【声の仕事】
昭和52年2月 日( )〜 月 日( )
夜のサスペンス
「白い国籍のスパイ」
全7回
NHKラジオ第一放送
時00分〜 時 分( 分)
モノラル放送
原 作
ヨハネス・マリオ・ジンメル
【物語】
ロンドンで私設銀行を経営するトーマス・リーヴェン(声・岸田森)は、
もっともスマートで、もっとも成功した銀行家と言われていた。
1939年5月24日、第二次世界大戦前夜の暗雲漂う中、
トーマスは共同経営者マーロックに頼まれて、ドイツに出張した。
だが、それは銀行を乗っ取ろうとしたマーロックが、トーマスを騙そうと仕組んだ罠だった。
外国為替管理法違反で逮捕されてしまったトーマスは、
ゲシュタポからロンドンでスパイとして働かないかという提案を受ける。
断れば監獄行きとなるトーマスは、渋々引き受けてしまう。
だが、ロンドンへ帰って来たトーマスは、空港でイギリスの諜報機関に捕まってしまう。
すでにゲシュタポにスパイ依頼をされた事は知られており、
今度は愛国心を持ってイギリスのために働けという。
あまりの展開に、申し出を蹴ってフランスへと飛んだトーマスは、
今度はフランス諜報機関から脅され、スパイにならざるを得なくなる。
嫌々受けさせられたフランス諜報員の訓練だったが、
こなしてゆくうちにトーマスはスパイが自分に向いると感じるようになった。
自分を平和な生活から強引に引き離し、強制的にスパイに陥れた諜報機関に一泡吹かせようと、
トーマスはヨーロッパを股にかけた大規模なペテンを仕組む。
【解説】
ドイツのベストセラー作家が書いたスパイ小説「白い国籍のスパイ」のラジオドラマ化。
第二次世界大戦前後を舞台に、
スマートで、教養のある銀行家が、共同経営者の罠にはまったために、
各国の諜報を渡り歩く事になってしまうトーマス・リューベンの奇想天外な活躍を描く、傑作スパイ小説。
主役のトーマスは、根っからの平和主義者で、料理の腕前は天下一品という変り種。
他のスパイ小説みたいにアクションシーンはあまりなく、
ピンチに陥ると、その料理の腕で切り抜けてゆくという、ユーモアたっぷりで痛快な展開を見せる作品である。
昭和51
1976
年4月から始まったこの放送時間枠は、日本のサスペンス小説を中心にした単発作品を放送。
10月からは海外の作品を連続形式で放送。
この「白い国籍のスパイ」は、10月に放送されたディック・フランシスの「度胸」(7回)に引き続いてのラインナップ。
【岸田森の役】
トーマス・リューベン
料理の達人で、教養に富み、数ヶ国語が堪能という若くて成功したエリート銀行家。
ふとした事から、各国の諜報機関にその才能を見込まれて、次々と諜報活動を手伝う事になる。
だが、平和主義者だったトーマスは諜報活動を憎み、その頭脳を使ってあざやかに復讐を遂げてゆく。
いかにも、岸田森が演じそうな役で、このキャスティングは嬉しい限りである。
昭和52年5月1日(日)
地上最強の美女 バイオニックジェミー
第14話「パラサイコ!少女がジェミーを襲う」
The Bionic Woman #13 "The Ghosthunter"
日本テレビ放映
22時30分〜23時24分(54分)
カラー作品
Director
Kenneth Johnson
Writers
Justin Edgerton
Kenneth Johnson
【出演】
Lindsay Wagner(Jaime Sommers)
Richard Anderson(Oscar Goldman)
Martin E. Brooks(Dr. Rudy Wells)
Bo Brundin(Emil Laslo)
Susan Fleming(Lisa)
Merry Loomis(Nurse)
Kristy McNichol(Amanda Cory)
Paul Shenar(Dr. Alan Cory)
【吹替スタッフ】
演 出
佐藤敏夫
翻訳
木原たけし
【吹替出演】
田島令子(ジェミー)
勝部演之(オスカー)
岸田森(コーリィ)
富永美子(アマンダ)
菅野忠彦(エミール)
伊東ふみえ(看護婦)
【物語】
OSIの依頼で新装置を開発しているコーリィ博士(ポール・シェナー 声・岸田森)のもとへ、毎夜何者かが妨害にやって来る。
ジェミー(リンゼイ・ワーグナー 声・田島令子)は、調査のために博士の娘の家庭教師という事で家に入り込んだ。
その夜、ジェミーは妨害者が何者かを知るが、それは意外な人物だった。
【解説】
『地上最強の美女 バイオニックジェミー』は
『サイボーグ危機一髪』後の『600万ドルの男』
("The Six Million Dollar Man" 1974〜1978)のスピンオフシリーズとして製作されたアメリカのテレビシリーズ。
『サイボーグ危機一髪』の中で放映された
「誕生!バイオニック・ジェミー誕生秘話1、2」で紹介された主役スティーブ・オースティンの恋人ジェミーが、
スカイダイビング中に重傷を負い、サイボーグに改造されて活躍する。
スティーブ・オースティンと同じく、
ジェミーもOSI(政府機関オフィス・オブ・サイエンティフィク・インフォメーションの略)に所属し、
その特殊能力を利用して、様々な事件を解決する。
主人公が女性という事を生かして、色々な職業につかせたりする、
さながら女優リンゼイ・ワーグナーのファッションショーのような、明るい展開をみせた。
本国では1976年〜1978年の三年間に57本が放映されるが、
日本では『600万ドルの男』のエピソードも数本合わせ58本が放映された。
【岸田森の役】
コーリィ博士(ポール・シェナー)の吹き替え
珍しい、岸田森の海外テレビドラマ吹替作品。
ホラー風の作品に登場する科学者というのは、
和製ドラキュラとして名前が知れていた岸田森らしいキャスティングだ。
昭和52年10月31日(月)〜11月25日(金)
ラジオ劇画傑作シリーズ
ブラック・ジャック 全20話
(第一次放送分)
TBSラジオ 毎週月曜日〜金曜日放送
21時00分〜21時15分(15分)
モノラル放送
原 作
手塚治虫
脚 色
佐藤信
【解説】
天才的な手術の腕を持つが、法外な値段の手術料を要求する、
無免許の医者ブラック・ジャックを主人公にした手塚治虫原作の傑作コミックス
『ブラック・ジャック』を、岸田森主演でラジオドラマ化。
劇中、擬音やナレーションは、劇団コマドリの子役達4名がセリフだけで担当するという面白い演出で、
「ブラック・ジャック・ギャング団」と名付けられていた。
昭和52年10月〜昭和53年3月までのこの時間枠は「ラジオ劇画傑作シリーズ」と銘打たれていて、
コミック作品を次々にラジオドラマ化していた。この『ブラック・ジャック』は第2弾に当る。
ちなみに、ドラマ化された作品は以下の通り。
昭和52年10月3日(月)〜10月28日(金)
「あしたのジョー」(全20回)
昭和52年10月31日(月)〜11月25日(金)
「ブラック・ジャック」(全20話)
昭和52年11月28日(月)〜12月16日(金)
「少年の町ZF」(全20回)
昭和52年12月19日(月)〜12月30日(金)
「サハラ」(全10回)
昭和53年1月2日(月)〜1月27日(金)
「ゲゲゲの鬼太郎」(全20回)
昭和53年1月2日(月)〜1月27日(金)
「ブラック・ジャック(第二次放送分)」(全10回)
昭和53年2月13日(月)〜3月3日(金)
「750(ナナハン)ライダー」(全15回)
昭和53年3月6日(月)〜3月31日(金)
「包丁人味平」(全20回)
第6弾で「ブラック・ジャック」を再び10回放送しているが、これも岸田森が声を担当している。
【岸田森の役】
ブラック・ジャック:主人公
ニヒルで人情味あふれる名キャラクターを、格好良く演じていて聞き応えがある。
第14話「めぐりあい」のドラマ中、ブラック・ジャックが
ピノコ(声・松島みのり)に子守唄を聞かせるシーンがあり、珍しい岸田森の歌声が聴けた。
【各エピソード解説】
現在放映されたエピソードが判明しているのは、以下の15本。
第9話「はるかなる国から」は、コミックスに収録されている同作品とは内容が違い「えらばれたマスク」をドラマ化していた。
第1話「医者をさがせ!」
第2話「海のストレンジャー」
第3話「アナフィラキシー」
第4話「二度死んだ少年」
第6話「畸形嚢腫」
第9話「はるかなる国から」
第11話「ふたりの黒い医者」
第12話「白いライオン」
第13話「道すがら」
第14話「めぐりあい」
第15話「白い目」
第17話「雪の訪問者」
第18話「一ぴきだけの丘」
第19話「目には目を」
(原作のタイトル「報復」)
第20話「ピノコ・ラブストーリー」(最終話)
夜のミステリー(深夜版)
TBSラジオ放送
毎週日曜深夜(月曜日)
24時30分〜25時00分(30分)
モノラル作品
【解説】
月曜日から金曜日まで、10分のショートストーリーを放送して人気を博していたTBSラジオ『夜のミステリー』は、
昭和52
1977
年10月から日曜深夜へと時間帯を移行、
30分枠に拡大して毎週一回放送となった。
キャスティングは、声優よりも俳優たちを多く起用していたのが特徴。
10分バージョンと同様、実験的な作品も数多く放送された。
案内人は、作家の都築道夫が担当している。
岸田森の出演が確認出来たのは、今の所5本。
まだ出演作品はあるはずだとは思うのだが、詳細は不明。
放送は、正確には月曜日の午前0時30分からとなるが、
新聞のラジオ欄などの便宜上、各エピソードの放送日は、前日の日曜日のものとなっているので注意。
【各エピソード解説】
第11話「連動」
第16話「夢の悪魔」
第33話「怪談・先祖がえり」
第42話「酒とバラと拳銃」
第63話「ジャンピング・トゥ・ザ・ムーン」
第73話「幽霊屋敷」(最終話)
昭和52年発売
LPレコード
「ボクシング 日本が生んだ世界チャンピオン15人」
CBS・ソニー制作
モノラル/ステレオ
監 修
郡司信夫
【解説】
沖縄出身のボクサー具志堅用高が、たったプロ入り九戦目で世界チャンピオンとなり、
日本中を沸かせてボクシングが注目された時に制作された、企画版LP。
日本プロボクシング界で、世界タイトルを保持した事のある十五名の、
代表的な試合の実況を中心に構成されている。
ビデオがまだ一般的ではなかった当時、
試合の雰囲気を音だけで伝えようと、非常に詳細な解説書がついていて、
それだけでも日本プロボクシング界の、簡単な歴史ガイドともなっている。
当時大ヒットしていたボクシング映画『ロッキー』(1976)のテーマもふんだんに使われており、
この映画のヒットもLP制作のきっかけになったのがわかる。
【岸田森の役】
ナレーター
場面転換の時などの解説を担当。
事実を朗々と語るナレーションは、十五人のチャンピオンを讃えるのにぴったりだった。