【テレビ作品】


昭和48年1月7日(日)〜7月31日(火)放映


ファイヤーマン

全30話


●第1話〜第12話

昭和48年1月7日(日)〜3月25日(日)

日本テレビ毎週日曜日放映
18時30分〜19時00分(30分)カラー作品



●第13話〜第30話

昭和48年4月3日(火)〜7月31日(火)

日本テレビ毎週火曜日放映
19時00分〜19時30分(30分)カラー作品


【出演】

誠直也(岬大介)平泉征(千葉太)栗原啓子(葉山マリ子)岸田森(水島三郎)睦五郎(海野軍八隊長)
西条満(ファイヤーマン)寿小太郎(怪獣)琴吹小太郎(怪獣)山村鉄夫(怪獣)山村哲夫(怪獣)
村越伊知郎(ナレーター)    


【解説】


円谷プロが特撮テレビヒーローシリーズの原点に戻ろうと企画したシリーズ。
円谷プロダクション創立10周年記念作品と銘打たれて放映された。
2年後の昭和50年1975 に開催予定の沖縄海洋博に合わせて、海を舞台にした物語に設定された。
レギュラー登場人物の名前も、水に関係のある名前になっている。
登場人物が全員科学者というのも珍しく、ストーリーに科学的な話が多かったが、
それが災いして地味なイメージがぬぐえず、視聴率的には苦戦を強いられた。
そのために、放映時間を変更し、ビジュアル重視のストーリー展開に変更され、全30話製作された。
倒産したばかりの広い大映スタジオで撮影された特撮が印象的だ。



【岸田森の役】

水島三郎博士

宇宙工学の専門家。
青江半島沖に隕石が落下した事件をきっかけに結成されたSAFへ、
海野軍八(睦五郎)隊長のたっての希望で副隊長に迎えられる。
コミカルな演技が多く、特に前半のキャラクター中心に描かれたエピソードは、楽しい演技を見せてくれた。
この水島博士は、岸田森の芸歴上でも非常に重要な位置にある。
今までの岸田森は、その風貌からインテリの風の役をこなすことが多かったが
『ファイヤーマン』では、子供の視聴者の事を考え、意識的にコメディタッチの芝居をこなしている。
後に
『傷だらけの天使』(昭和49年1974 )や『ピーマン白書』(昭和55年1980 )で見せるコメディタッチの芝居が、
このシリーズで開花したとも言えるだろう。
レギュラー出演者達も仲が良く、特に岸田森と平泉征のコンビは絶品。
また、岸田森は、第12話「地球はロボットの墓場」脚本を執筆している。
視覚的イメージを取り入れた、個性的な仕上がりの脚本だ。


関連作品

円谷プロ作品

怪奇大作戦 全26話 (昭和43年1968
帰ってきたウルトラマン 1話〜37話(昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン(映画) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 竜巻怪獣の恐怖 (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」(脚本) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 次郎くん怪獣にのる (昭和47年1972
ウルトラマンA 全52話 (昭和47年1972
ファイヤーマン 第12話「地球はロボットの墓場」(脚本) (昭和48年1973
「怪獣供養祭」司会 (昭和48年1973
恐竜戦隊コセイドン 第29話「コセイドン緊急出動 果しなき戦い」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場「白い手美しい手 呪いの手」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場 「怨霊!あざ笑う人形 危険な未亡人」(昭和55年1980
土曜ワイド劇場「怪奇!金色の眼の少女」 (昭和55年1980
火曜サスペンス劇場「乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件」 (昭和57年1982
火曜サスペンス劇場 「可愛い悪魔」(昭和57年1982
ウルトラマンA「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(平成元年1989

「リメンバー!!怪奇大作戦 岸田森・昼下がりのインタビュー!!」(昭和54年1979
空想特撮の名バイプレイヤー 岸田森インタビュー(昭和54年1979






【各エピソード解説】

第1話「ファイヤーマン誕生」第2話「武器は科学だS・A・F」第3話「謎の宇宙船」
第4話 「インベーダーを撃滅せよ」第5話 「ジュラ紀へ落ちた少年」第6話「遊星ゴメロスの秘密」
第7話「恐怖の宇宙細菌」第8話「恐怖のミクロ怪獣」第9話「深海からの挑戦」
第10話 「鉄の怪獣が東京を襲った!」第11話 「よみがえった岩石怪獣」第12話「地球はロボットの墓場」
第13話「竜神沼の恐怖」第14話「悪魔の海を突っ走れ!」第15話「ベルダー星M13号指令」
第16話「奪え!ファイヤースティック」第17話「マグマに消えたファイヤーマン」第18話「やったぞ!ファイヤーダッシュ」
第19話「宇宙怪獣対原始怪獣」第20話「怪獣ガガンゴの嵐」第21話「殺しの使者デコンとボコン」
第22話「来たぞ!変身宇宙人」第23話「宇宙指令ファイヤーマンを殺せ!」第24話「夜になくハーモニカ」
第25話「帰る星なき宇宙人」第26話「夕陽にひかる岩山の秘密」第27話「死人をあやつる宇宙の支配者」
第28話「アルゴン星から来た少年」第29話「射つな!怪獣だって友達だ」第30話「宇宙に消えたファイヤーマン」(最終話)






昭和48年10月12日(金)放映


白い影

第14回(最終回)


TBSテレビ 
22時00分〜22時55分(55分)カラー作品
演 出高橋一郎原 作渡辺淳一脚 本倉本聰


【出演】

田宮二郎(直江)中野良子(亜紀子)山本亘(小橋)楠田薫(行田律子)中山麻理(美樹子)
佐々木すみ江(関口婦長)竹下景子(宇野)佳島由季(岸田康子)大和撫子(田中みどり)浮田左武郎(事務長)
小沢幹雄(吉岡)西尾徳(男)松崎イサコ(看護婦)稲川善一(管理人)上条慎五(医局員)
島村卓志(医局員)岸田森(水谷)綿引洪(中川)原保美(泉田教授)金田龍之介(行田)
山本陽子(倫子)    


【解説】


外科医としては素晴しい腕を持つが、不治の病に侵されていて余命二年の主人公、
直江庸介(田宮二郎)を中心にした人間模様を描くシリーズ。
渡辺淳一の小説「無影燈」を倉本聰が脚色を担当、
昭和48年1973 7月13日(金)から10月12日(金)まで、全14回放映された。
主演の田宮二郎は、昭和41年1966 に大映で映画化された『白い巨塔』の主役での好演が認められ主演する。
そのために、この当時の田宮二郎主役作品には、タイトルに「白い…」とつくものが多い。
後に、自らの当たり役『白い巨塔』(昭和53年1978 )をテレビ化、
撮影直後に、謎の猟銃自殺を遂げるというドラマにも負けない衝撃的な最後を遂げた。
平成13年2001 にテレビドラマとして、同じTBSでリメイクされている。


【岸田森の役】

水谷

医学雑誌「青年医学」の編集員。
安楽死の事を論文に載せようと、最初はやる気になっていたが、
編集部に圧力がかかり中止になり、それを小橋(山本亘)に告げる。
以前、自らも何かを告発しようとして仕事を干され、大変な苦労をした事があったらしく、
実直な小橋に対して、淡々と人生の回り道の怖さについて語る。
出演は1シーンだけだが、三分近くあり、かなり長い。
グラスの持ち方や、席を立つタイミングなど、練りに練った演技を見せている。
何気ない雰囲気で、過去に何かがあったという事をにおわせるセリフの間合いが絶妙だ。



【第1回〜第13回まで】


直江(田宮二郎)は、医師としては一流の腕を持つが、
私生活を一切明かさない、謎に満ちた人物である。
教授になることは間違いのない直江が、何故いつまでも営利目的の病院にいるのか、
一番身近にいる志村倫子(山本陽子)でさえもわからなかった。
そんなとき、倫子は偶然直江の部屋で、直江自身のレントゲン写真を見つけ、不審に思う。
実は、直江は多発性骨髄腫にかかっており、すでに治療が不可能なほどに、体中に広がっていたのだ。
余命3カ月と知った直江は、倫子に誘われるまま二人で北海道旅行に行く。
直江は、襲い来る激痛に密かに耐えながら、この旅行を思い出にして自殺しようと考えていた。
そんな事とは知らない倫子は、めいっぱい旅行を楽しんでいた。
将来のことを考えながら…。



第14回

【物語】



倫子(島田陽子)は、直江(田宮二郎)との子を妊娠した事を知り幸せな気分だった。
そんな時、直江が支笏湖で自殺したという知らせが来た。
倫子は、あまりの事に流産してしまう程のショックを受ける。
直江が残したノートは、自らの病状を二年間、詳しく経過記録した学術的に貴重なものだった。
そして、そこには直江が安楽死させた患者に関する記述もあった。

同僚の小橋(山本亘)は、その事を医学雑誌に発表しようとする。
生前、直江が小橋に話した、独自のヒューマニズムを実践するには、発表するしかないと思ったからだ。
しかし、発表を知った院長は、公表を止めるように圧力をかけてきた。
すでに示談になっている事を、いまさら蒸し返されれば、病院としても立場が危うくなるからだ。

度重なる圧力に無力を感じて絶望していた小橋を、看護婦の美樹子(中野良子)が慰めた。
病院は、直江がいなくなっただけで、いつもと変わらなかった。
一人取り残されたように感じた倫子は、心の中に直江が生き続けていると思い、
いつも通りに仕事をこなしてゆくのだった。



関連作品

高橋一郎

近鉄金曜劇場 芸術祭参加作品「正塚の婆さん」(昭和38年1963
近鉄金曜劇場 「剣」     (昭和39年1964
きんきらきん 第11回   (昭和44年1969
美作ノ国 吉井川      (昭和47年1972
夢のあとに 第1回〜第3回 (昭和53年1978







昭和48年7月31日(火)


追跡

第11話「不道徳な天使」


フジテレビ放映(KTV)  
22時00分〜22時55分(55分)カラー作品
<
監 督真船禎脚 本佐々木守


【出演】

中村敦夫(私)桃井かおり(比奈子)原田大二郎(新藤)岸田森(石狩)犬塚弘(桑先)
瑳川哲朗(荒山)南州太郎(羽根)   


【物語】

県警記者のたまり場の喫茶店に、三カ月前まで働いていた
花村比奈子(桃井かおり)の変死体が、ホテルで発見された。
現場の状況から、警察は飛び降り自殺と判断する。
だが、死体発見の前日に、街角で比奈子と偶然会っている“私”(中村敦夫)は、
その時の様子からは自殺と思えなかった。
羽根捜査一課長(南州太郎)の発表にも何か引っ掛かりを感じた“私”は、独自の追跡を開始する。
まず、比奈子と関りあいのある人間を洗い出しにかかった。
驚いたことに、“私”を含めてすべての男が肉体関係にあったのだ。
それは、恩を受ければ貸借関係を肉体で支払うという、比奈子独自の考えからだった。
比奈子を殺した人物は、彼女が最後に借りを作った人物と考えられた…。



【解説】

直木賞受賞作家、三好徹の作品「追跡」「汚れた海」に題材をとり製作された、中村敦夫主演のドラマ。
地方回りの新聞記者を主人公に、いろいろな事件を追跡してゆく。
ジャーナリストの使命など冷笑しているニヒルな主人公「私」に中村敦夫。
珍しいことに、ドラマの中では名前なしの設定だ。
そのほかに、常田富士男、日下武史、新人のジェーン・ガレッキがレギュラーで登場する。

サブタイトルにはすべて「天使」という字がつく凝った構成で、
中村敦夫自身も出世作『木枯し紋次郎』のイメージを吹っ切ろうと相当な入れ込みようだった。
放映中止になったテレビドラマ
『真夜中の警視』を引き継いでのスタートだったが、
この番組もまた放映中止になってしまう。
状況劇場の主宰者、唐十郎が演出した第15話「汚れた天使」の暴力と性描写が露骨すぎたためだ。
局の一方的な放映中止に怒った役者たちが製作のボイコットをしたために、
製作中止に追い込まれてしまった。



【岸田森の役】

石狩

喫茶店ボヌールのマスターで、比奈子と肉体関係のあった一人。










昭和48年8月4日(土)


戦国ロックはぐれ牙

第1話「隠し銀山に欲望を斬れ」


フジテレビ放映  
22時30分〜23時25分(55分)カラー作品
監 督野村孝脚 本藤井鷹史横田与志


【出演】

梶芽衣子(冴)峰岸隆之介(虎の兵衛)河津清三郎藤岡重慶岸田森(密偵)
西山恵子大前均北原義郎木村元玉村駿太郎
沢美鶴杉山元上田耕一如月寛多古川義範
戸塚孝友野多介前田未来夏木陽介(左門)丹阿彌谷津子(ナレーター)


【物語】

ふらりと立寄った村で、冴(梶芽衣子)は邪魔者のように追い出される。
この村では隠し銀山を掘っていたために、よそ者を追い払っていたのだ。
しかし、銀山の噂を聞き付けた野盗が、村を狙っている事を知った村人達は、
打って変わって今度は冴に助けを求めて来た。
だが、銀山を狙っているのは、野盗だけではなかった。
虎の兵衛(峰岸隆之介)や、隠密(岸田森)たちも暗躍していたのだ。



【解説】

戦国時代に、命懸けの仕事をする牙(きば)と呼ばれる人々がいた。
その中でも、グループを組まないで、たった一人で世を渡ってゆく、
天涯孤独な「はぐれ牙」の冴(さえ)の活躍を描くシリーズ。
当時『女囚701号 さそり』(昭和47年1972 )から始まる「さそり」シリーズなどで見せた
クールなキャラクターで人気があった梶芽衣子が主役。
時代劇らしくない衣装を梶芽衣子が考案したり、主題歌も歌ったりとかなりの力を入れた作品だった。
しかし、評判はいま一つ良くなくて視聴率は稼げず、
残念ながら、全13話の予定が9話で打ち切られてしまった。


【岸田森の役】

密偵

全編たく鉢坊主に扮している。
まきびしを使う忍者で、猿のようなアクションを見せた。
隠し銀山の場所を探るために暗躍するが、最後は冴との戦いに敗れ、斬り捨てられる。
この時期には珍しく、頭が五分刈りである。









昭和48年10月9日(火)


荒野の用心棒

第28話「虐殺の丘に女の復讐が燃えて…」


NETテレビ放映  
21時00分〜21時55分(55分)カラー作品
監 督吉川一義脚 本安藤日出男


【出演】

夏木陽介(秋月左馬之介)竜雷太(速見雷蔵)坂上二郎(すっぽんの三吉)渡哲也(谺鬼十郎)岸田森(梵天十郎次)
三浦真弓(おしん)千葉敏郎(蒲生鉄斉)日高吾郎(蒲生竜之進)中庸介(蒲生唐兵衛)小野川公三郎(金吾)
五月晴子(おかね)小倉雄三(佃八郎太)小瀬格(毛利備前守)加藤茂雄八木秀司
伊藤浩市吉中正一甲斐武篠ヒロコ(流れ星のおりん)江原真二郎(語り)


【物語】

山深い秘境蒲生村は、幕府の鉄砲製造を一手に引き受ける鉄砲鍛冶の里だった。
ここには公儀から送り込まれた囚人たちが働かされていた。
朝鮮への鉄砲横流しを隠すために、梵天(岸田森)らは、囚人達を情け容赦なく射殺した。
ただ一人生き残ったおしん(三浦真弓)を、左馬之介(夏木陽介)は偶然助け出した。
おしんから話を聞いて、左馬之介は
朝鮮へ横流される鉄砲三千丁を破壊してしまおうと、要塞のような蒲生村に一人乗り込む。



【解説】

大好評『荒野の素浪人』(昭和47年1972 )の後番組として放映された「荒野シリーズ」第2弾。
全39エピソード製作された。
刀に変わって舶来の武器である鉄砲や爆雷をたくみにあやつる用心棒たち(夏木陽介・竜雷太・渡哲也)が主役。
『荒野の素浪人』に登場した、すっぽんの次郎吉の弟として、すっぽんの三吉(坂上二郎)が登場。
三船敏郎扮する峠九十郎がセミレギュラーで登場するなど、完全に前作の続編として製作されていた。
時代劇というよりは、マカロニウエスタンのような雰囲気を強調したシリーズである。



【岸田森の役】

梵天十郎次

朝鮮からの密使。
公儀の鉄砲三千丁を朝鮮に横流ししようと、蒲生村へ入り込んでいる。
単筒の名手で、横流しを知られないようにするために、多数の囚人たちをためらいなく撃ち殺し、
しかも一人生き残ったおしんを、わざと逃がして的にするような事を平気でやる冷酷な男。
だが、正体は公儀隠密。
三千丁の鉄砲を只で手に入れようといる、公儀の手先。
ススキの生い茂る原で、左馬之介(夏木陽介)との撃ち合いに破れ果てた。

長髪で、奇抜なファッションの着物を着ている。
登場するだけで、雰囲気が変わる悪役ぶりはさすが岸田森だ。


関連作品

三船プロダクション

荒野の素浪人 第24話「襲撃地の果て白骨ヶ原」(昭和47年1972
荒野の素浪人(第2部)  全39話 (昭和49年1974
剣と風と子守唄 第14話「地獄に恋した野郎ども」 (昭和50年1975
剣と風と子守唄(最終回) 第27話「栄光への父娘旅」 (昭和50年1975
人魚亭異聞 無法街の素浪人 第3話「一発勝負殺しの切札」 (昭和51年1976
江戸の鷹 御用部屋犯科帖 第22話「暗黒街の子連れ狼」 (昭和53年1978
犬笛(昭和53年1978
江戸の牙 第1話「炎上!赤馬を斬れ」 (昭和54年1979








昭和48年10月5日(金)〜昭和49年9月27日(金)放映


天下堂々

全47話


NHK総合毎週金曜日放映
20時00分〜21時00分(60分)カラー作品


【出演】

篠田三郎(佐倉英介)石橋正次(虫のけら造)水沢アキ(五月)桃井かおり(お桃)奈良富士子(お富士)
春川ますみ(風船おヨヨ)梅野泰靖(暗闇の丑松)下條アトム(片岡直次郎)長山藍子(三千歳)左時枝(バンジョウお時)
金田龍之介(忠兵衛)高松英郎(河内山宗俊)村野武範(平手造酒)山下雄三(おふくろ銀次)柴俊夫(一寸の左門)
岸田森(鳥居耀蔵)仲谷昇(森田屋清兵衛)山谷初男(国定忠治)塩崎和宏(清水次郎長)村上不二夫(二宮尊徳)
上條恒彦(ナレーター)    


【解説】


天保年間を舞台に、脱ドラマを目指した時代劇。
早坂暁、石堂淑朗をメインライターに起用、ミュージカルになったり、
放映当時の流行を採り入れたりと、斬新なドラマ作りが話題になった。
父の無実を晴らそうと長崎から江戸に戻ってきた英介(篠田三郎)、
そして旅の途中で知りあった、老中への直訴状を持って上京するけら造(石橋正次)、お桃(桃井かおり)が、
ひょんなことから「どんどろ長屋」とよばれる一風変わった長屋に厄介になる。
以降、長屋の住人達とともに色々な事件に関わってゆく。


【岸田森の役】

鳥居耀蔵

後に南町奉行になる歴史上の人物。
遠山金四郎が庶民の味方の名奉行だったのと対称的に、
鳥居は老中、水野忠邦とともに禁令を次々と発して厳しく取り締まる。
そのために、庶民からは「鳥居妖怪」と恐れられていた。
このシリーズでの鳥居耀蔵は、始めのうちは扱いの小さな役だったが、
中盤の番組テコ入れで、役柄が大幅にクローズアップされ、
シリーズの敵役を一手に引き受けるようになる。
岸田森の演じる鳥居耀蔵の役が余りにもはまっていたために、
後に
『必殺からくり人』(昭和51年1976 『痛快!河内山宗俊』(昭和51年1976 )で再び同じ役を演じた。
また、この後時代劇で演じる悪役も、鳥居のイメージが色濃く反映されているものになってゆく。
VTR作品なので、現在では映像がほとんど残っていないが、
第32回「さよなら人質さん」が、NHKアーカアブスに保存されている。

関連作品

鳥居耀蔵

痛快!河内山宗俊 第22話「桃の節句に雪を見た」(昭和51年1976
痛快!河内山宗俊 第26話「無頼六道銭」(最終話)(昭和51年1976
必殺からくり人 第12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」 (昭和50年1976


早坂暁

愛しの太陽 (昭和41年1966
真田幸村(昭和41年1966
契りきな(昭和44年1969
浮世絵女ねずみ小僧 第2話「霧の夜の襲撃」(昭和46年1971
斬り抜ける 俊平ひとり旅 第13話「あなたが欲しい」(昭和49年1974
必殺からくり人 第12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」(昭和51年1976
新必殺からくり人 第2話「東海道五十三次殺し旅 戸塚」(昭和52年1977
南海放送創立25周年記念番組 わが兄はホトトギス(昭和53年1978
ドラマ人間模様 新事件 わが歌は花いちもんめ 全5回(昭和56年1981




【各エピソード解説】

第1話「昔の空は青かった」第2話「イクベヨイヒト謎言葉」第3話「狐こんこん殺人事件」
第4話 「この世で一番悪い奴」第5話 「大江戸裏八百八町」第6話「十万坪ごみ殺し」
第7話「鼠小僧はオレなのだ」第8話「悲しからずや人別帳」第9話「誰を怨めばいいのでしょうか」
第10話 「女ひでり、男エレジー」第11話 「女ひでり、男地獄」第12話「たった二十人の反乱(前編)」
第13話「たった二十人の反乱(後編)」第14話「嵐は春を呼ばなかった」第15話「同棲しました神田川」
第16話「抜け穴より愛をこめて」第17話「春の花火は十万両」第18話「闇の男は二度死ぬ」
第19話「恋は蝶々か芋虫か」第20話「虎の尾を踏んじゃった」第21話「大江戸もぐら作戦」
第22話「人はそれぞれ冬の旅」第23話「とりかえばや大作戦」第24話「憂士はどこに眠れるか」
第25話「さらば七代目団十郎」第26話「糸し糸しと言う心」第27話「十万坪怨み節」
第28話「ああ玉杯に花うけて」第29話「昼もまま炊くおかか欲し」第30話「襟裳の春は何もない」
第31話「花の大江戸権敷なし」第32話「さよなら人質さん」第33話「こんにちは、年上の女」
第34話「わが恋いせし女よ」第35話「お陰でさ 抜けたとさ」第36話「頼みは天然一刀流」
第37話「田舎源氏はどこへ行く」第38話「誰がために太鼓は鳴る」第39話「怪談・江戸の夜霧に猫が啼く」
第40話「あわれ名刀・斬り丸」第41話「こちら大江戸大沈没」第42話「夏の終わりのかくれんぼ」
第43話「女花鳥おいらん一代」第44話「手本は二宮金次郎」第45話「あゝ幻の外人部隊」
第46話「外人部隊危機一髪」第47話「風は海から吹いてくる」 







昭和48年10月11日(木)


快刀乱麻

第2話「死と死と人は来ぬか雨」


TBSテレビ放映(ABC)  
21時00分〜21時55分(55分)カラー作品
演 出西村大介原 作坂口安吾 脚 本佐々木守


【出演】

池部良(勝海舟)若林豪(結城新十郎)沖雅也(小山田鉄馬)尾藤イサオ(荒牧英太郎)花紀京(泉山虎之助)
植木等(花廼家因果)河原崎長一郎(古田鹿蔵)野川由美子(おそよ)藤原鎌足(藤七)志摩みずえ(小糸)
佐藤慶(ナレーター)田島令子(マツ)岸田森(中橋敏也)三島ゆり子(梅沢夢之助)北原将光(中橋公爵)


【物語】

行李詰めにされた美女の死体が発見された。
知事を歴任した中橋侯爵の妾おヒサだった。
妾宅に駆け付けた鹿造巡査(河原崎長一郎)は、ヒサの母と、小間使いのマツ(田島令子)から事情を聞く。
それによると、ヒサは昼過ぎに娘手踊りの夢之助(三島ゆり子)の楽屋を訪ねたきりだと言う。
しかも、中橋侯爵も、事件当夜から行方不明だ。
夢之助も、中橋侯爵の妾で、ヒサと二人でどちらが本妻におさまるかでもめていた。
驚いたことに、侯爵の息子敏也(岸田森)は、ヒサと恋仲らしい。
これは許される仲ではない。
たとえ許されても、身分が違いすぎる。
しかも、昨夜はヒサと敏也が一緒にいたのだった。
父のやり方に怒りを感じた敏也は、父のもう一人の妾夢之助とも関係を持つ。


【解説】

明治二十年ごろの東京を舞台に、若者たちと中年層の探偵グループ、
そして元老勝海舟を加えた個性豊かな探偵達が、快刀乱麻、事件を解決してゆく。
奇才、坂口安吾の「安吾捕物帳」を原作にしているが、時代考証はある程度無視されている。
プロデューサーは、必殺シリーズで有名な山内久司が担当。
事件自体は、毎回結構あっさり片付いてしまい、
なぞ解きを中心としたドラマ展開になっているところが異色作だった。

このエピソードのシナリオは、『ドラマ』2011年11月号に掲載されている。


【岸田森の役】

中橋敏也

中橋侯爵の息子。殺人事件の容疑者。



関連作品

山内久司

魔像・十七の首(昭和44年1969
おしどり右京捕物車 第16話「闇(やみ)」  (昭和49年1974
斬り抜ける(斬り抜ける 俊平ひとり旅)全20話 (昭和49年1974

必殺仕置屋稼業 第12話「一筆啓上魔性が見えた」  (昭和51年1975
必殺からくり人 第12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」 (昭和50年1976
新必殺仕置人  第1話 「問答無用」       (昭和52年1977
新必殺からくり人 第2話「東海道五十三次殺し旅 戸塚の宿」  (昭和52年1977
必殺仕事人 第1話「主水の浮気は成功するか」   (昭和54年1979









昭和48年10月14日(日)


唖侍 鬼一法眼

第2話「くちなしの子守唄」


日本テレビ放映  
21時30分〜22時25分(55分)カラー作品
監 督安田公義原 作五社英雄神田たけ志 脚 本高岩肇


【出演】

若山富三郎(侍<鬼一法眼>)勝新太郎(卍<まんじ>)太地喜和子(おさよ)富川晶宏(三吉)岸田森(与次郎)
杉山昌三九(井戸新左衛門)田島義文(弥助)梅津栄守田学哉(都築兵九郎)市川男女之助(目明し文蔵)
北原将光(大和屋源兵ヱ)浜田雄史(伊之吉)伊東義高(仲造)花岡秀樹(百助)神田紘司(通詞)
片山静治(通行人A)中森肇子(居酒屋の少女)ユセフ・オスマン(ゴンザレス)デユロー・ブルーム(エスピノサ)ウイリー・ドースイ(アリ)
瞳順子(菊乃<少女時代>)大森久綱(健之介<少年時代>)郡司良(柳田藤右衛門)高木峯子(柳田松江)レイ・ロイド(ゴンザレス)


【物語】

居酒屋で法眼(若山富三郎)の目の前に座った親子連れの父親が、店の外で殺される。
法眼は、父親の最後を見せたくなくて、連れの子供、三吉(富川晶宏)を、
ちょうど通りかかったおさよ(太地喜和子)に預ける。
死んだ男の名は、漁師町に住む伊之吉(浜田雄史)と言い、異人屋敷に魚を納めていた。
そんな時、謎の男「卍」(勝新太郎)が法眼に接触してくる。
卍の調査では、伊之吉は抜け荷の運びをやっていたという事だった。
しかも、その元締めはゴンザレス。
法眼は復讐に燃え、異人屋敷へと乗り込んだ。


【解説】

原作は、五社英雄、神田たけ志の劇画。
江戸時代の文政年間、両親を殺され、自らの喉笛も切り裂かれた主人公鬼一法眼(若山富三郎)が、
仇のイスパニア人の剣闘士ゴンザレスを求めて諸国をめぐる。
映画『子連れ狼』シリーズを意識した、かなり凝った秘密兵器が多数登場、
編み笠の前部にバックミラーがついていたり、チョッキの裏には手裏剣、そして首にかけた数珠は殺気を予知する。

勝プロダクションが初めて制作したテレビシリーズ。
勝新太郎も、卍役でセミレギュラー出演している。
さすが勝プロダクションだけあって、テレビシリーズとは思えない、丁寧な仕上げの作品である。
また、このエピソードには、若山富三郎版の『子連れ狼』大五郎を演じた富川晶宏のゲスト出演も話題となった。


【岸田森の役】

与次郎

殺害された伊之吉(浜田雄史)の抜け荷仲間で、普段はいかけ屋をしている。
子供時代からの付き合いだった伊之吉が、仲間を抜けようとして無残にも斬られたのを知って、
恐ろしさに怯えきってしまう。
伊之吉の弔いにも出席できず、それをおさよ(太地喜和子)にとがめられる。
最後には、抜け荷仲間に斬られそうになったおさよを庇って斬られてしまう。
重要な役ではあるが、出演は全部で三シーンと、意外と少ない。
演技の密度や演出から考えて、かなりカットされたシーンがあるのではないかと推測される。
おさよに問い詰められるシーンは、仕事で鍋を叩く音をうまく使い焦燥感をあらわすなど、
かなりじっくりと練った演技を見せてくれる。



関連作品

若山富三郎

子連れ狼 三途の川の乳母車 (昭和47年1972
子連れ狼 親の心子の心(昭和47年1972
ドラマ人間模様「新事件 わが歌は花いちもんめ」全5回 (昭和56年1981
時代劇スペシャル「快傑黒頭巾」(昭和56年1981
木曜ゴールデンドラマ「黄昏の愛と憎しみ」(昭和57年1982
制覇 (昭和57年1982


勝プロダクション

座頭市と用心棒 (昭和45年1970
子連れ狼 三途の川の乳母車 (昭和47年1972
子連れ狼 親の心子の心 (昭和47年1972
御用牙 かみそり半蔵地獄責め (昭和48年1973
座頭市物語 第14話「赤ン坊喧嘩旅」(昭和50年1975
痛快!河内山宗俊 第22話「桃の節句に雪を見た」(昭和51年1976
痛快!河内山宗俊 第26話「無頼六道銭」(最終話)(昭和51年1976
新・座頭市 第2話「父恋い子守り唄」(昭和51年1976
新・座頭市 第19話「越後から来た娘」(昭和52年1978
座頭市物語(3幕9場) (昭和53年1978
鶴八鶴次郎(4幕7場) (昭和53年1978
因果小僧六之助(3幕6場) (昭和53年1978
魂の試される時 全17回 (昭和53年1978
新・座頭市(第二部) 第13話「忠治を売った女」(昭和53年1978
新・座頭市(第3部) 第3話「市の耳に子守唄」 (昭和54年1979
舞台演出 勝アカデミー公演「かもめ」より (昭和55年1980
あいつと俺 全4話 (昭和55年1980
警視-K 第10話「いのち賭けのゲーム」 (昭和55年1980
時代劇スペシャル「快傑黒頭巾」 (昭和56年1981
時代劇スペシャル「傘次郎・新子捕物日記 夫婦十手(めおとじって)」(昭和57年1982

あいつと俺(未放映分)第5話〜第12話 (昭和58年1983









昭和48年11月2日(金)


狼無頼控

第5話「怪猫呪いの大井戸」


NETテレビ放映(MBS)  
21時00分〜21時55分(55分)カラー作品
監 督三隅研次 脚 本浅井昭三郎


【出演】

村野武範(剣条之介)佐藤允(九鬼大紋)渥美マリ(南美)田村亮(菊次)なべおさみ(仙三)
長門勇(玄庵)岸田森(軍十郎)山岡徹也(竜崎多聞)石山律(山城守)筒井富子
司みのり真木弘美藤沢薫寺島雄作加茂雅幹
伊吹新吾小西由貴志水見菜子井上真理尾形徳香
内田真江竹内留美佐藤友美(琴江、お滝)芥川隆行(ナレーター)野際陽子(お蔦)


【物語】

ある大名屋敷に、夜な夜な亡霊が出るという噂がたった。
亡霊は、藩主山城守(石山律)が、乱暴をしようとして愛猫共々手打ちにした腰元、琴江(佐藤友美)だという。
そして、ついに亡霊が殺人まで犯す。
和泉守は「狼」達に事件の真相を突き止めるように命じる。
バケモノ退治と聞いて、条之介(村野武範)や菊次(田村亮)は、乗り気ではなかった。
しかし、二人とも命を狙われるようになり、ついに事件へと乗り出してゆく。
屋敷に乗り込んだ南美(渥美マリ)の調べで、
藩主の従兄、竜崎多聞(山岡徹也)がお家を乗っ取ろうとしている事がわかる。
多聞は、琴江の姉お滝(佐藤友美)を使って、
化け猫を出現させ、怯える切った山城守を隠居させてしまおうとしていたのだ。



【解説】

すべての絆を断ち切って、おのれの力のみを頼りに生きる6人の無頼「狼」達を主人公にしたアクション時代劇。
レギュラーは、一刀流の使い手、剣条之介(村野武範)、少林寺拳法の達人で医者の玄庵(長門勇)、
元花火師でスリの仙三(なべおさみ)、元曲芸師で花札を武器にする菊次(田村亮)、
くノ一南美(渥美マリ)、殺人剣の浪人、九鬼大紋(佐藤允)。
各自が持っている専門技術で悪を倒す。
そして、身分を隠した大目付、跡目和泉守(山村聰)が、大金を払って狼たちを雇い、悪を退治してゆく。
このエピソードは、シリーズ唯一の三隅研次監督作品。
一つ一つのシーンに、かなり凝った演出を見せている。
映像京都制作、全26話放映。


【岸田森の役】

軍十郎

剣条之介(村野武範)と共に剣を学んだ旗本の次男坊。
自らの事を「一生日の目をみない冷や飯食いの成れの果て」と蔑み、首斬りで刀の試し切りを生業としている。
そして、家を乗っ取ろうとする竜崎多聞(山岡徹也)にそそのかされて、用心棒になる。
かなりの使い手で、剣城之介を倒す事に執念を燃やし、一騎打ちで敗れ去る。
岸田森は、刀を左手一本で持つ独特の型で殺陣を行い、ダイナミックな動きで見ごたえがある。
三隅監督のロングを多用した撮影も効果的で、岸田森が演じた役の中では五本の指に入るほど強そうに見える。









昭和48年11月10日(土)


無宿侍

第6話「俺が拾った宿命」


フジテレビ放映  
22時30分〜23時25分(55分)カラー作品
監 督香月敏郎 脚 本石川孝人


【出演】

天知茂(幻之介)御影京子(小春)須永宏北町史朗大久保正信
菅原チネ子今村原兵志水辰三郎石川冷山下与一
矢崎裕之高野浩幸志摩司荒木筆三原博
岸田森(疾風左近)芥川隆行(ナレーター)   


【物語】

幻之介(天知茂)は、麻薬密売でお尋ね者の疾風左近(岸田森)と間違えられ捕らえられる。
賞金首の左近を慕う鳥追い女の小春(御影京子)は、
幻之介が左近と瓜二つなのを利用して、役人に手引きしたのだ。
疾風左近は、自分に良く似た男が身代わりに捕らえられたことを知り、
幼いころ人買いに売られた兄のことを思い出す。
一方、幻之介は牢を脱獄して、左近と対決するのだった。



【解説】

人間として生きるために、厳しい機構と組織力を誇る忍者の世界から抜け出した
幻之介(天知茂)を主人公にしたシリーズ。全13話。
追っ手の忍者達を次々に切り倒してゆく残酷描写や、
きわどい描写などが原因でで3年間近くもオクラ入りしていた。
『戦国ロックはぐれ牙』(昭和48年1973)が9回で打ち切りになったために、
急遽放映されることとなり日の目を見る。
富田勲の重厚な音楽が印象的だ。



【岸田森の役】

疾風左近

ヤクザから麻薬を持ち逃げし、追われる賞金首。
おたずね者で、幻之介(天知茂)は、偶然疾風と間違えられて役人に捕まる。
幼いころ、兄が売られてしまうほどの貧困生活を強いられたので、金に対する執着は異常に強い。
そのためならば、麻薬で他人がどうなろうと余り関係がない。
だが、根は悪人ではなく、忍者に襲われた幻之介をかばい死ぬ。
ラストは、二人が兄弟ではないかと暗示させて物語は終了した。
この作品では、岸田森が多勢を相手に斬りまくるシーンがある。
黒幕や、斬られ役などが多い岸田森にしては、ヒーローみたいに人を斬りまくるシーンというのは珍しい。
実際には、天知茂と岸田森はほとんど似ていないような気がするのだが、
衣装や雰囲気で結構見せてしまう所はさすが。









昭和48年11月18日(日)


天皇の世紀(第二部)

第7話「馬関の戦い」


TBS放映(ABC)  
10時30分〜11時00分(30分)カラー作品
演 出大熊邦也 原 作石川孝人 構 成大熊邦也、伊丹十三


【出演】

岸田森(高杉晋作)石崎二郎(井上聞多)酒井哲(毛利敬親)関西芸術座伊丹十三(レポーター)



【解説】

『天皇の世紀』は、激動の幕末維新を膨大な資料に基づいて書かれた大佛次郎の歴史小説。
映像化は(昭和46年1971)にドラマとして第一部全13話、(昭和48年1966)にセミドキュメンタリーとして第二部26話放映された。
このエピソードは、イギリス、フランス、オランダ、アメリカの列強四国と、長州藩の間に起きた武力衝突「馬関戦争」を題材にしたセミドキュメンタリードラマ。
英国人通訳アーネスト・サトウの視点から馬関戦争を描いてゆく構成。
サトウの視点は、雑誌『ニュー・ミュージック・マガジン』『潮』『東京人』などで活躍しているイラストレーター矢吹申彦の絵を使って構成されている。
長州藩の状況は、ドラマを撮影したフィルムを編集機のスクリーンを通して見せるという実験的な手法で描かれる。
岸田森扮する高杉晋作が登場するのは、この編集機のスクリーンのみ。
アーネスト・サトウが当時の事を書いた「一外交官の見た明治維新」をオスマン・ユスフが朗読。
また、当時の両軍の大砲技術に関して「火縄銃から黒船まで−江戸時代技術史」の著者、奥村正二が解説している。



【岸田森の役】

高杉晋作

馬関戦争で、列強に和議を申し込もうとする長州藩首脳の混乱ぶりを描くフィルム部分に登場。
粗編集フィルムをかけた編集機のスクリーン内という実験的な演出。
定まらない藩の方針に怒りまくる井上聞多(石崎二郎)の脇に、冷静に控えている。
出番は後半のみで、伊丹十三が、編集機を巻き戻したりストップしたりしながら解説を入れている。






inserted by FC2 system