【脚本】


昭和48年3月25日(日)


ファイヤーマン

第12話「地球ちきゅうはロボットの墓場はかば−怪獣ティラザウルス登場−」


日本テレビ放映 
18時30分〜19時00分(30分)カラー作品
監 督大木淳脚 本岸田森


【出演】

誠直也(岬大介)平泉征(千葉太)栗原啓子(葉山マリ子)岸田森(水島三郎)北見治一(博士)
粟屋芳美(少女)樋浦勉(バーローダ星人の声)睦五郎(海野軍八隊長)西条満(ファイヤーマン)寿小太郎(怪獣)
村越伊知郎(ナレーター)


【物語】

テスト飛行中のマリンブルが、宇宙空間に突然現れた恐竜と衝突する。
小島に不時着した岬(誠直也)は、そこで不思議な少女(粟屋芳美)と出会った。
一方、SAF基地の水島(岸田森)は、ロボットにすり替えられていた。
手掛かりを追った海野(睦五郎)達は、岬が墜落したのと同じ島にやって来る。
この島では、第二次世界大戦で水爆の実験をしていた水島博士の祖父(北見治一)が、
科学を戦争に悪用されるのを嫌い、バローグ星人と手を組んで、平和なロボット工学の実験を続けていた。
だが、宇宙人はその技術を使い、人間をロボットにすり替える「1980計画」を進めようとしたのだ。
それに気づいた博士は、星人の強制する実験を拒否していた。
洞窟にある実験室に幽閉されていた水島は岬に助けられ、
水島の祖父が作った恐竜ロボットはファイヤーマンによって宇宙へと運ばれた。
魔の侵略計画から地球を守られた。
水島は、島で星人に殺された祖父の残した少女の見舞いに行く。
しかし、そこにいたのは、ゼンマイや歯車のむき出しになった少女の姿だった。
彼女は、水島老博士が作り上げた最後のロボットだったのだ。


【解説】

『帰ってきたウルトラマン』第35話
「残酷!光怪獣プリズ魔」(昭和461971年12月3日(金)放映)に引き続いて2本目の脚本。
「プリズ魔」の時と同じく、今回も視覚的要素が至る所にちりばめられている。
特に、冒頭のマリンブルテスト飛行シーンで、
薔薇の花の形をした光群に突入してから、恐竜に遭遇するまでの色彩豊かなイメージの連続は、
デジタルが発達した昨今の技術で映像化されていたらと悔やまれるほどの、美しいイメージシーンである。
また、中盤のパローグ星人と水島たちとの会話は、
物語のバランスを崩してしまうくらいに長くセリフを描き込み、舞台劇のような不思議な空間を作りだしている。
宇宙人のデザインが、ヘルメットをすっぽりかぶっていたために感情表現が難しく、
実際の映像では、長いセリフシーンは、かなり舞台的に処理していた。
ある意味観念的な作品で、それゆえにそれまでの作品とはイメージが違い、
放映日が決まらずに一旦棚上げされていた。
日の目を見たのは、時間帯が移動になる前の、日曜日放映作品の最終回だった。
まるで、滑り込みで放映されたような扱いを受けてしまう。
子供向け番組らしからぬテーマ性に、テレビ局側も扱いに困ったのかもしれない。
シナリオの全文は「ファンタスティックコレクション 華麗なる円谷特撮の世界 ミラーマン」(昭和541979年9月1日、朝日ソノラマ社発行)に掲載されている。
映像で見るよりも、岸田森の書いたきめ細かい詩的な表現が、ストレートに堪能でき
「歌を忘れたカナリア」の歌に託した脚本のテーマが、より一層強く心に迫ってくる。


関連作品

円谷プロ作品

怪奇大作戦 全26話 (昭和43年1968
帰ってきたウルトラマン 1話〜37話(昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン(映画) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 竜巻怪獣の恐怖 (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」(脚本) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 次郎くん怪獣にのる (昭和47年1972
ウルトラマンA 全52話 (昭和47年1972
ファイヤーマン 全30話 (昭和48年1973
「怪獣供養祭」司会 (昭和48年1973
恐竜戦隊コセイドン 第29話「コセイドン緊急出動 果しなき戦い」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場「白い手美しい手 呪いの手」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場 「怨霊!あざ笑う人形 危険な未亡人」(昭和55年1980
土曜ワイド劇場「怪奇!金色の眼の少女」 (昭和55年1980
火曜サスペンス劇場「乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件」 (昭和57年1982
火曜サスペンス劇場 「可愛い悪魔」(昭和57年1982
ウルトラマンA「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(平成元年1989

「リメンバー!!怪奇大作戦 岸田森・昼下がりのインタビュー!!」(昭和54年1979
空想特撮の名バイプレイヤー 岸田森インタビュー(昭和54年1979





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