剛(多吉)滝譲二(見張番)堀北幸夫(武士)扇田喜久一(武士)
平井靖(武士)美鷹健児(武士)内田真江(おりん)山岸タネ(老婆)小泉一郎(宿の客)
山内八郎(宿の客)丹古母鬼馬二(鬼塚鉄之助)絵沢萠子(お弓)入江保則(横川庄十郎)志垣太郎(道家鋭三郎)


【物語】

山中で、菊(和泉雅子)と太一郎(岡本崇)がさらわれた。
そこは、信州高嶋藩の隠し銀山だったのだ。
一方、俊平(近藤正臣)は、隠し銀山の秘密と引き換えに、
家老の水田(垂水悟郎)に掛け合い、捕らわれた二人を取り戻そうとする。
隠し銀山には、偶然鋭三郎(志垣太郎)が仕官していた。
鋭三郎は、牢を抜け出た太一郎を匿った。



【解説】

俊平(近藤正臣)と、切れ物家老、水田(垂水悟郎)の、
隠し銀山をめぐっての駆け引きを中心に描くエピソード。
伝八郎(岸田森)は、今回はわざわざ高嶋藩の城下までおびき出されて、
俊平たちの逃亡に利用されてしまう。
岸田森が演じる伝八郎は、存在を利用された形で、それほどの活躍はしない。



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昭和49年12月26日(木)放映


第13話「あなたが欲しい」


監 督松野宏軌脚 本早坂暁


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)稲葉義男(勝呂勘右衛門)
加藤和夫(城戸多聞)楠田薫(姉小路)森秀人(源左衛門)北原将光(羽倉)下元年世(堀田)
火野正平(弥吉)永田光男(老中)溝田繁(老中)武周暢(老中)宮前ゆかり(幸姫)
日高綾子(常女)平井靖(茶坊主)広田和彦(日啓)水上杢太郎(越後屋主人)伊波一夫(番頭)
西川ヒノデ(大道芸人)千代田進一(どん八)<鈴木瑞穂(水野越前守)佐藤慶(森嘉兵衛) 


【物語】

俊平達は、嘉兵衛(佐藤慶)達の追跡を逃れて、
間一髪、菊(和泉雅子)の伯父、勝呂(稲葉義男)の江戸屋敷に逃げ込む。
さすがの嘉兵衛たちも、幕府目付け役の屋敷に踏み込むわけには行かなかった。
しかし、ここにも松平藩の手が回っていた。
俊平(近藤正臣)達が通された部屋には、切腹の用意がされていた。
勝呂は、不義者には死があるのみと、俊平に自決を促した。



【解説】

話は急展開を見せ、時の老中水野忠邦(鈴木瑞穂)が登場するまでになる。
作州松平藩18万石の存続を賭けた、政治の駆け引きに翻弄される俊平達を描く。
江戸中に作州節という、俊平達を歌った小唄が流行。
老中水野忠邦が不義を認めたという噂が市中流れてしまう。
忠邦は、体面を保つために、一度不問に付した俊平達に再び自決を強要する。
その間に、太一郎(岡本崇)が嘉兵衛(佐藤慶)らにさらわれ、
今度は俊平(近藤正臣)達が逆に追う立場になる。

当時のTVガイドなどでは「東海道心中旅」というサブタイトルで紹介されていたが、改題されている。



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昭和50年1月2日(木)放映


第14話「愛と死と…」


監 督松野宏軌脚 本佐々木守


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)奥村公延(庄屋)
遠藤征慈(鉄)遠山欽(やくざ)美鷹健児(黒鍬)横堀秀勝(黒鍬)小泉一郎(黒鍬)
永井龍夫(黒鍬)馬場勝義(黒鍬)新郷隆(黒鍬)橋本和博(黒鍬)村田篤宏(黒鍬)
広田和彦(やくざ)平井靖(やくざ)鈴木義章(やくざ)松尾勝人(農民)扇田喜久一(農民)
伊波一夫(農民)日高久(農民)丸尾好広(やくざ)東悦次(やくざ)加藤和夫(城戸多聞)
武周暢(阿部老中)火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛)  


【物語】

伝八郎(岸田森)は、太一郎(岡本崇)を殺害して、家督を継ぎたいばかりに、土地のヤクザ者を雇う。
太一郎を連れ去ろうとするヤクザに対して、嘉兵衛(佐藤慶)は、恥も外聞もなく土下座する。
そうまでしても、嘉兵衛は、太一郎の無事を案じていた。
そんな姿を見ていた菊(和泉雅子)は、将来を考えて、嘉兵衛に太一郎をたくす決心をする。
そして、ついに俊平(近藤正臣)と祝言を挙げ、小さな幸せを求めるのだった。



【解説】

作州松平藩が、水野忠邦を追い詰めるために流布させた「作州節」は、
今度は松平藩自身の首を締めることになる。
俊平たちを裁かないと、18万石がお取りつぶしになってしまうのだ。
伝八郎(岸田森)は、菊(和泉雅子)に対する自らの想いが破れてしまい、とうとう刺し殺してしまう。
菊と二人、手を取って生きてゆこうと誓っていた俊平(近藤正臣)は、ついに復讐の鬼と化した。



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昭和50年1月9日(木)放映


第15話「城中乱入」


監 督田中徳三脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)須賀不二夫(祭文の辰造)
永野達男(桂木筑後)志賀勝(多十)吉田良全(丑松)堀北幸夫(赤津)花岡秀樹(田丸)
美鷹健児(岩間)坂口徹(中本)梶本潔(荒崎玄蕃)伊吹新吾(玉井主馬)馬場勝義(黒鍬)
新郷隆(黒鍬)橋本和博(黒鍬)村田篤宏(黒鍬)小泉一郎(黒鍬者)横堀義勝(黒鍬者)
永井龍夫(黒鍬者)丸尾好広(黒鍬者)三木昭八郎(祭文の子分)平井靖(祭文の子分)並木稔(つぼ振り)
和田かつら(女中)菅貫太郎(松平丹波守)火野正平(弥吉)佐藤慶(森嘉兵衛) 


【物語】

俊平(近藤正臣)は、太一郎(岡本崇)を連れ帰る途中の嘉兵衛(佐藤慶)に、
誤解をとくべく直談判をした。
俊平たちの余りに突飛な話が、最初は信じられなかった嘉兵衛だった。
だが、帰った宿では、作洲藩の護衛の武士の一人が、俊平の話と同じく、
殿(菅貫太郎)に妻を差し出せといわれ、それを苦に切腹していた。
事態を悟った嘉兵衛は復讐の鬼と化し、殿を斬るべく作州松平藩へと急いだ。



【解説】

俊平(近藤正臣)達の真実を知った嘉兵衛(佐藤慶)が、武士のメンツにかけて、城中に乱入する。
伝八郎(岸田森)は、日陰者の自分が、日の光の当たるところに出るには、
森家の家名を継ぐ事しかないと、父と決別する。
そして、城中に乱入した父、嘉兵衛にとどめを刺してしまう。
これで自分が森家を継げると思った伝八郎だったが、
待っていたのは幼い太一郎(岡本崇)に無事家督を継がせろという沙汰だった。
あまりにも哀れな伝八郎を、岸田森は表情豊に見事に演じ切っていて必見のエピソードだ。
このエピソードから、番組タイトルが『斬り抜ける 俊平ひとり旅』に変更された。



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昭和50年1月16日(木)放映


第16話「城代暗殺」


監 督大熊邦也脚 本横光晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)外山高士(大久保高安)末広真樹子(たね)田畑猛雄(平塚精四郎)
唐沢民賢(田坂)柳原久仁夫(代貸の仙造)波田久夫(伊神鉄心)山口幸生(商人)沖時男(佐野屋)
千葉保(初老の男)佐藤慶(森嘉兵衛の声)松田明(駕篭屋)北見唯一(駕篭屋)西田良(組頭)
浅川美智子(女郎)平田澄子(若い娘)平井靖(藩士)馬場勝義(黒鍬)新郷隆(黒鍬)
橋本和博(黒鍬)村田篤宏(黒鍬)小泉一郎(黒鍬者)横堀義勝(黒鍬者)永井龍夫(黒鍬者)
丸尾好広(黒鍬者)火野正平(弥吉)藤田まこと(辰野平吾)  


【物語】

俊平(近藤正臣)に、嘉兵衛(佐藤慶)が生前したためた手紙が届く。
事態を知った俊平は、急ぎ駿府へ戻り、ある計画を実行しようとする。
一方、俊平を狙う黒鍬者たちは、駿府黒鍬の頭領、辰野(藤田まこと)に、俊平を倒せと命じた。



【解説】

藤田まことがゲスト。
必殺シリーズの名キャラクター中村主水そのままのキャラクターで登場し、場をさらう。
武家社会が、自らの人生を踏みにじったことを怨んだ俊平(近藤正臣)は、
その象徴である駿府城代を斬るという大胆な事を考え、実行する。
この回は、伝八郎(岸田森)が作州松平藩に帰っているので登場しない。
ただし、冒頭のあらすじシーンには、以前の映像で登場シーンが使われている。。



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昭和50年1月23日(木)放映


第17話「綾姫御殿」


監 督倉田準二脚 本横光晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)国景子(綾姫)伊達三郎(黒木玄蕃)近江輝子(老女)
神戸瓢介(親方)小林加奈枝(母親)宇崎尚韶(大工)横堀秀勝(黒鍬者)鈴木義章(黒鍬者)
小泉一郎(黒鍬者)松尾勝人(町人)広田和彦(町人)伊波一夫(町人)稀音屋社中(芸人)
美鷹健児(武士)扇田喜久一(武士)小山明子(くに)火野正平(弥吉) 


【物語】

俊平(近藤正臣)の腕を見込んで、
くに(小山明子)が、徳川家将軍の娘綾姫(国景子)を斬って欲しいと頼んできた。
恋人が、綾姫に惨殺されたというのだ。
最初は諭す俊平だったが、綾姫の、徳川の威光を笠に着た無法な遊興を知り怒りが爆発。
単身綾姫御殿に乗り込む。





【解説】

シリーズ初期からは考えられない勧善懲悪な物語。
視聴率の低迷から、コンセプトを大幅に変え、レギュラー達も整理されている。
だが、テコ入れ後に登場した、俊平を狙う黒鍬者達は簡単に斬られてしまい、あまりにも弱い。
伝八郎(岸田森)は、今回も冒頭のあらすじシーンと、中盤の回想シーン(
第14話から)に、
以前使用された映像で登場するのみ。
この回は、テレビガイドなどでは「姫君さらし」というサブタイトルで紹介されていた。



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昭和50年1月30日(木)放映


第18話「死地突入」


監 督家喜俊彦脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)水原英子(おみの)成瀬昌彦(矢来の竹熊)沖田駿一(銀次)
阿藤海(佐平)大竹修造(伊三)松岡与志雄(喜八)滝譲二(勘次)広田和彦(伝造)
藤沢薫(鵜殿甲斐守)田中弘史(本多修理)花岡秀樹(加倉井小十郎)柴田昭彦(宇田川権六)暁新太郎(子分)
平井靖(子分)扇田喜久一(子分)丸尾好広(子分)横堀秀勝(子分)大迫英善(子分)
松尾勝人(村人)伊波一夫(村人)火野正平(弥吉)中村敦夫(竜) 


【物語】

幕府から公家への献上品を狙い、俊平(近藤正臣)は、東海道関宿にやって来た。
同じころ、棺桶を引きずった股旅姿の浪人が宿に来る。
浪人は竜(中村敦夫)と言い、以前この土地のヤクザに殺されかけたことがある。
目的は、自分をはめたヤクザの親分、竹熊(成瀬昌彦)を斬ることだった。



【解説】

中村敦夫が、木枯し紋次郎のような股旅姿で登場。
棺桶を引きずっていたり、敵に腕を潰され、刀をくくりつけて闘ったりと、
マカロニウエスタン『続・荒野の用心棒』(1966)そっくりの活躍をする。
岸田森は、今回も以前の映像を使用した、冒頭のあらすじシーンのみの登場。



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昭和50年2月6日(木)放映


第19話「黄金振舞」



監 督太田昭和脚 本横光晃


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岡本崇(太一郎)嵐勘忍(亀吉)藤尾純(木村)
美鷹健児(武士)鈴木義章(武士)平井靖(武士)広田和彦(武士)松尾勝人(武士)
火野正平(弥吉)中村玉緒(せん)   


【物語】

大阪に着いた俊平(近藤正臣)達は、雑踏ですりのおせん(中村玉緒)に狙われる。
しかし、逆に弥吉(火野正平)共々おせんの家に強引に転がり込んでしまう。
二人が、今評判の不義者俊平たちだと知ったおせんは、
俊平の立てた大阪城御用蔵破りに、進んで協力する。



【解説】

中村玉緒をゲストに迎え、このシリーズには珍しくコメディータッチで描く。
岸田森は、冒頭のあらすじシーンと、ラストの回想シーンに過去の映像でほんの少しだけ登場。



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昭和50年2月13日(木)放映


第20話「作州炎上」(最終話)



監 督大熊邦也脚 本大工原正泰


【出演】

近藤正臣(楢井俊平)和泉雅子(森菊)岸田森(森伝八郎)岡本崇(太一郎)佐々木孝丸(桂木築後)
棟方巴里爾(若林主膳)田中直行(梶谷)出水憲司(赤津)森下鉄則(中本)浜伸二(榊原)
吉田良全(真木)小林加奈枝(老婆)小泉一郎(武士)平井靖(武士)丸尾好広(武士)
吉田さとみ(小姓)秋本喜代美(小姓)高木峰子(老婆)田中由香(少女)扇田喜久一(衛士)
横堀秀勝(衛士)伊波一夫(商人)加藤清武(商人)樋口央和(町人)橋本尚友(町人)
山内八郎(町人)河村禎二(能仕舞)菅貫太郎(松平丹波守)伊佐山ひろ子(幸の方)ジュディ・オング(紫野)
火野正平(弥吉)    


【物語】

俊平(近藤正臣)の、度重なる幕府に対する挑戦に、松平藩は窮地に陥る。
最後の手段として、太一郎(岡本崇)を囮に、
俊平を作州松平藩城内におびき寄せる作戦に出た。
松平藩に潜入した俊平は、
伝八郎(岸田森)一人で太一郎を連れてこなければ、
城中に火を放つと逆に脅しをかけ、城下を混乱に陥れた。



【解説】

松平藩に帰った伝八郎(岸田森)の、追い詰められたわびしい生活が描かれる。
藩士達からは父親殺しと罵られ、仲間も出来ずに台所で一人食事をする生活。
しかも、俊平(近藤正臣)から太一郎(岡本崇)を守るために命をかけなければならない。
森家の家督を継ぐために邪魔な太一郎の命を何故自分が守るのか、
その不運に母親の墓前で泣き崩れてしまう。
そんな彼を、紫野(ジュディ・オング)は気づかうが、伝八郎は素直に受け入れることが出来ない。
伝八郎は、俊平との一騎打ちで敗れ、紫野の腕の中で安らかな顔で息絶える。
岸田森とジュディ・オングの好演が、ストーリーを盛り上げ、
主役の近藤正臣の物語よりも感情移入をしやすい描かれ方をしていた。
この回の主役は、近藤正臣よりも岸田森と言っても良いエピソードである。



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