【映画】


昭和43年6月22日(土)公開


斬る

東宝製作東宝配給
上映時間115分白黒作品 シネマスコープ
監 督岡本喜八原 案山本周五郎脚 本岡本喜八村尾昭


【出演】

仲代達矢(兵頭弥源太)高橋悦史(田畑半次郎)星由里子(千乃)中丸忠雄(庄田孫兵衛)久保明(竹井紋之助)
神山繁(鮎沢多宮)東野英治郎(森内兵庫)岸田森(荒尾十郎太)中村敦夫(笈川哲太郎)田村奈己(よう)
天本英世(島田源太夫)土屋嘉男(松尾新六)橋本功(藤井功之助)浜田晃(西村伝蔵)地井武男(吉田弥平次)
久野征四郎(正高大次郎)樋浦勉(武助)黒部進(鮎沢金三郎)今福正雄(道心和尚)長谷川弘(重傷の浪人)
鈴木えみ子(トミ)小川安三(喜助)中山豊(浪人)香川良介(溝口佐仲)伊吹新(重傷の浪人)
当銀長太郎(浪人)伊藤実緒方燐作権藤幸彦佐藤功一
大前亘(番人)鈴木治夫(番所の番頭)開田裕(鮎沢の家臣)清水良二篠原正記
宇留木康二田中浩浅川孝二宇仁貫三 


【物語】

上州小此木領にふらりとやって来た二人、ヤクザの弥源太(仲代達也)と百姓の半次郎(高橋悦史)は、
城代家老が青年武士7人に斬られる事件に巻き込まれる。
この藩では、圧政に耐え兼ねた百姓達が一揆を起こしたばかりで、
腐敗した現状に、青年武士達は我慢がならなかったのだ。
ひそかに権力を手に入れる機会を狙っていた次席家老、鮎沢(神山繁)は、
城代家老襲撃を私闘と決めつけ、山に立てこもる青年武士達に討っ手を差し向ける。
半次郎は、武士に取り立てるという鮎沢の誘いに乗り、討っ手に参加するが、
弥源太は青年武士達に力を貸すことを決意した。
弥源太は以前武士で、役目の上から親友を斬ってしまった過去を、この青年武士達に見たからだ。


【解説】

山本周五郎の短編「砦山の十七日」を原案にした、岡本喜八監督の娯楽時代劇。
大ヒットした黒澤明監督作品『用心棒』(昭和36年1961)『椿三十郎』(昭和37年1962)が、
作風に大きく影響しており、見比べると楽しい。
これらの黒澤作品とは違い、岡本喜八監督は、作品を群衆劇として仕上げている。
多くの登場人物が入り乱れ、それらが適当な過去を持ち物語に絡む様を、
岡本喜八監督独特のカット構成で手際よく見せた。



【岸田森の役】

荒尾十郎太

砦山に立てこもった青年藩士を討ち取るために集められた、浪人組の組長。
自らの許嫁 よう(田村奈己)を、女郎屋から身請けする金を作るために、この仕事を引き受ける。
ニヒルに見せるが、実は人情に厚い儲け訳。
浪人組は、青年藩士達と私闘をしていたという事にされて、見殺しにされる。
それに気がついた十郎太達は、討っ手の藩士達に斬りかかり、全滅してしまう。

岡本喜八監督との初顔合わせ作品で、
この後、岸田森が死亡するまで、ほとんどの岡本喜八監督作品に顔を出すことになる。


関連作品

岡本喜八

赤毛  (昭和44年1969
座頭市と用心棒 (昭和45年1970
激動の昭和史 沖縄決戦 (昭和46年1971
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 (昭和47年1972
青葉繁れる (昭和49年1974
吶喊(とっかん) (昭和50年1975
金曜スペシャル「時効まで後26日!実録・三億円事件」 (昭和50年1975
姿三四郎  (昭和52年1977
ダイナマイトどんどん  (昭和53年1978
ブルークリスマス  (昭和53年1978
英霊たちの応援歌  (昭和54年1979
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」  (昭和56年1981
近頃 なぜか チャールストン  (昭和56年1981








昭和43年11月23日(土)公開


狙撃

東宝製作東宝配給
上映時間87分カラー作品 シネマスコープ
監 督堀川弘通脚 本永原秀一廣澤榮


【出演】

加山雄三(松下徹)浅丘ルリ子(章子)森雅之(片倉譲二)小沢昭一(李康生)岸田森(深沢)
船戸順(山際)藤木孝(花田)川合伸旺(安部)笹岡勝治(今野)サリー・メイ(バレンチナ)
新井純(美樹)荒木保夫(密輸団A)久野征四郎(密輸団B)田中浩草川直也
鈴木和夫(片倉の手下)大前亘(尾行者A)倉光和彦(工藤)船水進川崎桂
関田裕(税関係)増岡明子柳みち子  


【物語】

高度な射撃の技術を持った一匹狼の殺し屋、松下(加山雄三)は、
金塊密輸団襲撃を請け負う。
計画は成功するが、密輸団は金塊を取り戻すために、凄腕の殺し屋、片倉(森雅之)を呼び寄せる。
片倉は、金塊襲撃メンバーを次々と殺し、最後に松下を狙ってきた。
恋人の章子(浅丘ルリ子)を誘拐された松下は、単身片倉の待つ場所へと向かう…。



【解説】

永原秀一のオリジナルストーリーによるハードボイルドアクションの佳作。
日本映画ではあまり重要に扱われていなかった銃器類のディテールを徹底的に描き込み、
拳銃の威力をリアルに演出することに成功している。
それまで明朗な役が多かった加山雄三が、無口な殺し屋を演じ、新境地を開いた。
また、森雅之の不気味な殺し屋も素晴らしく、
単純明快なストーリーに深味を与えている。


【岸田森の役】

深沢

松下(加山雄三)の協力者で、米軍基地の近くで銃砲店を営む。
左翼的な思想を持ち、松下がその理想を実現する腕を持っていると、偏った信頼を寄せる。
そして、店の地下にある秘密の工場で、松下の注文する銃を何でも作り上げてしまう。
銃器の知識は相当の物で、
加山雄三と銃器の話をするシーンには、異様な説得力があり、名シーンだった。
同年に放映された
『怪奇大作戦』で演じた牧史郎が屈折したような印象を受けるキャラクターだ。



関連作品

永原秀一

弾痕(昭和44年1969
傷だらけの天使 第2話「悪女にトラック一杯の幸せを」(昭和49年1974
乱れからくり(昭和54年1979
蘇える金狼(昭和54年1979






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