【映画】


昭和48年8月11日(土)公開


御用牙 かみそり半蔵地獄責め

勝プロダクション製作東宝配給
上映時間89分カラー作品 シネマスコープ
監 督増村保造原 作小池一雄神田たけ志脚 本増村保造


【出演】

勝新太郎(板見半蔵)黒沢年男(御子紫十内)西村晃(大西孫兵衛)佐藤慶(浜島庄兵衛)稲野和子(陸)
小松方正(大久保山城守)相川圭子(如海尼)宗田政美(大酔女)草野大悟(鬼火)蟹江敬三(マムシ)
岸田森(本多麟太郎)稲葉義男(駿河屋六左衛門)高木均(丹波屋)大森義夫(矢部常陸守)山本一郎(浜島の手下A)
勝村淳(浜島の手下B)北野拓也(勘八)近江輝子(駿河屋お甲)小柳圭子日高久(茶摘みの客D)
真木祥次郎(茶摘みの客C)北見唯一(茶摘みの客A)暁新太郎花岡秀樹(大久保の家来A)藤川準(茶摘みの客B)
速水かおり(三河屋お静)宮下有三(小三郎)神田鉱司(大久保の家来B)水穂亜紀榊陽子(駿河屋の娘お町)
塩瀬夕子(和妻)空井みずほ(娘)熊沢節子(お陸の女中)  


【物語】

同心、半蔵(勝新太郎)は、盗っ人を追いかけていて大久保山城守(小松方正)の行列に衝突してしまう。
盗人を捕えると一歩も引かない半蔵に業を煮やした山城守は、捨てぜりふを残して立ち去った。
捕えた盗っ人は、盗品を水車小屋に打ち捨てられた、女の死体から盗んだと白状する。
殺されていた女は駿河屋の娘であることが判明。
半蔵は、娘がお茶を習いに通っていた、海山寺が怪しいと睨みに乗り込んだ。
そこは、尼寺に名を借りた豪商相手の売春宿だった。
半蔵は、住職の如海尼(相川圭子)を自分の屋敷に連れ帰る。
そして、激しい拷問の末、この尼寺を影から操っているのが、勘定奉行大久保山城守だと白状させた。
そんな時、半蔵に町奉行から、幕府の金座、後藤家に潜入しようとする賊、庄兵衛(佐藤慶)を捕えるようにという命が下った。



【解説】

「かみそり半蔵」と異名を持つ、北町奉行同心、板見半蔵の活躍を描く、映画『御用牙』(昭和47年1972)の第2弾。
権力をも無視して悪人を捕まえる、正義感あふれる活躍を勝新太郎主演で描く。
小池一雄原作、神田たけ志画で、週刊ヤング・コミックに公開当時連載中の劇画「御用牙」が原作。
シリーズの見せ場は、半蔵が考え出した拷問術と、自分自身のいちもつを武器に、高慢な女達の口を割ってゆくシーン。
シリーズはこの後第3作『御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判』(昭和49年1974)まで続くが、毎回拷問のシーンが山場の一つになっていた。
半蔵の屋敷が、からくり館みたいになっていて、大勢の敵が押し掛けても次々と撃退されてしまうという描写が楽しい。
名匠宮川一夫がカメラを担当するなど、倒産した大映のスタッフが中心になって製作している。



【岸田森の役】

本多麟太郎

大久保山城守(小松方正)の駕篭を守る役人。
権力を笠に着た着た嫌味な態度で、行列に乱入してきた半蔵(勝新太郎)の前に立ちふさがる。
鳥の羽をいじりながら半蔵に迫るなど非常に印象的で、後に何かあるような登場だったが、
冒頭のワンシーンのみで、結局他には出演しない。



関連作品

勝プロダクション

座頭市と用心棒 (昭和45年1970
子連れ狼 三途の川の乳母車 (昭和47年1972
子連れ狼 親の心子の心 (昭和47年1972
唖侍 鬼一法眼 第2話「くちなしの子守唄」(昭和48年1973
座頭市物語 第14話「赤ン坊喧嘩旅」(昭和50年1975
痛快!河内山宗俊 第22話「桃の節句に雪を見た」(昭和51年1976
痛快!河内山宗俊 第26話「無頼六道銭」(最終話)(昭和51年1976
新・座頭市 第2話「父恋い子守り唄」(昭和51年1976
新・座頭市 第19話「越後から来た娘」(昭和52年1978
座頭市物語(3幕9場) (昭和53年1978
鶴八鶴次郎(4幕7場) (昭和53年1978
因果小僧六之助(3幕6場) (昭和53年1978
魂の試される時 全17回 (昭和53年1978
新・座頭市(第二部) 第13話「忠治を売った女」(昭和53年1978
新・座頭市(第3部) 第3話「市の耳に子守唄」 (昭和54年1979
舞台演出 勝アカデミー公演「かもめ」より (昭和55年1980
あいつと俺 全4話 (昭和55年1980
警視-K 第10話「いのち賭けのゲーム」 (昭和55年1980
時代劇スペシャル「快傑黒頭巾」 (昭和56年1981
あいつと俺(未放映分)第5話〜第12話 (昭和59年1984








昭和48年9月1日(土)公開


化石の森

東京映画製作東宝配給
上映時間118分カラー作品 ワイド
監 督篠田正浩原 作石原慎太郎脚 本山田信夫


【出演】

萩原健一(緋本治夫)二宮さよ子(井沢英子)八木昌子(塩見菊江)田中明夫(馬場良吉)岸田森(辻)
浜田寅彦(宮地教授)龍岡晋(どてらの男)日下武史(塩見雄二)水島弘(高野教授)堀内正美(緋本宏夫)
亀田季紀(塩見和彦)阪上和子(良子)桂木美加(マニキュア師)川口節子(マニキュア師)佐々木槙子(看護婦)
山本聡(ウエイター)前原久影(医局員)木下陽夫(学生)勝部義夫(商社マン)細井利雄(警官)
石矢博(ホテル・ボーイ)岩下志麻(緋本恭子)杉村春子(多津子)  


【物語】

大学病院でインターンをしている治夫(萩原健一)は、
息子の脳手術で気が高ぶっている菊江(八木昌子)に、つい本当の症状を喋ってしまう。
治夫は、教授に呼び出され意見をされるが、その医学の権威を全て背負っているような態度に反感を覚えた。
ある日、治夫は高校の同級生だった英子(二宮さよ子)と再会する。
そのまま二人は一晩を過ごすが、その事を知った英子の店のマスターが、彼女を監禁してしまう。
二人は関係があり、嫉妬に狂ったマスターが、暴力を振るったのだ。
なんとか逃げ出した英子を見て、治夫は、まだ大学で実験中の毒薬を渡し、憎ければ毒殺しろと言い放つ。
英子は本当に毒殺をしてしまう。
そして、女房気取りになり始めた。
恐れをなした治夫は、黙って家を飛びだしてしまう…。



【解説】

石原慎太郎原作の同名小説の映画化。
大学病院のインターン治夫(萩原健一)が、高校時代の同級生英子(二宮さよ子)とのふとした出会いから、
殺人や不倫などの様々な人間関係の渦の中に落ちてゆく様子を描く。
タイトルの「化石の森」は、
主人公のセリフにある、憎いことや嫌なことがあるのを隠して押さえ込み、
自分をごまかしている、まるで化石のようになっている人達の集まりの事。
主人公も、結局は最後に化石のようになってしまい、
殺人の共犯者(正確には違うが)となってしまった母親の元に帰ってゆくことになる。
東京映画創立20周年記念作品としての製作。


【岸田森の役】



新興宗教の説教師。
元は医者だったが、医療に疑問を持ち、新興宗教に身を投じた。
主人公治夫(萩原健一)の悩みを見透かしたように禅問答のような問いを吹っ掛ける。
スキンヘッドで、噛んで含めるような喋り方をするのが印象に残った。
この二人の掛け合いのシーンだけは、映画の中で別世界のような不思議な空間を作りだしている。
ワンシーンだけの出演。
プロデューサーが、
『狙撃』(昭和431968年)、『弾痕』(昭和441969年)の貝山知弘という事で出演。




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