【映画】


昭和53年4月1日(土)公開


犬笛


三船プロダクション製作東宝配給
上映時間139分カラー作品
監 督中島貞夫原 作西村寿行脚 本菊島隆三金子武郎


【出演】

菅原文太(秋津四郎)北大路欣也(小西友永刑事)原田芳雄(三枝寛二)竹下景子(法眼規子)酒井和歌子(秋津順子)
坂上二郎(タクシー運転手・沢野)伴淳三郎(清里老人)伴淳三郎(清里老人)三船敏郎(村田武雄船長)勝野洋(幹雄)
竜雷太(橋川刑事)村野武範(小野医師)川地民夫(佐伯航海長)浜田光夫(私服警官・宮原)若林豪(佐藤刑事)
神山繁(海上保安庁前川次長)高橋昌也(海上保安庁笈川次長)加藤武(浜田教官)小池朝雄(上月警部)鈴木瑞穂(小原管理官)
岸田森(池田正男)稲葉義男加藤和夫原田清人三谷昇
織本順吉(松本署長)田中明夫(大田原)渥美国泰(海上保安庁渡辺次長)北村和夫(石井設計課長)大滝秀治(宇佐美外事課長)
夏桂子(矢野洋子)津山登志子松下実加(秋津良子)北乃魔子かたせ梨乃(婦人警官・相良)
織田あきら(野坂通信員)久富惟晴伊豆肇小林稔侍市川好朗
石山雄大関戸純奈辺悟森大河津野途夫
門脇三郎久本昇田辺洋篠原三郎幸英二
野坂信一明石勤片桐竜次野口貴史片岡五郎
山本紀彦田中浩神田隆岸田今日子(ナレーション) 


【物語】

海運会社に勤める秋津四郎(菅原文太)の娘が、何者かに誘拐されてしまう。
その誘拐の背景には、なにか陰謀があるらしい。
あまりの心痛に、妻は発狂してしまい、四郎は、職を投げうって犯人を捜す。
手掛かりは、誘拐されたときに娘が持っていたゴールド・ホイッスルただ一つ。
四郎は、ホイッスルを聞く事が出来るアイヌ犬・鉄を連れて、果てしない追跡を始めた。
犯人達の卑劣な罠にも負けず、秋津は執念で娘に迫ってゆく。
そんな彼を見て、始めは功名心だけだった小西刑事(北大路欣也)や、
敵の手先となって働いていた精神科医、規子(竹下景子)も感銘を受け、
いつしか協力するようになっていた。


【解説】

西村寿行原作の同名小説の映画化。
愛犬と遊ぶときのゴールド・ホイッスルを持ったまま誘拐された、
聴覚異常の娘を追う平凡なサラリーマンの執念の追跡を、日本列島縦断ロケーションで描く大作。
長らくテレビ作品の製作を続けていた三船プロダクションが、
創立十五周年作品として製作した映画で、実に同プロダクション7年ぶりの劇場用作品。
主演の菅原文太、監督の中島貞夫を東映から呼び寄せる、斬新な編成で製作に臨んだ。
タイトルの「犬笛」とは、ゴールド・ホイッスルの事を言い、吹くと犬にしか聞こえない超音波を出す。
この映画では、娘と父親をつなぐ、目に見えない絆を表わす重要な小道具として登場する。


【岸田森の役】

池田正男

オリエンタル貿易の社員。
ライバル会社から、会社の不利になる写真を買おうとするが、
その事が元で組織に殺されてしまう。
4カット程の短い登場。
怪しい登場だと思っていると、すぐに殺害されてしまう。
その殺しの濡れ衣が、主人公の秋津(菅原文太)に着せられる。
ただ、登場シーンを確認したのが113分という短いバージョンだったので、
もしかしたらオリジナル139分のバージョンでは、もっと登場シーンがあるのかもしれない。


関連作品

三船プロダクション

荒野の素浪人 第24話「襲撃地の果て白骨ヶ原」(昭和47年1972
荒野の用心棒 第28話「虐殺の丘に女の復讐が燃えて…」(昭和48年1973
荒野の素浪人(第2部)  全39話 (昭和49年1974
剣と風と子守唄 第14話「地獄に恋した野郎ども」 (昭和50年1975
剣と風と子守唄(最終回) 第27話「栄光への父娘旅」 (昭和50年1975
人魚亭異聞 無法街の素浪人 第3話「一発勝負殺しの切札」 (昭和51年1976
江戸の鷹 御用部屋犯科帖 第22話「暗黒街の子連れ狼」 (昭和53年1978
江戸の牙 第1話「炎上!赤馬を斬れ」 (昭和54年1979


中島貞夫

徳川三国志 第3話「悲運の貴公子忠長」(昭和50年1975
徳川三国志 第5話「南海のあばれ竜」(昭和50年1975
総長の首(昭和54年1979
制覇 (昭和57年1982







昭和53年4月29日(土)公開


愛の嵐の中で

東京映画=サン・ミュージック提携作品東宝配給
上映時間94分カラー作品 ビスタサイズ
監 督小谷承靖脚 本白坂依志夫安本莞二


【出演】

桜田淳子(黛夏子)篠田三郎(佐伯次郎)田中邦衛(深水)夏純子(黛雪子)地井武男(三村)
岸田森(岡野)泉ピン子(圭子)岸部シロー(戸川)浜田寅彦稲葉義男(刑事)
野村昭子武内亨佐藤美恵子小林尚臣小美野欣二
細井利雄加藤茂雄石矢博原あけみブリックス・テリーサ
伍代愁平日高達也花城隆武田倫一風間亘
野上美智子村松優子佐藤正文伊藤正博植草甚一(神津)
奥村正光大林宣彦(CFディレクター)中村敦夫(風間修)  


【物語】

パリでモダンバレエの勉強をしていた夏子(桜田淳子)の元へ、東京から連絡が届く。
スタイリストの仕事をしていた姉の雪子(夏純子)が、撮影現場近くの崖から転落したのだというのだ。
遺書が発見されたので自殺と断定されたが、警察の検死報告では、姉は妊娠三カ月だった。
夏子は何か不自然なものを感じる。
姉のマンションを訪ねた夏子は、黄色いポルシェを運転する男に襲われた。
あまりの偶然に、姉は殺されたのではないだろうかと、夏子は考えるようになった。
独自に調査を続けた夏子は、偶然雪子が死ぬ直前に仕事をしたグラビアを見つける。
そこには、あの黄色いポルシェが写っていた。
夏子は、黄色いポルシェの持ち主を探す。


【解説】

たった一人の姉を失った少女が、事件を追い求めていくうちに、
大人へと成長してゆく姿を描く、オリジナルミステリー。
桜田淳子が始めてミステリーに挑んだことが話題になった。
ヒットしている山口百恵主演映画に対抗して、
当時同じくらい人気のあった桜田淳子を主演に据えて製作された作品。
企画はアイドル映画だが、かなりシリアスで硬派な作りに仕上がっている。


【岸田森の役】

岡野

美容師。夏子(桜田淳子)が探していた黄色いポルシェの持ち主。
不気味な息遣いをしながら、美容室に連れ込んだ夏子に、カットをしながら変質者のような執拗さで迫る。
実は、姉の雪子(夏純子)を一方的に愛していたが、結局は相手にされなかった。
そして、雪子が自殺したと聞いて、部屋へと入り込み、想い出の品を奪おうとした。
その時、あわてて逃げようとした岡野を見た夏子(桜田淳子)が、
自分を襲って来たと思い込んで殺人犯だと間違える。
今で言うストーカー。
一つ一つの演技が実に細かく、荒い息遣いなど独創的な役作りで、いやらしく付きまとう男を見事に演じている。
岸田森の演技の工夫が見事な作品である。




関連作品

小谷承靖監督

はつ恋(昭和50年1975
ホワイト・ラブ WHITE LOVE(昭和54年1979







昭和53年10月7日(土)公開


ダイナマイトどんどん

大映映画製作東映配給
上映時間143分カラー作品 ビスタサイズ
監 督岡本喜八原 作火野葦平脚 本井出雅人古田求


【出演】

菅原文太(遠賀川の加助)北大路欣也(橘銀次)宮下順子(お仙)田中邦衛(芦刈の作蔵)小島秀哉(留吉)
中谷一郎(香取祐一)桜町弘子(芸者千代竜)伊佐山ひろ子(岡源の女房・きん子)石橋正次(吹原)ケーシー高峰(和田山の繁蔵)
志賀勝(南里)岸田森(花巻修)二瓶正也(犬飼)長谷川弘(小林部長)草野大悟(藤崎)
誠直也大木正司(猿渡)岡田実(実況放送)大前均(中谷巡査部長)露崎元彌
丹古母鬼馬二(鬼熊)福崎和宏(一六)吉中正一(辻)下馬二五七(百武)鳥巣哲生(牧瀬)
兼松隆(陣内)前田敬赤穂善計(合田)尼子狂児(津上)妹尾琢磨(血桜)
鴨てんし(相馬)伊吹新太郎(真崎)奈辺悟幸英二津野途夫
桐島好夫菊地太司裕介岡本麗(特飲街の女郎)小林真実(芸者君 春)
立枝歩(のり子)ジャック・デイビス(米軍司令官)森下京子福井友信川平京子
馬淵正子福田さゆり折口亜矢金子信雄(橋本伝次郎)藤岡琢也(岩崎警察署長)
嵐寛寿郎(岡谷源蔵)フランキー堺(五味徳右衛門)   


【物語】

昭和25年、北九州一帯では、ヤクザ組織の抗争がエスカレートして、まさに一触即発の状態だった。
この事態に、小倉警察署長・岩崎(藤岡琢也)は、
GHQの勧めもあり野球大会で民主的に解決することを決める。
新興ヤクザの橋伝組は、代貸・花巻(岸田森)が先頭に立ち、金に物を言わせて全国から野球の巧い渡世人を集めだした。
だが、橋伝組と対立する昔堅気のヤクザ岡源組は、
戦争で片足を失った元名ピッチャー五味(フランキー堺)が監督になっただけの寄せ集めチームでしかない。
岡源組の斬り込み隊長、加助(菅原文太)は、玉遊びなど出来ないと、一人野球に参加しなかったが、
負けそうなチームを見ているうちに、つい試合に飛び入り参加してしまう。
加助の策略と奇跡のホームランで劇的な逆転、岡源組は勝利に酔いしれた。
そこに、岩国から銀次(北大路欣也)という渡世人が、岡源組に助っ人にやってくる。
彼は、指を詰めていたために、誰にも真似が出来ない魔球を投げるのだ。
あこがれのお仙(宮下順子)が、銀次に惚れている事を知った加助は、彼女から手を引く。
だが、銀次は加助に敵意を抱いていた。


【解説】

戦後直ぐの昭和25年に、
北九州のヤクザの抗争を民主的に解決するために開催された、ヤクザ組織の野球大会を描いた作品。
原案は、火野葦平の「新遊侠伝」。ヤクザが大まじめに野球をするというポイントだけを生かし、後は自由に脚色している。
ちなみに、「新遊侠伝」は、昭和261951 年と昭和411966 年にも映画化されている。
一度倒産した大映映画が、再び活動を再開して製作。
配給網がすでに無くなっていたので、東映の配給網で公開された。
同じ時に東映の洋画系で配給された角川映画『野生の証明』をライバル視しての製作だったが、
内容の面白さとは裏腹に興行的には追い付かず、3週間の公開で終了する。
嵐寛寿郎が演じる、はっきり喋れない岡源組の組長や、
往年の名選手だが、傷痍軍人になってしまったフランキー堺演じる五味徳右衛門等、
魅力的なキャラクターが続出したが、それが興行面に繋がらなかったのは残念だった。


【岸田森の役】

花巻修

新興ヤクザ橋伝組の代貸。いつもピンクのスーツにサングラスという、派手な格好で決めている。
戦後の新しいヤクザを気取っているが、心情はいたって古い日本的なヤクザ。
野球大会で橋伝組を勝たせようと、一人先頭に立って奮闘する。
仁義を切って野球選手を集めたり、裏から手を回して他の組の選手を引き抜いたりと、策略を巡らす一方、
野球場の得点板の裏で野球賭博を開き、胴元になってひともうけしようとたくらんだ。
最後には、警察に賭博の現場を押さえられ、あえなく逮捕、沖縄で強制労働させられる。
岡本喜八監督作品で、久しぶりの大役を楽しそうに演じていた。




関連作品

岡本喜八

斬る  (昭和43年1968
赤毛  (昭和44年1969
座頭市と用心棒 (昭和45年1970
激動の昭和史 沖縄決戦 (昭和46年1971
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 (昭和47年1972
青葉繁れる (昭和49年1974
吶喊(とっかん) (昭和50年1975
金曜スペシャル「時効まで後26日!実録・三億円事件」 (昭和50年1975
姿三四郎  (昭和52年1977
ブルークリスマス  (昭和53年1978
英霊たちの応援歌  (昭和54年1979
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」  (昭和56年1981
近頃 なぜか チャールストン  (昭和56年1981







昭和53年11月23日(木)公開


ブルークリスマス

東宝映画製作東宝配給
上映時間134分カラー作品 スタンダード
監 督岡本喜八脚 本倉本聰


【出演】

勝野洋(沖退介)竹下景子(西田冴子)岡田英次(兵藤光彦)八千草薫(兵藤夫人)沖雅也(原田)
岡田裕介(木所)高橋悦史(沢木)新井春美(高松夕子)大谷直子(喫茶店・若い女性)田中邦衛(西田和夫)
中谷一郎(宇佐美幕僚長)大滝秀治(竹入論説委員)中条静夫(沼田報道部長)神山繁(院長)岸田森(代議士の側近)
稲葉義男(司令官)松本克平(鈴木理事)今福正雄永井智雄(城制作局長)潮哲也(岡村)
天本英世(代議士風の男)村松克巳大木正司杉田康草野大悟(男1)
HUGH GRAHAMTHEODORE KOBERJHON MAYERDIETER OELERCURTIS BOND
GREGG BUSHTAALAIN DAUMALLECHOUARD PIENICKALLEN LIEBEUGINIA D’AMBROSIO
BILL GOLDDBERNAY JEAN-MICHEL伊藤敏孝小鹿番堺左千夫
北浦昭義福崎和宏松田洋治(南の子供)三井恒武内亨
山本清小美野欣二遠藤剛小林尚臣小川真司(中本助手)
芦田伸介(相場修司)島田正吾(吉池理事)小沢栄太郎(五代俊介局長)仲代達矢(南一矢) 


【物語】

1978年、京都国際会議場において、
突然UFOの問題について演説した兵藤教授(岡田英次)は、ホテルで外国人にら致され、
家も火事で消失してしまう。
一方、日本国営放送JBCに勤める南(仲代達矢)は、友人の木所(岡田裕介)から、
恋人の血が青かったと打ち明けられる。
木所の恋人・夕子(新井春美)は、JBCの大型ドラマの主役として抜擢され、人気絶頂の女優だった。
だが、彼女は麻薬不法所持の濡れ衣を着せられ、役を下ろされてしまい、間もなく自殺してしまう。
行方不明になった兵藤博士を追い、南はニューヨークに飛ぶ。
手掛かりは一向に掴めなかったが、ある日、博士の方からコンタクトを取ってきた。
UFOを見て血液が青くなった人が世界中に多発、
その人達に、故意に敵愾心をあおるような動きがあると指摘する。
しかし、南の見ている前で博士は誘拐され、南も日本へ強制送還されてしまう。
日本へ帰った南を待っていたのは、取材の打ち切りとパリへの転勤だった。
彼は、夕子の青い血の話をしたのが、局長ただ一人だった事を思い出し、事件の奥深さにがく然とする。


【解説】

UFOを目撃した人間の血液が青くなるという事件が、世界的な抹殺計画へと発展してゆく様を、
多くの登場人物達の群衆劇として描くSF映画。
脚本は倉本聰が担当、一字一句変えないで撮影するという条件だったので、
岡本喜八監督はかなり苦労して映像化している。
シナリオにある、ニューヨークとパリのシーンを、どうしても現地で撮影する必要があったので、
9人の少数編成を組み、小型の16ミリカメラで撮影するという、
一千万円映画のようなタイトな撮影方法でこなしたりもしている。
当時『未知との遭遇』(77)等のヒットで巻き起こったSFブームに乗って作られた作品。
特撮を一切使用せずに、全てを描ききった手腕はさすがである。
ちなみに、本編のタイトルには「BLOOD TYPE:BLUE」という英題もついている。
同じ岡本喜八監督作品で、同年に公開された
『ダイナマイトどんどん』の公開から一カ月後に封切られたが、
制作はこちらの作品の方が早かった。


【岸田森の役】

代議士の側近

天本英世が扮する、代議士のような男の側近。
青い血を持つ人間の秘密を漏らさないようにするのが任務らしく、
東京順心堂病院に生まれた、青い血を持った赤ん坊の処分を院長(神山繁)に告げに来る。
「母子ともに今晩中に処置して下さい」と、当然のように言放つ演技が印象に残った。
ワンシーンのみの出演。




関連作品

岡本喜八

斬る  (昭和43年1968
赤毛  (昭和44年1969
座頭市と用心棒 (昭和45年1970
激動の昭和史 沖縄決戦 (昭和46年1971
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 (昭和47年1972
青葉繁れる (昭和49年1974
吶喊(とっかん) (昭和50年1975
金曜スペシャル「時効まで後26日!実録・三億円事件」 (昭和50年1975
姿三四郎  (昭和52年1977
ダイナマイトどんどん  (昭和53年1978
英霊たちの応援歌  (昭和54年1979
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」  (昭和56年1981
近頃 なぜか チャールストン  (昭和56年1981


































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