【演劇】


昭和42年6月24日(土)〜6月30日(金)公演


魂へキックオフ


●六月劇場第一回公演

昭和42年6月24日(土)〜6月30日(金)
東京/新宿紀伊国屋ホールにて上演


演 出津野海太郎長田弘


【出演】

岸田森(秋山)橋本陸(大西)金子研三(金村)草野大悟(高村)村松克己(竹尾)
悠木千帆(黒川)稲葉良子(スージー)    


【物語】

在学中に、一緒に同人誌「大学左派」を作っていた仲間達が、
秋山(岸田森)の家に集まっていた。
昔はリーダーだった秋山も、今は極度の心身疲労で、極めて不安定な状態になり、
同棲相手の黒人混血娘スージー(稲葉良子)の稼ぎで食べさせてもらっている状態だった。
今日集まったのは、高圧電線にぶら下がって自殺した彼らの仲間、
坂倉幸彦の遺稿集を出版するための話し合いだ。
死の直前に、秋山へ書かれた何通もの手紙を掲載しようと、仲間達は同意を求めに来たのだ。
秋山は、心身疲労から現実と非現実が混じりあった話をする。
話はなかなか進まないが、そのうちに、
彼ら一人一人の、坂倉の死に対する認識が、微妙にずれていることに気づく。
そして、同棲相手だった黒川(悠木千帆)が、坂倉の子を妊娠していることがわかり、動揺が広がる…。



【解説】

詩人の長田弘が、始めて書き下ろした長編戯曲。
ある冬の日に、アパートに集まった7人の若者たちが、昔の仲間の死を語り合い、
その中で、自分たちが何を語り、何を行おうとするのかを考えさせられる。
有名著作からの引用や、独特のイメージ的な情景が、
この作品を普通の芝居にはない新鮮なものに仕上げている。
実際に、岸田森たちの昔の仲間が死去していて、その追悼の意味もあって書かれたということだ。
昭和41年19661月に立ち上げられた六月劇場は、
2回の
研究公演を昭和41年1966に行っているが、
今回の『魂へキックオフ』は、創立公演と銘打たれた本格的公演第一回。
六月劇場は、この後毎年、6月と12月に公演を行なうことになる。


【岸田森の役】

秋山健一郎

学生時代には「大学左派」という雑誌を作り、学生運動のリーダーだったが、
極度の精神疲労から、精神病院に入院、現在は自宅療養中である。
ジャズ・シンガーをしている黒人とのハーフ、スージー(稲葉良子)と同棲しており、
彼女の稼ぎで生活を支えてもらっている。
現実的になってしまった仲間達の中で、
唯一人純粋に夢を見続けている、精神的に不安定なキャラクターだ。


関連作品

六月劇場

B・Bの歌(ブレヒト・オン・ブレヒト)(昭和41年1966
名づけるな、わたしたちに(昭和41年1966

審判 銀行員Kの罪(昭和42年1967
かれら自身の黄金の都市(昭和43年1968
夜うつ太鼓 死んだ兵隊の伝説 二幕五場 喜劇(昭和43年1968
魔女傳説(昭和44年1969
海賊(二幕)(昭和44年1969
魔女傳説(再演)(昭和44年1969
海賊(二幕)(昭和44年1969
鼠小僧次郎吉(昭和44年1969

「「六月劇場」です=岸田森〈俳優〉」(昭和41年1966
「おとしさんがんばる!劇団を結成した岸田森・悠木千帆夫妻」(昭和41年1966
おじゃまします ただ今6月劇場≠ノ熱中 岸田森(きしだしん)(昭和42年1967









昭和42年12月12日(火)〜12月17日(日)公演


審判 銀行員Kの罪

六月劇場第二回公演
東京/俳優座劇場にて上演
演 出津野海太郎フランツ・カフカ脚 色長谷川四郎


【出演】

村松克己(ヨーゼフ・K)橋本陸(第二の男)二瓶鮫一(第三の男)八木俊郎(第四の男)岸田森(第五の男)
向井義広(第六の男)金子研三(第七の男)真山知子(女A)稲葉良子(女B)熊沢恵子(女C)
悠木千帆(女D)伊藤智加(せむしの少女)   


【物語】

銀行員K(村松克己)は、月曜日の朝、
いきなり審理委員会の男(橋本陸)の訪問を受け、逮捕を告げられる。
Kは、身に覚えはなかった。
男の説明では、現在犯罪内容の推定段階だという。
しかし、逮捕を告げられても、日常生活は何の支障もなかった。
仕事場に訪ねてきた伯父の勧めで、
火曜日には検事(八木俊郎)、
水曜日には弁護士(岸田森)、
金曜日には画家(向井義広)を訪ねるが、まったく話が進展しない。
日曜日になり、指定されたコクマル街13番地に13時に出向くと、
そこでは集会が行われており、Kはその中で第1回目の審理を受けることとなる。


【解説】

不条理文学で、世界的に有名なフランツ・カフカの代表作の一本「審判」を、
長谷川四郎脚色で舞台化。
突然逮捕されたヨーゼフ・Kが、自分の罪を知ろうとする不条理なストーリー展開で、
登場人物も皆、不条理なセリフと行動をとる。
舞台は、Kの行動によって、巨大で複雑な官僚的組織が浮き彫りにされて行き、
その無意味さが強調されてゆく構成になっている。
冒頭、第一の男から第七の男までが、秘密会議でKの逮捕を話し合うシーンから始まる。
しかし、第一の男はK自身。
物語の途中、Kは、色々な役で登場する他の男達を、初対面なのに知っているようなそぶりを見せたりする。
芝居をしている登場人物を、また役者が演じるという、
二重構造の舞台になっており、独特な構成になっていた。
尚、この作品の改訂版が、六月劇場第4回公演として、
昭和43年19689月にアンダーグラウンド自由劇場で上演される予定だったが、実際には公演されていない。


【岸田森の役】

第五の男(弁護士ホルト)

高名な弁護士。
とても寒がりで、夏でも厚着をしてスチームを炊いている。
裁判所は自分の庭のような所だと豪語し、
事件が起きると、裁判所と直結している地下道から、事務所に書類が来るという。
事件を任せてくれと言って退場するが、Kと話し合っていた事は、結局組織の複雑さと煩雑さだけだった。
冒頭と、ラストシーン、そして「水曜日」のシーンに登場。


関連作品

フランツ・カフカ

(昭和38年1963


六月劇場

B・Bの歌(ブレヒト・オン・ブレヒト)(昭和41年1966
名づけるな、わたしたちに(昭和41年1966

魂へキックオフ(昭和42年1967
かれら自身の黄金の都市(昭和43年1968
夜うつ太鼓 死んだ兵隊の伝説 二幕五場 喜劇(昭和43年1968
魔女傳説(昭和44年1969
海賊(二幕)(昭和44年1969
魔女傳説(再演)(昭和44年1969
海賊(二幕)(昭和44年1969
鼠小僧次郎吉(昭和44年1969

「「六月劇場」です=岸田森〈俳優〉」(昭和41年1966
「おとしさんがんばる!劇団を結成した岸田森・悠木千帆夫妻」(昭和41年1966
おじゃまします ただ今6月劇場≠ノ熱中 岸田森(きしだしん)(昭和42年1967





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