【演劇】
昭和53年2月2日(木)〜2月26日(日)上演
雄呂血(おろち)−無頼漢(ならずもの)−(5場)
阪妻を偲ぶ 東宝二月特別公演 |
東京宝塚劇場にて上演 |
【出演】
田村亮{2月12日まで}(久利富平三郎) | 田村正和{2月13日から}(久利富平三郎) | 岸田森(浪岡真八郎) | 江戸屋猫八(擬音) | 藤田弓子(奈津江、お千代) |
小林誠(三太、火消し) | 佐藤富造(城下の武士1、捕手頭) | 酒井斉昭(城下の武士2、子分5、火消し) | 吉田康一(百姓2、子分1、火消し) | 永利武人(捕手) |
安藤耐二(門弟、捕手) | 田和輝明(門弟、捕手) | 小柳久子(おぬい) | 伊藤亨治(横目下役、火消し) | 中村又蔵(赤井の治良三) |
市川中之助(松澄永山) | 市川牡丹(おすぎ) | 白川淳子 | 浅香和子(弥次馬) | 直木みつ男(牢番、火消し) |
林廸之助(小者1、捕手) | 武士真大(小者2、捕手) | 市川中次郎(百姓1、弥次馬) | 中村又志郎(小者3、子分4、火消し) | 中村又次郎(門弟2、子分3、火消し) |
中村又一(職人2、火消し) | 大東俊治 | 細川智(門弟1、捕手頭) | 松田知器(職人1、子分2、火消し) | 角田美和(門弟、弥次馬) |
小竹孝一(門弟、弥次馬) | 泉好太郎(捕手頭) | 安井孝(捕手頭) | 国谷稔(門弟、捕手) | 中西正(門弟、捕手) |
山沢丈光(門弟、捕手) | 小島和夫(門弟、捕手) | 嶋口貴守(門弟、捕手) | 長谷川良文(門弟、捕手、子分6) | 佐東芳男(門弟、捕手、子分7) |
藤井正幸(門弟、捕手、子分8) | 大谷麗子(弥次馬) | 由貴恵(弥次馬) | 石井久美子(弥次馬) | 香山恵真子(弥次馬) |
黒木曜子(弥次馬) | 原あけみ(弥次馬) | 歌真理(弥次馬) | 松田春翠(弁士) | |
【物語】
享保の時代、とある城下町に、久利富平三郎(田村亮・田村正和)という勉強熱心な塾生がいた。
平三郎は、師の愛娘、奈津江(藤田弓子)と親しかったが、
それを逆恨みした同じ塾生の浪岡真八郎(岸田森)にからまれて、争いとなってしまう。
この争いは、誰が見ても平三郎に理があった。
しかし、門弟達は、真八郎が家老の息子ということで、平三郎を裏切る証言をしてしまう。
謹慎を受けた平三郎は、奈津江にだけは誤解を解いておこうと、夜陰に忍んで行く。
潔癖な正義感を持つ平三郎にとっては、今回の事が許せなかったのだ。
しかし、この行為が、奈津江と師両方からあらぬ誤解を受けてしまう結果になってしまう。
平三郎は破門され、浪人としていつしか人生の裏街道を歩いてゆくことになった。
【解説】
昭和281953 年にこの世を去った、映画スター阪東妻三郎を舞台で偲ぶという企画。
没後25年を記念し、阪東妻三郎の映画での代表作『雄呂血』(大正141925 年)と『無法松の一生』(昭和181943 年)を、
三人の息子達、田村高廣、田村亮、田村正和が演じて舞台化した。
『雄呂血』は、阪妻プロダクションの第1回作品で、阪東妻三郎の名前を、映画史上に残すことになった傑作無声映画。
公開当時、最後の立ち回りのシーンの迫力が話題となった。
この舞台でも、その当時の雰囲気を出すために、
松田春翠の弁士が舞台の口上を務めるという、凝った演出をしている。
また、ラストの立ち回りのシーンは、映画『雄呂血』の立ち回りのシーンが舞台に上映されて、
それを引き継いで田村亮、田村正和の殺陣が続けられるという趣向だった。
いつもは中年女性客が多い東京宝塚劇場も、この公演は、半分以上が阪妻を偲ぶ中高年の男性客だったという。
【岸田森の役】
浪岡真八郎
主人公、平三郎(田村亮、田村正和)と同じ塾の塾生。
親が旗本という権勢を笠に着て、我がままな振舞いをする。
自分より身分の低い平三郎が、塾の師の愛娘、奈津江(藤田弓子)とうまくいっているのが気にくわず、
師の誕生日祝いの無礼講で難癖をつけて、喧嘩になってしまう。
非は自分にあるのだが、周りで見ていた塾生が、権勢を恐れて本当のことを言わぬのを良いことに、
平三郎に罪を押し付けてしまう。
この事が、平三郎の人生を狂わせるきっかけとなった。
第1場と、第4、5場に出演。
関連作品
LPレコード「阪妻を偲ぶ −雄呂血/無法松の一生−」(昭和53年1978)
無法松の一生(2幕18場) (昭和53年1978)
昭和53年2月2日(木)〜2月26日(日)上演
無法松の一生(2幕18場)
阪妻を偲ぶ 東宝二月特別公演 |
東京宝塚劇場にて上演 |
【出演】
田村高廣(富島松五郎) | 岸田森(吉岡明彦) | 江戸屋猫八(虎吉) | 津島恵子(吉岡良子) | 藤田弓子(おきん) |
中尾ミエ(駒奴) | 正司歌江(おたつ) | 長門裕之(結城豊造) | 小林誠(藤太) | 佐藤富造(熊吉) |
酒井斉昭(見物人) | 吉田康一(見物人、敏雄の級友) | 永利武人(客、見物、生徒、客) | 安藤耐二(客、見物、青年、敏雄の級友、見物人) | 田和輝明(客、、見物、青年、見物人) |
小柳久子(おくめ) | 伊藤亨治(小森) | 中村又蔵(お嬢吉三) | 市川中蔵(由松、和尚吉三) | 市川中之助(月島車之助、お坊吉三) |
市川牡丹(おろく) | 白川淳子(客、おはま) | 浅香和子(おまめ) | 直木みつ男(大岩長太郎) | 西田昭市(龍浪剛之進) |
中村又次郎(青年、見物人) | 林廸之助(天下堂) | 武士真大(松井の子分、見物人) | 市川中次郎(見物人、客) | 中村又志郎(見物人) |
中村又一(清吉、青年、見物人) | 大東俊治(無念) | 細川智(松井の子分、見物人、若い衆) | 松田知器(六太) | 角田美和(客、見物、青年、若い衆、見物人) |
小竹孝一(客、見物、青年、見物人) | 泉好太郎(松井の子分) | 安井孝(松井の子分) | 国谷稔(松井の子分、太鼓の男) | 中西正(松井の子分、見物人) |
山沢丈光(松井の子分、見物人) | 小島和夫(松井の子分) | 嶋口貴守(松井の子分) | 長谷川良文(松井の子分、見物人) | 佐東芳男(松井の子分、見物人) |
藤井正幸(松井の子分、見物人) | 大谷麗子(客、女教師) | 由貴恵(お茶子、見物人) | 石井久美子(客、見物人) | 香山恵真子(おりき、見物人) |
黒木曜子(客、見物人) | 原あけみ(客、見物人) | 歌真理(お茶子、見物人) | 中田光利(吉岡敏雄の子供時代) | 佐久間良(吉岡敏雄の子供時代) |
【物語】
明治30年、北九州小倉の人力車夫は、気性が荒いので有名だったが、
中でも、喧嘩早くて博打好きの松五郎(田村高廣)は特別だった。
ある日、松五郎は、いじめられて怪我をしている子供、敏雄(中田光利・佐久間良)を助けた。
松五郎は、丁寧に家まで送って行ったが、礼も受け取らずに、名前も名乗らずに帰って来た。
敏雄の父、陸軍大尉吉岡(岸田森)は、さっぱりした松五郎の事を気に入り、家に招く。
だが、その宴の席で、吉岡は、無理な行軍から来た疲れから寝込んでしまい、そのまま帰らぬ人となってしまう。
未亡人となった良子(津島恵子)は、敏雄の行く末を心配して、
松五郎に世話を見てくれと頼んだ。
松五郎は、恩義を忘れずにあれこれと世話を焼き、一家にとって無くてはならない存在になってゆく。
そして、密かに未亡人の事を想っていた。
【解説】
阪妻を偲ぶ東宝二月特別公演で『雄呂血・無頼漢』と共に上演されたもの。
昭和181943 年に、阪東妻三郎が主演した『無法松の一生』の舞台化。
映画は、伊丹万作脚本、稲垣浩監督で作られ、日本映画の傑作の一本に数えられる程の出来栄えを見せる。
舞台では、息子の田村高廣が松五郎を演じ、所々に阪妻を意識した芝居を見せた。
見せ場である祇園太鼓も、本人自らが舞台で叩き、流れ打ちから放れ駒、暴れ打ちを見事に打ち分け、満場から拍手がわき起こったという。
長門裕之は、昭和18年の映画で子役として出演していた。
ファンを意識した、嬉しいキャスティングである。
【岸田森の役】
吉岡明彦
敏雄の父親で、陸軍大尉。
松五郎の竹を割ったような性格を気に入り、家でもてなす太っ腹な性格だったが、
無理な行軍がたたり、風邪をこじらして急逝してしまう。
舞台は、一幕3場、6場のみの出演だったが、
後半の見せ場の一つ、運動会のシーンには、
時間が余っていた岸田森がエキストラで出演していたこともあったらしい。
関連作品
LPレコード「阪妻を偲ぶ −雄呂血/無法松の一生−」(昭和53年1978)
雄呂血(おろち)−無頼漢(ならずもの)−(5場) (昭和53年1978)
昭和53年10月1日(日)〜10月28日(土)
座頭市物語(3幕9場)
明治座 十月秋の演劇祭 |
東京・明治座にて上演(昼の部) |
演 出 | 奥村利夫 | 原 作 | 子母沢寛(犬塚稔シナリオより) | 脚 本 | 猿若清方 |
【出演】
勝新太郎(座頭市) | 緒形拳(平手造酒) | 金田龍之介(飯岡助五郎) | 岸田森(笹川繁蔵) | 東大二朗(州の崎政吉) |
藤田弓子(おきん) | 中尾ミエ(駒奴) | 正司歌江(おたつ) | 長門裕之(結城豊造) | 小林誠(藤太) |
最上龍二郎(神楽獅子大五郎) | 猿若清三郎(蓼吉) | 長谷川澄子(たえ) | 勝村淳(勘太) | 森章二(正次) |
武見和士郎(磯次) | 赤松秀樹(勘兵衛) | 馬場勝美(伝六) | 安藤仁一郎(安七) | 美樹博(調作) |
藤春保(富蔵) | 新郷隆(富次郎) | 橋本和博(大八) | 倉田建(猪助) | 小柳圭子(お浜) |
御影伸介(与五郎) | 暁新太郎(茂吉) | 渡辺満男(松吉) | 辻喬次郎(豊作) | 横堀秀勝(梅松) |
清水康晴(芳念) | 角田英介(芳念) | 古川ロック(松の市) | 杉沢勝雄(杉の市) | 谷崎弘一(竹の市) |
植松鉄男(梅の市) | 奥野浩(富の市) | 物部勝美(旅の若夫婦) | 有原照子(旅の若夫婦) | 藤田駿(旅人) |
長谷川秀夫(旅人) | 阿部裕見子(旅人) | 平井真理(旅人) | 高橋美恵子(旅人) | 広瀬康治(百姓) |
小寺良昌(百姓) | 西村優逸(飯岡の乾分) | 津上伸一(飯岡の乾分) | 長谷川良文(飯岡の乾分) | 栩野幸知(飯岡の乾分) |
【物語】
座頭の市(勝新太郎)は、飯岡の助五郎親分(金田龍之介)の客分となる。
ちょうどその頃、助五郎一家は、笹川一家と張り合っており、一触即発の状態だった。
市の居合の腕を知っている助五郎親分は、市を丁重にもてなすように言い付けるが、
何も知らない子分達は余り面白くない。
しかし、満座の中で暴言を受けた市は、ついに皆の前で居合の腕を披露、子分達の度肝を抜く。
ある日、市が近くのため池に釣りに行くと、そこには先客がいた。
先客の浪人は平手造酒(緒形拳)と言い、助五郎一家と仲の悪い、笹川一家の客分だった。
互いに、いつ敵味方になるか判らないという間柄だったにもかかわらず、
いつしか二人の間には、通じ合うものが生まれてきた。
しかし、運命の糸は、二人を対決へと導いてゆく…。
【解説】
勝新太郎の代名詞とも言える、盲目の按摩・市の活躍を描いた、大ヒット映画シリーズの舞台化。
映画第1作目をベースに脚色されている。
元々は、子母沢寛の随筆集「ふところ手帖」に、10数ページ書かれていただけの人物を、
勝新太郎のキャラクターに合わせて大幅に脚色したもの。
勝新太郎主演で、映画は全26作、テレビは100本製作された。
舞台では、明治座で昭和371962 年に初演されて以来、
昭和401965 年、昭和431968 年、昭和471972 年、昭和531978 年、昭和541979 年と6回上演されている。
相手役の緒形拳は、テレビシリーズ『新座頭市』 第12話「 金が身を食う地獄坂」(昭和511976 年)で共演しており、
後に、テレビ、舞台、映画を一本ずつ共演、勝新太郎のお気に入りの俳優の一人だった。
演出は勝新太郎本人が担当、奥村利夫は勝新太郎の本名。
【岸田森の役】
笹岡繁蔵
市(勝新太郎)が客分となっている、助五郎一家と敵対するヤクザの親分。
いかにもヤクザの親分という助五郎(金田龍之介)とは正反対に、頭が切れる冷徹なキャラクターを演じる。
病気で寝込んだ平手造酒(緒形拳)を出入りに引っ張り出すために、市の存在を利用する。
最後は、市が平手を倒して勢いづいた助五郎一家に惨殺された。
関連作品
勝プロダクション
座頭市と用心棒 (昭和45年1970)
子連れ狼 三途の川の乳母車 (昭和47年1972)
子連れ狼 親の心子の心 (昭和47年1972)
唖侍 鬼一法眼 第2話「くちなしの子守唄」(昭和48年1973)
御用牙 かみそり半蔵地獄責め (昭和48年1973)
座頭市物語 第14話「赤ン坊喧嘩旅」(昭和50年1975)
痛快!河内山宗俊 第22話「桃の節句に雪を見た」(昭和51年1976)
痛快!河内山宗俊 第26話「無頼六道銭」(最終話)(昭和51年1976)
新・座頭市 第2話「父恋い子守り唄」(昭和51年1976)
新・座頭市 第19話「越後から来た娘」(昭和52年1978)
鶴八鶴次郎(4幕7場) (昭和53年1978)
因果小僧六之助(3幕6場) (昭和53年1978)
魂の試される時 全17回 (昭和53年1978)
新・座頭市(第二部) 第13話「忠治を売った女」(昭和53年1978)
新・座頭市(第3部) 第3話「市の耳に子守唄」 (昭和54年1979)
舞台演出 勝アカデミー公演「かもめ」より (昭和55年1980)
あいつと俺 全4話 (昭和55年1980)
警視-K 第10話「いのち賭けのゲーム」 (昭和55年1980)
時代劇スペシャル「快傑黒頭巾」 (昭和56年1981)
時代劇スペシャル「傘次郎・新子捕物日記 夫婦十手(めおとじって)」(昭和57年1982)
あいつと俺(未放映分)第5話〜第12話 (昭和59年1984)
昭和53年10月1日(日)〜10月28日(土)
鶴八鶴次郎(4幕7場)
明治座 十月秋の演劇祭 |
東京・明治座にて上演(昼・夜の部) |