昭和55年3月4日(火)放映


第1話「男、オホーツクに消える−北海道−


監 督根本順善脚 本東條正年


【出演】

山田吾一(中川幸一)早川絵美(金子三枝子)梅津栄(金子久蔵)根岸とし江中井啓輔(警官)
上野山功一原口剛大木史朗松本幸三御園芳枝



【物語】

投資会社の課長が殺害された。
凡太郎(川谷拓三)は、現場に残されたピアノのカタログに目をつけ、聞き込みを進める。
その結果、中川(山田吾一)という男が北海道野付郡別海町の小学校にピアノを送ったことが判明した。
凡太郎は、新人の平太(清水健太郎)を連れて、現地へと飛ぶ。


【解説】

オープニングではちょっとコミカルな演技を見せるが、本編内では嫌味を多発する厳しい感じのチーフを演じている。
岸田森の出演は、前半とラストの二か所。旅先にはゆかず、東京でのシーンのみ。
徹底的に主人公二人を見下しており、「こういう華やかな雰囲気は、君たちには向いていない」と、
勝手に一人で記者会見の主役におさまっていた。


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昭和55年3月11日(火)放映


第2話「しなやかなライフル魔−九十九里浜−


監 督桜井一孝脚 本中村努



【出演】

原田美枝子(椿玲子)丘さとみ(石丸園子)萩原賢三浦信太郎岩越民治
寺田兼久川上久枝渡辺千恵



【物語】

世界的な建築家の石丸博士(萩原賢三)が、何者かに射殺された。
凡太郎(川谷拓三)と重久刑事(多宮健二)は、博士が総合開発計画を進めていた九十九里へ飛ぶ。
そこで、オートバイに乗った少女、玲子(原田美枝子)に出会い、交流を深めてゆく。
一方、東京で調査中の平太(清水健太郎)は、石丸博士には学生時代、椿次郎というライバルいる事を突き止めた。
そして、九十九里に本籍を持つ、玲子という娘がいた…


【解説】

勝新太郎のお気に入りだった原田美枝子の自然な演技が光る一編。
岸田森は、今回幅の狭いサングラスをかけ登場。東京のみの出演だが、射殺現場で陣頭指揮でアクティブに動く。
射撃犯を国際的なプロとにらみ、インターポールまで手をまわす。
だが、結局は空振りに終わり、九十九里に行った凡太郎のほうが、事件の核心に近づいていた。

セリフの入り方が独特で、他のセリフに構図外から被せるような演技が目立った。
相変わらず、凡太郎に上から目線で嫌味を言う演技が多く、二人の掛け合いがとぼけた味わいで面白い。




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昭和55年3月18日(火)放映


第3話「母さんを追うんだ−丹沢 大山−


監 督井上昭脚 本中村努


【出演】

笵文雀(夏子)常田富士男小林稔侍小林憲一(ノボル)新井真由美
黒沢正法藤巻潤(高森)


【物語】

凡太郎(川谷拓三)は、迷子のノボル(小林憲一)を保護する。
ノボルは、贈賄容疑を掛けられていたままビルから突き落とされて殺された高森(藤巻潤)の愛人、夏子(笵文雀)の子供だった。
凡太郎は、夏子の部屋にあった大山コマを手掛かりに、神奈川県大山へと向かう。



【解説】

神奈川県の大山を舞台にした作品。主役の川谷拓三が、急こう配なケーブルカーの線路を駆け上ったり、崖から転げ落ちたりと、体当たりな演技を見せる。
岸田森は、今回も東京のみの2シーンに出演。幅の狭いサングラスで、厳しい雰囲気を作り出している。 のんびりしたチーフを相手にせずに捜査会議をぐいぐいと進めてゆく。
わざと聴く人々から視線をそらせて朗々と語るのは、岸田森得意の演技だ。

ここまで、厳しい演技を見せていた岸田森だが、
ラスト、凡太郎(川谷拓三)から勧められた大山コマを、いきなり変な掛け声で回すコメディ風演技が楽しい。



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昭和55年3月25日(火)放映


第4話「赤い傘の犯行 −安曇野−(最終話)


監 督内藤誠脚 本高際和雄


【出演】

中島ゆたか(トモ子)平泉征(三村利之)常井浩(タケシ)谷口香内田稔
稲垣昭三岡本麗田村貫矢車武奈良光一


【物語】

銀行頭取の娘、牧子の死体が発見され、容疑者の三村利行(平泉征)が、長野県松本で逮捕された。
凡太郎(川谷拓三)と重久刑事(多宮健二)が容疑者を引き取りに行く。
しかし、護送中何者かに襲われて、その隙に容疑者は逃亡してしまう。
襲った犯人タケシ(常井浩)はすぐに捕まったが、三村の隠れ場所はかたくなに言わなかった。
凡太郎は、現地で友子(中島ゆたか)という女をマークする。




【解説】

今回も、岸田森は東京のシーンのみに出演。
最初は簡単な事件のために「肩の力を抜いて、気を楽に持って」と、凡太郎(川谷拓三)に事件を押し付ける。
その後、事件の解決が自分の進退にかかわると知った途端、急に弱気になるという極端に落差をつけた演技を見せる。
詰め寄る平太(清水健太郎)に、サンドイッチを食べながら「情勢が変わったんだ」と、いい加減に説得するシーンの演技が面白い。
今回は、珍しくラストシーンには登場しない。



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第5話〜第12話は、昭和59年3月21日(水)〜3月30日(金)に放映




昭和59年3月21日(水)放映


第5話「青春の脅迫者 −釧路−


監 督根本順善脚 本田中利世


【出演】

根岸とし江(章子)西田静志郎(吾一)中井啓輔原口剛梅津栄
高野真二大木史郎槇ひろ子御園芳枝高崎良三
竹内雅敏北川裕介尾田浩星光二岡田幸子
渡辺一弘矢車武奈良光一


【物語】

サラ金の社長が、白昼、人通りの多い交差点の真ん中で射殺される。
射殺される前、社長は手帳を拾って届けてくれた若い夫婦、吾一(西田静志郎)、章子(根岸とし江)と会食していた。
夫婦が何か事情を知っていると睨んだ凡太郎(川谷拓三)は、
釧路にフェリーで帰郷する二人を、平太(清水健太郎)と共に追った。




【解説】

今回は、釧路へ向かうフェリー内と、釧路での出来事が半々くらいで描かれている少しイレギュラーな展開。
岸田森は、相変わらず捜査会議をてきぱきとこなすが、今回は珍しく捜査の前面に立って取り調べを行う。
ただ、尋問相手に「下っ端」と言われ、プライドがズタズタになってしまい挙動不審になってしまう。
ここらへんの考え抜いた演技が実に見事である。
また、ラストでは、凡太郎(川谷拓三)が事件を解決した事に対して「誰が釧路行きを許可した!」と盛大な嫌味をかますが、
キャップに「君だよ」とあっさり言われ、大げさにズッコケて撃沈する。
岸田森のコメディ調の演技は、回数を重ねるごとに洗練されてゆく。



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昭和59年3月22日(木)放映


第6話「五島しまからの手紙たより −五島列島−


監 督根本順善脚 本中野顕彰小倉洋二


【出演】

にしきのあきら矢島洋子江浜庄吾佐々木智美谷口とめ
松井由次郎佐々木敏美大前田武奈良光一矢車武


【物語】

競馬のノミ屋が殺害された。
ノミ行為が暴力団の資金源になっていた事もあり、松本班は捜査に加わった。
唯一の証拠、現場に落ちていた古い十字架のネックレスと同じものが、歌手の洋子(矢島洋子)のジャケットに写っていた。
凡太郎(川谷拓三)は、平太(清水健太郎)と共に、彼女の故郷、五島列島へと飛ぶ。



【解説】

フォークシンガーの矢島洋子が、本名で出演。
サブタイトルと同じ「五島からの手紙」という曲の作詞、作曲を手掛け、劇中でも本人が歌っている意欲作。
今回の岸田森は、白いスーツに黒シャツというい衣装に代わっている。
「一つの証拠をみつけたら、それを最後まで追い続けるのが捜査の基本」と、いつもの通り凡太郎(川谷拓三)を仲間外れにしようとするが、
その言葉を平太(清水健太郎)に逆手にとられて、いやいやながら五島列島への出張を許可する。
出演は冒頭2シーン。凡太郎と平太への対応を極端に変える演技が面白い。




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昭和59年3月23日(金)放映


第7話「海に沈めた醜聞スキャンダル −五島・有川−


監 督根本順善脚 本田中利世


【出演】

赤座美代子森次晃嗣村松克巳福山象三奈良光一
矢車武


【物語】

東京で銀行強盗が起きる。犯人の情婦が五島列島にいるらしく、犯人が立ち回る可能性があった。
事件を解決したばかりでのんびりしていた凡太郎(川谷拓三)は、五島列島に逆戻りする。
五島に戻る船の中で、美人で気さくなミワ子(赤座美代子)と知り合う。
二か月前まで東京にいて、五島列島の漁師(森次晃嗣)と所帯を持ったという。
実は、彼女が犯人の元情婦だった…



【解説】

再び五島列島編。
岸田森と同じ六月劇場の村松克巳をゲストに、赤座美代子、森次晃嗣と、豪華なメンバーで五島列島へロケ撮影に行っている。
あいかわらず凡太郎(川谷拓三)とのいがみ合いの演技をコメディ風の間合いで演じている岸田森は、
『傷だらけの天使』(昭和49年1974)の辰巳を彷彿とさせる。
今回は、夢のシーンでヤクザを芝居がかって演じる悪ノリシーンがある。
パンチパーマ風なのが珍しい。多分、映画『動乱』(昭和55年1980)の時の髪型ではないだろうか。



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昭和59年3月26日(月)放映


第8話「雪山に埋めた殺意 −八ヶ岳・原村−


監 督内藤誠脚 本佐藤繁子


【出演】

大信田礼子遠藤征慈横森久小林千枝和田周
山根久幸栗田八郎近江信行矢車武奈良光一


【物語】

多摩ニュータウン造成地から女性の他殺体が掘り出される。
殺されたのは、ミトモ商事の社長秘書。
ミトモ商事は数十億に及ぶ脱税の疑いがあり、被害者は国税庁がマークしていた矢先に殺された。
被害者は、殺される直前、長野に旅行していた。
長野から帰ったばかりの凡太郎(川谷拓三)は、再び長野へと彼女の足取りを追うことになる。



【解説】

雪の八ヶ岳山麓が舞台。
岸田森は東京での捜査会議の1シーンのみの出演。
マイペースな松本キャップ(伊沢一郎)のやり方を無視して、会議を進めてゆく。
凡太郎(川谷拓三)を捜査のメインから外すために、事件に関係なさそうな足取りを凡太郎に追わせる。
松本チーフを無視して、凡太郎に嫌味をはさなみがらもてきぱきと進める捜査会議は、この番組の名物かもしれない。
今回は、衣装が黒いスーツに戻っている。



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昭和59年3月27日(火)放映


第9話「かもめのように翔んだ −別府−


監 督江崎実生脚 本池田一朗


【出演】

頭師佳孝(英次)一ノ瀬康子大塚道子井上博一鶴岡修
堀礼文高桐真儘田明松川信宮田光


【物語】

暴走した車が爆発、運転手の英次(頭師佳孝)が死亡する。
この運転手は、不正入学事件で揺れる城南大学の理事長お抱えだった。
だが、目撃者の証言から、事故ではなく殺人と断定された。
英次は、車にカセットレコーダーを仕掛け、不正入学事件の証拠を録音していた。
凡太郎(川谷拓三)と平太(清水健太郎)は、英次の親族に会いに別府へと飛んだ。
死んだと思われていた英次も、実は生き延びて証拠のカセットテープを持って別府へと来ていた。



【解説】

別府を舞台に、兄弟間の葛藤を中心に描くエピソード。
珍しくラーメン屋の主人東兵衛(伴淳三郎)が、別府まで来て二人と共に行動する。
岸田森は、今回は白いスーツで登場。出演シーンは前話同様捜査会議の1シーンのみ。
シーンは短めで、手際良く事件の説明をする。
いつものような嫌味はあまりないが、
平太(清水健太郎)が自分の事をモデルにいたずら書きしていたのを見つけ、顔色を変えずに奪い取る。
多分、その落書きのために平太の休暇が取り消しになり、別府へと出張になったのだろう。



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昭和59年3月28日(水)放映


第10話「霧の町の少女 −湯布院−


監 督江崎実生脚 本池田一朗


【出演】

新谷由美子三条美紀江幡高志灰地順鶴岡修
沖田駿一小瀬朗本間文子槇ひろ子朝比奈尚之
花房透井上博一松川信伍代俊介角田美和
工藤玲子


【物語】


高部コンチェルンの支配者一族が、次々と殺される事件が起きた。
花形チーフ(岸田森)は、一族の巨額の遺産を巡る争いではないかと睨んでいた。
そんな時、大分県湯布院にいた高部一族の娘が殺される。
事件を重く見た花形チーフは、自ら湯布院へと乗り込む。
だが、湯布院には、大分の事件を解決した凡太郎(川谷拓三)が、偶然休暇をとっていた…。



【解説】

再び大分ロケ編。
別府の事件後、湯布院で休暇中の凡太郎(川谷拓三)、ラーメン屋の主人東兵衛(伴淳三郎)が、事件に巻き込まれる。
岸田森は、いつものように冒頭の捜査会議に出演後、湯布院まで直々に乗り込んできて陣頭指揮をとる。
高部コンチェルンという上流階級を相手に、捜査を進めてゆく貫禄はさすが。
休暇で温泉に入浴中の凡太郎を、素っ裸で立たせネチネチ嫌味を言うが、
東兵衛に逆にやりこめられてしまうのがおかしい。
結局、事件は凡太郎が解決するが、手柄は横取りしてしまうセコさは相変わらずだ。
シリーズ中、岸田森の出番が一番多いエピソードである。



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昭和59年3月29日(木)放映


第11話「五千万円掠奪作戦 −横浜−


監 督田辺隆史脚 本小倉洋二


【出演】

田村幸司加山麗子佐藤蛾次郎紗貴めぐみ汐路章
丹古母鬼馬二椎谷建二奈良光一矢車武岡田正典
小田島隆竹田寿郎


【物語】


大物代議士の娘が誘拐された。
代議士は、暴力団東亜連合の黒幕として知られていた。
そして、東亜連合は、横浜の新興ヤクザ黒龍会とハードな“仁義なき戦い”の最中。
娘の誘拐も、黒龍会の仕業だった。
所轄署から松本班に、二つの暴力団の動きを探ってほしいと依頼される。
そんな時、黒龍会のチンピラ、セイジが、代議士の娘を連れ出してしまう。
セイジは、平太(清水健太郎)の知り合いだった…。



【解説】

横浜を舞台にした、コメディタッチのエピソード。
いつものエピソードとは違い、銃撃アクションシーンがあったりと、普通の刑事ドラマのような仕上がり。
シリーズのコンセプトとは違う異色作。川谷拓三はあまり活躍せず、清水健太郎が主役。
事件に巻き込まれた平太(清水健太郎)が、面倒を見ていたチンピラ、セイジや代議士の娘たちと共に、ヤクザを相手に奮闘する。
花形チーフ(岸田森)も、いつも以上にコメディ演技で参加。
脅迫電話の録音を聞きながら平然と昼食を食べたり、犯人相手に変なアクションを見せたりと楽しそうである。
登場シーンは意外と多い。



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昭和59年3月30日(金)放映


第12話「裏切りの銃声 −高知・安芸−」(最終話)


監 督井上昭脚 本中村努


【出演】

小野川公三郎(松崎)森下陽常田青児野口寛青山守一
浦野隆男岡島艶子小林伊津子岡村喜郎水田定美
小原正久大城善明今村日出夫


【物語】


東京・多摩刑務所から5人の模範囚が脱獄するという大事件が起きる。
模範囚たちは、強盗などを繰り返しながら逃走を続けた。
そのころ、凡太郎(川谷拓三)は休暇で故郷の高知・安芸へと帰っていた。
凡太郎は、海岸で船を作っている若者、松崎(小野川公三郎)と知り合う。
松崎の許には、仲間が集まってきた。
だが、その仲間たちは東京からの脱獄囚だった…



【解説】

安芸に帰省した凡太郎(川谷拓三)と、人々との触れ合いが情感豊かに描かれた作品。
勝プロ作品を数多く撮っている監督、脚本コンビが見事な演出でまとめている最終回にふさわしい作品。
いつもの捜査会議では、花形チーフ(岸田森)がコメディ風の演技を見せるのが見せ場だが、
今回に関しては、残忍な脱獄計画に怒りをにじませながら。
こういうキビキビとした演技は、さすが岸田森はうまい。
だが、クライマックスで犯人に拡声器で呼びかけるセリフが、
緊張感たっぷりなシーンなのだが、どこか間が抜けているのがおかしい。
六月劇場でも一緒だった後輩、小野川公三郎の存在感が見事。



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