【映画】


昭和46年5月26日(水)公開


狐のくれた赤ん坊

大映京都製作ダイニチ映配配給
上映時間84分カラー作品 ワイド
監 督三隅研次原 作丸根賛太郎脚 本丸根賛太郎


【出演】

勝新太郎(張り子の寅八)大谷直子(おとき)中谷一郎(馬方丑五郎)田子ノ浦忠雄(賀太野山)藤原釜足(大黒屋蜂佐エ門)
美川陽一郎(鎌田大学)田武兼三(浪華屋甚兵ヱ)岸田森(勝谷栄之進)大川修(へちまの辰)花布辰男(松屋容斉)
原聖四郎(久右ヱ門)黒木現(侍 甲)沖時男(笹井竹斉)森章二(仏の六助)新関順司郎(しょんぼり松)
松田剛武(川越人足)伊吹新吾(侍 乙)香川雅人(善太)高寺正(三平)村井宏之(平吉)
武田誠子(善太・子供時代)    


【物語】

東海道大井川の渡しの人足、寅八(勝新太郎)は、
近ごろ街道筋に出るという狐を退治しようとして、偶然に道に捨ててあった赤ん坊を拾ってしまう。
寅八は、仕事仲間に乗せられて、酒も博打も止め、赤ん坊を育てることになってしまった。
7歳に成長した善太(香川雅人)は、ある日、大名行列ごっこをしていて、本物の大名行列と正面衝突してしまう。
これはタダではすまない。
自らが身代わりに斬られようと決意した寅八は、本陣に出向いたが、逆にその堅気さを褒められる。

その夜、久しぶりに酔っ払った寅八は、
口からでまかせに、善太はある大名のご落胤だと大ボラを吹いてしまう。
しかし、それは事実だったのだ…。



【解説】

純情な川越人足が、ひょんな事から捨て子を育てることになってしまう、
昭和20年1945 に阪東妻三郎主演で映画化された傑作人情喜劇映画のリメイク。
勝新太郎の得意な、粗暴だがお人好しというキャラクターが生かされた作品に仕上がっていた。

この作品を配給しているダイニチ映配とは、
大映映画が倒産寸前に、配給網を拡大しようと日活映画と手を組んで作り上げた共同配給網。
日活と大映が、交互に作品を作り上映したが、
作品の質が余りにも違ったので長続きせず2年ほどで解消となる。


【岸田森の役】

勝谷栄之進

大名行列と正面衝突した拾い子、善太(香川雅人)の身代わりに
本陣へ出向いた寅八(勝新太郎)の応対に出た武士。
憮然とした表情で寅八の話を聞いているが、
それでも寅八の熱意に感動しているという所を見せる、微妙な芝居を見せた。
許された事を伝える時の、喜びの表情が印象的だ。
二シーン登場


関連作品

勝新太郎

いのち・ぼうにふろう(昭和46年1971


勝プロダクション

座頭市と用心棒 (昭和45年1970
子連れ狼 三途の川の乳母車 (昭和47年1972
子連れ狼 親の心子の心 (昭和47年1972
唖侍 鬼一法眼 第2話「くちなしの子守唄」(昭和48年1973
御用牙 かみそり半蔵地獄責め (昭和48年1973
座頭市物語 第14話「赤ン坊喧嘩旅」(昭和50年1975
痛快!河内山宗俊 第22話「桃の節句に雪を見た」(昭和51年1976
痛快!河内山宗俊 第26話「無頼六道銭」(最終話)(昭和51年1976
新・座頭市 第2話「父恋い子守り唄」(昭和51年1976
新・座頭市 第19話「越後から来た娘」(昭和52年1978
座頭市物語(3幕9場) (昭和53年1978
鶴八鶴次郎(4幕7場) (昭和53年1978
因果小僧六之助(3幕6場) (昭和53年1978
魂の試される時 全17回 (昭和53年1978
新・座頭市(第二部) 第13話「忠治を売った女」(昭和53年1978
新・座頭市(第3部) 第3話「市の耳に子守唄」 (昭和54年1979
舞台演出 勝アカデミー公演「かもめ」より (昭和55年1980
あいつと俺 全4話 (昭和55年1980
警視-K 第10話「いのち賭けのゲーム」 (昭和55年1980
時代劇スペシャル「快傑黒頭巾」 (昭和56年1981
あいつと俺(未放映分)第5話〜第12話 (昭和58年1983








昭和46年6月16日(水)公開


呪いの館 血を吸う眼

東宝製作東宝配給
上映時間82分カラー作品 ワイド
監 督山本迪夫脚 本小川英武末勝


【出演】

高橋長英(佐伯)江美早苗(柏木夏子)藤田みどり(柏木秋子)岸田森(影のような男)高品格(久作)
大滝秀治(老人)松下達夫(教授)小川安三(男)大前亘(男)桂木美加(患者)
二見忠男(運転手)立花房子(ピアノの女)川口節子(看護婦)鈴木治夫(警備員)記平佳枝(看護婦)
毛利幸子(看護婦)山添三千代(秋子の少女時代)   


【物語】

秋子(藤田みどり)は、中学の先生をしながら、
富士見湖畔に妹の夏子(江美早苗)と一緒に生活していた。
ある日、色々と手助けしてくれる、レストハウスのボーイ久作(高品格)の元に、
不気味な棺桶が送られてくる。
その日から、秋子が少女時代に見た不思議な夢が、現実のものとなる。
飼い犬は殺され、豹変した久作が秋子に襲いかかってきたのだ。
失神して、レストハウスへ連れ込まれた秋子に、
影のような牙を剥いた男が襲いかかろうとした。
この男の目は、秋子が少女時代に見た
不思議な夢の中に出てきた眼と、全く同じだった…。



【解説】

日本では珍しい、吸血鬼を本格的に描いた作品。
同じ山本迪夫監督の『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』(昭和45年1970 )に続く『血を吸う』シリーズの第二弾。
宗教観の違う日本国で、正統派のドラキュラを真正面から描ききるという冒険が、見事に成功した佳作。
吸血鬼をいかにして退治するかは、日本で吸血鬼映画を作るうえでのキーポイントでもある。
今の日本では、吸血鬼の弱点であるニンニクを食べたことの無い人間はまずいないだろうし、
十字架は宗教観の違いから、あまりにもリアリティが無さ過ぎるのだ。
ここでは、大滝秀治が扮する父親の愛と悲しみが最期に吸血鬼を滅ぼす原因となる。
この設定が成功したおかげで、作品自体も違和感なく日本の物語に移植する事が出来たのだ。
もちろん、岸田森の熱演も見逃せない。
ちなみに、この作品と併映された『雨は知っていた』も同じ山本迪夫監督作品。
こちらの作品にも大滝秀治が出演していたので
『血を吸う眼』の方は、極端なメイクで誰だか判らないようにしている。


【岸田森の役】

影のような男(吸血鬼)

岸田森の代表作とも言えるキャラクター。
この作品のイメージが余りにも強かったので、
後に製作される映画
『血を吸う薔薇』(昭和49年1974 )や、
テレビ『もんもんドラエティ』(昭和56年1981 )、『ドラキュラ都へ行く』の吹替(昭和56年1981 )、
そして映画『金田一耕助の冒険』(昭和54年1979 )と、
生涯何本もドラキュラを演じる事となる。

この映画の吸血鬼では、青い顔で、口から赤い血を垂らし、眼がオレンジに光るという、
色彩的にコントラストがはっきりしているメイクをしている。
そして、非常に細い体格の岸田森が怪力で暴れることによって、不気味なリアリティが生まれていた。

見せ場は何と言ってもラストで吸血鬼が滅びてゆく、非常に長いシーン。
余韻を残す演出のうまさもあり、迫力ある絶叫は、一度見たら忘れられないほどの熱演だ。
岸田森は、このシーンを試写で見て
「監督のペースに乗過ぎて、ワルノリしすぎたか…」と照れて呟いていたという。


関連作品


山本迪夫

東京コンバット 第3話「銀色の死刑台」 (昭和43年1968
火曜日の女「木の葉の家」全6回     (昭和47年1972
血を吸う薔薇              (昭和49年1974
木曜ゴールデンドラマ「大誘拐 陽気なお婆ちゃんの身代金は何と百億円!」(昭和56年1981
「追悼岸田森 山本迪夫」        (昭和58年訃報1983


ドラキュラ

血を吸う薔薇  (昭和49年1974
新聞記事 和製ドラキュラ 今度は「血を吸う薔薇」植物性′ゥ込まれたかな 岸田森  (昭和49年1974
日曜☆特バン 第4回「戦慄!!ドラキュラは今でも生きている!!」 (昭和51年1976
金田一耕助の冒険  (昭和54年1979
SPECIAL INTERVIEW 「フルコース ミスターどらきゅら 岸田森VSドラキュラ ドラキュラのルーツをたずねて」  (昭和54年1979
もんもんドラエティ 全30回(昭和56年1981
インタビュー「日本一の吸血鬼役者、岸田森!」  (昭和56年1981
木曜洋画劇場「ドラキュラ都へ行く」  (昭和56年1981
インタビュー「日本一の吸血鬼役者、岸田森!」 (昭和56年1981









昭和46年7月17日(土)公開


激動の昭和史 沖縄決戦

東宝製作東宝配給
上映時間149分カラー作品 ワイド
監 督岡本喜八脚 本新藤兼人


【出演】

小林桂樹(牛島中将)丹波哲郎(長参謀長)仲代達矢(八原高級参謀)酒井和歌子(渡嘉敷良子)大空真弓(上原婦長)
加山雄三(比嘉主任軍医)池部良(太田少将)高橋悦史(賀谷中佐)川津祐介(神航空参謀)寺田農(吉田中尉)
岸田森(目軍医大尉)井川比佐志(伊藤大尉)田中邦衛(比嘉三平)中谷一郎(上野参謀長)睦五郎(薬丸情報参謀)
地井武男(小倉曹長)大丸二郎(長野作戦参謀)佐々木勝彦(三宅通信参謀)東野孝彦(広森中尉)橋本功(益永大尉)
草野大悟(奥山大尉)佐原健二(玉城勢教論)船戸順(作戦課員C)大谷直子(抵抗する若い娘)木村由貴子(嘉数ヤス)
南風洋子(島田知事夫人)富永美紗子玉川伊佐男(釜井航空参謀)森幹太(木村後方参謀)鈴木瑞穂(中島参謀)
新田昌玄(天野少将)藤岡重慶(真田少将)滝田裕介(仲宗根校長)阿部希郎(服部大佐)天本英世(野田校長)
富田浩太郎(島の駐在)小瀬格(船舶工兵隊長)今福正雄(照屋校長)青野平義(渡辺中将)浜村純(泉知事)
北竜二(河辺参謀次長)三井弘次(老人)藤原釜足(亀甲墓の爺さん)佐々木孝丸(宇垣長官)石山健二郎(安藤大将)
神山繁(島田知事)山内明(宮崎中将)東野英治郎(梅津参謀総長)香川良介堺左千夫(水を売る男)
大木正司(中村曹長)樋浦勉(神山島斬込隊西岡少尉)長谷川弘(坂口次級副官)永山一夫(抜刀の将校)浅若芳太郎(島の村長)
山本清(山本憲兵隊長)江角英明(連隊区司令部将校)園田裕久(師範の配属将校)久野征四郎(第三戦隊長)荒木保夫(作戦課員A)
山本廉(大森軍曹)平松慎吾(京僧参謀)沖田駿一(仲真二等兵)木村豊幸(少年兵)当銀長太郎(諏訪部大尉)
阿知波信介(外間曹長)大前亘(海岸の歩哨)広瀬正一佐田豊(亀甲墓の父)草川直也(輸送指揮官の少尉)
小川安三(小森伍長)岩本弘司(藤田曹長)鈴木和夫(脳症の兵)中山豊(吉崎上等兵)北九州男(作戦課員B)
桐原史雄(ある古兵)亀谷雅彦(平川見習士官)木下陽夫(伊豆味二等兵)藤田漸(古波二等兵)西川明
木村博人田中浩小杉晃司(島の長老)古川義範三上左京
池田勝永島岳(西平教諭)金子富士雄沢登護田中一(シーちゃんにのしかかる兵)
小島新太郎三上剛本多一也石川誠鈴木治夫(神山島斬込隊曹長)
勝部義夫(与那嶺教諭)加藤茂雄斉藤宣丈(東風平教諭)原田力(伊東大隊の下士官)渡辺隆司(国場少年)
熊谷敏樹(瀬底二等兵)高原勉(捕虜の少年兵)高橋光則八木悟野島千照
川瀬裕之(亀甲墓の子)辻伊万里(亀甲墓の婆さん)丘ゆり子(辻町のシーちゃん)中真千子浦山珠実
鈴木喜美子永坂秀子小野松枝こんどうそや(衛生所女子青年団)木浦スミ江(比喜三平の老婆)
小沢憬子中野トシ子佐渡絹代鷲尾愛里(島田黎子)田代真由美(島田幸子)
山添三千代山添久美(五歳の孤児)小林清志(ナレーター)  


【物語】

昭和19年7月、サイパン島が陥落した。
アメリカ軍は、日本の喉元に匕首を突き付けたのだ。
どんな犠牲を払っても、米軍を本土に至る前に食い止めなければならない大本営は、
今まで、ほとんど省みられることの無かった沖縄を、本土防衛の第一線とし、続々と大兵力を送り込む。
その数は二十万人にも上った。

新司令官として、陸軍学校の校長だった、温和な牛島中将(小林桂樹)が送り込まれる。
彼を迎えたのは、豪傑型の参謀、長少将(丹波哲郎)と、
秀才タイプの高級参謀、八原大佐(仲代達矢)だった。

大本営は、沖縄を巨大な不沈空母化し、航空勢力で米機動部隊を叩こうと考えたが、
八原は、日本の航空兵力では太刀打ちできないと判断、
大本営の意向に反して洞窟陣地構築を進める。
慌ただしい準備が進む中、ついに米軍二十万が怒とうのように押し寄せた。
沖縄県民の三分の一が戦死する過酷な戦いの幕が、切って落とされた…。



【解説】

東宝映画が、終戦記念日に合わせて放つ「八・一五シリーズ」の第5弾。
監督は、シリーズ第一作『日本の一番長い日(昭和42年1967)』を担当して、
シリーズの基礎を作り上げた岡本喜八監督が担当している。
本土の防衛のために捨て石にされた沖縄の悲惨な闘いを、
たくさんの登場人物のエピソードを積み重ねることによって、手際よく描き出した。

内地の現状を把握していない大本営の立てる作戦はことごとく誤り、沖縄の主力第32軍は弱体化されてしまう。
そして、突貫工事で作らされた飛行場には、一機も飛行機が来ないという酷い状況に陥る。
アメリカ軍の上陸作戦が開始されてからも、大本営は、沖縄第32軍の作戦に、一々干渉してくる。
アメリカ軍の物量作戦に、次第に島の南の端に追い詰められた日本軍たちは、次々と自決をしてゆくが、
それを尻目に、沖縄の現地人達は、自分達で故郷を守らなければならないと、果敢に攻撃を続けてゆく。
アメリカ軍ばかりではなく、本土の日本軍も、沖縄にとっては敵と同じことだったのだ。

前作
『激動の昭和史 軍閥』(昭和45年1970)で狂人のような東条英機を演じていた小林桂樹が
一転して温和な牛島中将を演じて、場をさらっていた。



【岸田森の役】

目軍医大尉

陸軍第二外科の軍医。
毎日運ばれてくる、たくさんの傷病兵を見ているせいで、悲惨なことに全く無感覚になってしまっている。
いつも酒を飲み、世の中を斜に見る岸田森得意の芝居で、出番は少ないながらも印象的な役。
怪我をした足を、まるで大根でも切るように切断するシーンは、思わず寒気がするほどの好演だった。
最期は、島の南の端に追い詰められて、ウィスキーに毒薬を入れて自決。
その時に、一緒に自決させてくれという看護婦達を庇うように、自分たちだけで毒薬を飲む優しさを見せた。


関連作品


激動の昭和史 軍閥 (昭和45年1970


岡本喜八

斬る  (昭和43年1968
赤毛  (昭和44年1969
座頭市と用心棒 (昭和45年1970
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 (昭和47年1972
青葉繁れる (昭和49年1974
吶喊(とっかん) (昭和50年1975
金曜スペシャル「時効まで後26日!実録・三億円事件」 (昭和50年1975
姿三四郎  (昭和52年1977
ダイナマイトどんどん  (昭和53年1978
ブルークリスマス  (昭和53年1978
英霊たちの応援歌  (昭和54年1979
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」  (昭和56年1981
近頃 なぜか チャールストン  (昭和56年1981


大空眞弓

土曜ワイド劇場「死刑台のロープウェイ」(昭和54年1979
しづの生涯  (昭和56年1981
雑誌記事「再燃が心配!?大空真弓と岸田森の仲」 (昭和56年1981
新聞記事「ハイ!本番 「『しづの生涯』の岸田森 初恋の大空と共演 30年ぶり…テレる」(昭和56年1981
エッセイ「同級生交歓 俳優大空真弓 俳優岸田森」 (昭和56年1981







昭和46年7月24日(土)公開


帰ってきたウルトラマン

円谷プロダクション=東京放送製作東宝配給
上映時間48分カラー作品 スタンダード
監 督冨(ママ)田義治脚 本上原正三


【出演】

団次郎(郷秀樹)塚本信夫(加藤隊長)池田駿介(南隊員)西田健(岸田隊員)三井恒(上野隊員)
桂木美加(丘隊員)榊原るみ(坂田アキ)川口英樹(坂田次郎)岸田森(坂田健)佐原健二
小松英三郎藤田進大前亘菊池英一(ウルトラマン)名古屋章(ナレーター)


【物語】

採掘場から、一億三千年も昔の貝をつけた石が発見される。
ウルトラマンの力を持つ郷隊員(団次郎)は、それが危険なものと気づくが、MATの隊員達には判らない。
放置された岩石からは、怪獣ツインテールが誕生、
しかも、それを常食とする怪獣グドンまで出現してしまう。
ウルトラマンも、二大怪獣相手には歯が立たなかった。
怪獣を倒すために、防衛庁長官(藤田進)は、新兵器スパイナーの使用を決定する。
しかし、これを使うと、東京は廃虚となってしまう。
町を廃虚にしたくない加藤隊長(塚本信夫)の説得に上層部は折れ、
MATに最後のチャンスが与えられた。
これに勝たなければ、スパイナーは使用されてしまうのだ。



【解説】

テレビシリーズ
『帰ってきたウルトラマン』
第5話「二大怪獣東京を襲撃」、第6話「決戦!怪獣対マット」二話を再編集したもの。
春、夏、冬休みに、親子連れをターゲットにした映画を上映する「東宝チャンピオン祭り」の中で上映された作品。
今回は、東宝映画が主催したチャンピオン祭り第6回目に当り、
新作映画『ゴジラ対へドラ』を目玉に、30分テレビアニメ『みなしごハッチ』『いなかっぺ大将』等を併映した。



【岸田森の役】

坂田健

主人公郷(団次郎)が兄と慕う、自動車修理工場の経営者。
郷とともに、レーサーの夢を追う。
避難命令の出た東京で、重傷の妹アキ(榊原るみ)を置いて逃げるわけにはゆかず、
死を覚悟で病院に居残る。
説得に来た加藤隊長(塚本信夫)達を前に、
自分の親も戦争中疎開できなかったという話をして、決意を表すという見せ場があった。


関連作品

円谷プロ作品

怪奇大作戦 全26話 (昭和43年1968
帰ってきたウルトラマン 1話〜37話(昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 竜巻怪獣の恐怖 (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」(脚本) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 次郎くん怪獣にのる (昭和47年1972
ウルトラマンA 全52話 (昭和47年1972
ファイヤーマン 全30話 (昭和48年1973
ファイヤーマン 第12話「地球はロボットの墓場」(脚本) (昭和48年1973
「怪獣供養祭」司会 (昭和48年1973
恐竜戦隊コセイドン 第29話「コセイドン緊急出動 果しなき戦い」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場「白い手美しい手 呪いの手」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場 「怨霊!あざ笑う人形 危険な未亡人」(昭和55年1980
土曜ワイド劇場「怪奇!金色の眼の少女」 (昭和55年1980
火曜サスペンス劇場「乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件」 (昭和57年1982
火曜サスペンス劇場 「可愛い悪魔」(昭和57年1982
ウルトラマンA「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(平成元年1989

「リメンバー!!怪奇大作戦 岸田森・昼下がりのインタビュー!!」(昭和54年1979
空想特撮の名バイプレイヤー 岸田森インタビュー(昭和54年1979







昭和46年9月11日(土)公開


いのち・ぼうにふろう

東宝・俳優座提携作品東宝配給
上映時間122分白黒作品 ワイド
監 督小林正樹原 作山本周五郎脚 本隆巴


【出演】

仲代達矢(定七)栗原小巻(おみつ)酒井和歌子(おきわ)中村翫右衛門(幾造)神山繁(金子)
佐藤慶(与兵衛)山本圭(富次郎)中谷一郎(岡島)近藤洋介(政次)滝田裕介(灘屋の小平)
岸田森(源三)山谷初男(文太)三島雅夫植田峻(仙吉)草野大悟
矢野宣佐伯赫哉関口銀三大林丈史浅若芳太郎
勝新太郎(名のない男)    


【物語】

橋一つで外界と結ばれている、深川のある島に、安楽亭という一膳飯屋があった。
ここは、抜け荷の仕事をしている悪人達のたまり場である。
抜け荷は、灘屋の小平(滝田祐介)から請け負い、品物は、この安楽亭に隠していたが、
怪しんだ八丁堀道心達が目をつけ始めていた。
ある日、安楽亭の常連、定七(仲代達矢)は、
無銭飲食で袋だたきにあっている奉公人、富次郎(山本圭)を助ける。
彼は、女衒に売り飛ばされた幼なじみのおきわ(酒井和歌子)を助けようとしていた。
安楽亭の常連達は、この話を聞いて命を棒に振っても助け出すのを手伝おうとと考える。


【解説】

山本周五郎原作の小説「深川安楽亭」の映画化。
世間から隔離された「安楽亭」を舞台にして、
そこに集う悪人達が、転がり込んできた若者を、文字通り命を棒に振って助けようとする。
山本文学の中に度々描かれる、無償の奉仕が前面に押し出された物語だ。
安楽亭に集う悪人達は、仲代達矢を始めとして、
岸田森、佐藤慶、草野大悟、近藤洋介、山谷初男、中村翫次郎など、
芸達者なクセのある役者が集められた。
また、名のない男の役で、勝新太郎が出演している。

脚本を担当している隆巴は、この映画の主演俳優仲代達矢の、夫人である宮崎恭子のペンネーム。
小林正樹監督が、黒澤明、木下恵介、市川崑と共に結成した「四騎の会」の第一作目として製作。
大掛かりな島のオープンセットが、神奈川県厚木市の相模川の河原に作られて撮影された。

映画の公開は9月11日だが、当時オープンした相鉄ムービルのこけら落としとして、
相鉄東宝劇場で3月5日(金)から11日(木)まで先行公開されている。


【岸田森の役】

源三

安楽亭に集う、悪人達の一人。
マントのような着物を羽織り、喉が悪いらしく、いつも咳き込んでいる。
いつも群れている安楽亭の常連たち一人とは少し離れて、
外れにある作業場で楊枝を作っている楊枝職人。
影があるニヒルな役柄だが、安楽亭の常連たちの中では、一番の常識人という感じである。
富次郎(山本圭)が自分達と共に捕まらないように逃がそうとして捕縛される。
捕り方に網をかぶせられ絶叫する、無念のラストだった。



関連作品

勝新太郎

狐のくれた赤ん坊(昭和46年1971







昭和46年9月11日(土)公開


曼陀羅





実相寺プロダクション=日本アート・シアター・ギルド製作ATG配給
上映時間132分カラー(一部白黒)作品 ビスタサイズ
監 督実相寺昭雄脚 本石堂淑朗


【出演】

清水※(糸へんに宏)治(信一)森秋子(由紀子)田村亮(裕)桜井浩子(康子)岸田森(真木)
草野大悟(茂雄)富川K夫(守)若林美宏(真木夫人)北島マヤ(令子)花柳幻舟(君子)
小林昭二(中年男)大木正司(中年男)原保美(刀剣商)左時枝(ジュン) 


【物語】

敦賀の海岸沿いに建つモーテルで、
知り合いのカップルと恋人交換をして一時を過ごした信一(清水※(糸へんに宏)治)と由紀子(森秋子)は、
海岸で二人の暴漢達に襲われる。
しばらくして、気が付いた信一は、
死んだようになって全裸で横たわっている由紀子を、思わず愛撫し始めてしまう。
二人は、朦朧とした意識の中、かつてない程の陶酔に浸った。

一カ月後、信一と由紀子は、海岸での事件が仕組まれたのではないかと、
もう一度モーテルに向い、支配人の真木(岸田森)に詰問した。
真木は、そんな二人を、とある山門に招き入れる。
そこは、単純再生産の法則が支配をするユートピアで、
農業とエロチシズムの追求が、二本の柱になっている共同体だった。
二人は、真木に魅せられ、ユートピアに参加する。
一方、恋人交換で罪悪感を感じていた康子(桜井浩子)は、裕(田村亮)と共に、
行方不明になった信一達を捜しに、再びモーテルにやって来た。
だが、真木の放った暴漢がやって来て、信一達の時と同じように二人に襲いかかる…。


【解説】

農業とエロチシズムを二本の柱として、単純再生産を目指すユートピア集団を作ろうとする試みが、
偶然そこに紛れ込んできた学生達によって崩壊してゆくまでを描く作品。
監督は、これが長編映画第2作品目になる実相寺昭雄。
長編映画第1作『無常』(昭和45年1970)に引き続き、脚本は石堂淑朗が担当。

非常に観念的な話で、演出、構図共々現実感をわざと喪失させているように見える。
広角レンズの多用が、異世界に紛れ込んだような効果を上げていた。
また、前半の舞台となるモーテルは、
斜めの鋭角なラインを多用した、独特なセットを作り上げている。
京都や敦賀の町の古い景色や、自然の中のユートピアと、対照的なイメージを引き出していた。

後半、裕(田村亮)が、ユートピアの本性を知ってからは、
真木(岸田森)達の登場しているシーンは全て白黒になってしまう。
集団の空虚さを、映像技術で描こうとした野心的な演出だった。

ちなみに、映画にスチルとして参加している沢渡朔が、
この映画をテーマに、新撮写真と映画のスチルで構成した
写真集「豪華写真シリーズ・1 曼陀羅」(KKベストセラーズ刊)を製作している。
ただし、岸田森に関しては、映画のスチル、宣伝写真のみで、
本のために新撮はされてはいないようだ。


【岸田森の役】

真木

単純再生産を目指す、ユートピア集団のカリスマ的指導者。
妻を、神相手に売春をする娼婦と思い込み、
シャーマンに祭り上げて、集団の基礎を作り上げた。
妻と交わらない替わりに、部下の茂雄(草野大悟)と男色の気がある。
だが、結局ユートピアの原理が、単に真木のカリスマ性によるものと、裕(田村亮)に見破られてしまう。
そして、妻が自殺してしまった後、新天地を求め船出をするが、難破して溺死する。
流れ着いた海岸では、まるで能面のような表情をして死んでいた。
これは、岸田森自身のアイデアである。
撮影前日に、数時間表情を練習、当日の朝監督に提案して採用されたという事だ。


関連作品

実相寺昭雄
近鉄金曜劇場 芸術祭参加作品 「正塚の婆さん」  (昭和38年1963
怪奇大作戦 全26話  (昭和43年1968
第28話「ウルトラ特攻大作戦」 (昭和46年1971
  (昭和47年1972
シルバー仮面ジャイアント(昭和47年1972
あさき夢みし  (昭和49年1974
歌麿 夢と知りせば   (昭和52年1977
CM演出「S&Bスナックチップ」 (昭和52年1977
CM企画「S&B」スナックトースト野球篇」 (昭和53年1978
CM企画S&Bスナックトースト 外野フライ篇 (昭和54年1979







昭和46年12月12日(日)公開


帰ってきたウルトラマン

竜巻怪獣の恐怖


円谷プロダクション=東京放送製作東宝配給
上映時間38分カラー作品 スタンダード
監 督富田義治脚 本上原正三


【出演】

団次郎(郷秀樹)塚本信夫(加藤隊長)池田駿介(南隊員)西田健(岸田隊員)三井恒(上野隊員)
桂木美加(丘隊員)榊原るみ(坂田アキ)川口英樹(坂田次郎)岸田森(坂田健)小林昭二
長谷川弘内田武樹西山恵子向井淳一郎西本裕之
川野耕司幸田宗丸新村礼子藤田進菊池英一(ウルトラマン)
名古屋章(ナレーター)     


【物語】

フィリピン沖で遭難した漁船の船長が、奇跡的に救出される。
船長は、伝説の怪獣シーモンスを見たと呟くだけで、他には何も喋らなかった。
その伝説は的中、シーモンスが東京に上陸してしまう。
しかも、MATの攻撃に傷ついた怪獣を助けるために、牝怪獣シーゴラスまでやって来る。
二大怪獣は、大津波を起こすが、辛くもウルトラバリアーで弾き返された。
だが、エネルギーを使い果たしてしまったウルトラマンには、怪獣を倒すことが出来ない。
怪獣は、東京に産卵のためにやって来たのだ。
それに気づいたMATは、様子を見る事にする。
しかし、事情を知らない自衛隊は、勝手に攻撃、怪獣を興奮させてしまう。



【解説】

『帰ってきたウルトラマン』劇場公開作品第2弾。
今回もテレビシリーズ第13話
「津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!」と、
第14話「二大怪獣の恐怖 東京大龍巻」の二本を再編集したもの。
親子連れをターゲットにした東宝チャンピオン祭り第7弾で上映されたもので、
ほかには『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦(短縮版リバイバル)』、
『みなしごハッチ』『いなかっぺ大将』『マッチ売りの少女』などが併映された。


【岸田森の役】

坂田健

主人公、郷(団次郎)が兄と慕う、自動車修理工場の経営者。
郷とともに、レーサーの夢を追う。
このエピソードには、坂田はワンシーンにしか出演していないが、
郷に怪獣が産卵のために上陸したと気づかせる重要な役を担っていた。


関連作品

円谷プロ作品

怪奇大作戦 全26話 (昭和43年1968
帰ってきたウルトラマン 1話〜37話(昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン(映画) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」(脚本) (昭和46年1971
帰ってきたウルトラマン 次郎くん怪獣にのる (昭和47年1972
ウルトラマンA 全52話 (昭和47年1972
ファイヤーマン 全30話 (昭和48年1973
ファイヤーマン 第12話「地球はロボットの墓場」(脚本) (昭和48年1973
「怪獣供養祭」司会 (昭和48年1973
恐竜戦隊コセイドン 第29話「コセイドン緊急出動 果しなき戦い」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場「白い手美しい手 呪いの手」(昭和54年1979
土曜ワイド劇場 「怨霊!あざ笑う人形 危険な未亡人」(昭和55年1980
土曜ワイド劇場「怪奇!金色の眼の少女」 (昭和55年1980
火曜サスペンス劇場「乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件」 (昭和57年1982
火曜サスペンス劇場 「可愛い悪魔」(昭和57年1982
ウルトラマンA「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(平成元年1989

「リメンバー!!怪奇大作戦 岸田森・昼下がりのインタビュー!!」(昭和54年1979
空想特撮の名バイプレイヤー 岸田森インタビュー(昭和54年1979





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