【映画】


昭和54年3月24日(土)公開


総長の首

東映京都製作東映配給
上映時間137分カラー作品 ワイド
監 督中島貞夫脚 本神波史男中島貞夫


【出演】

菅原文太(八代順二)清水健太郎(新堂卓)ジョニー大倉(金井鉄男)小倉一郎(海野蛸八)三浦洋一(長谷部稔)
夏純子(白崎銀子)森下愛子(春海ナナ子)松田暎子(浮世)池玲子(井関小夜子)マキノ佐代子(木内朝子)
橘麻紀(八代邦代)市川好郎(坂井茂男)片桐竜次(中西)笹木俊志(組員B)細川純一(森山)
松本泰郎(望月)奈辺悟(野村)レッツゴーじゅん(漫才師)司裕介(学生)津野途夫(清水)
幸英二(組員A)志茂山高也藤沢徹夫藤長照夫土屋勇(合力)
木谷邦臣(私服刑事)山部薫(佐々木)曲龍伍(吉川)高木吉治(高森)石塚祥聖(土屋)
上田孝則(八代明男)久米学(浮浪児)木下通博タンクロー星野美恵子(緒方好江)
富永佳代子(千鳥の女将)稲垣陽子(女中)北原奈々世良真弓石田久美
榊淳(ヤスコ)丸平峰子(浮世の母)畑中伶一(芸人1)大矢敬典(芸人2)西村泰治(組員C)
佐野浩二波多野博(編集部員)森源太郎(編集部員)宮城幸生(編集部員)野口貴史(矢野登志夫)
白川浩二郎(刑事)遠山金次郎(合力)勝野健三(組員D)河合絋司(佐藤勝助)伊藤克(奥中市太郎)
大木晤郎(下関の刑事)中村錦司(千鳥の亭主)西田良(私服刑事)蓑和田良太(中年男)秋山勝俊(刑事)
高並功(馬場)岩尾正隆(大屋刑事)汐路章(浮世の父)織本順吉(玉井修造)品川隆二(大塚信之)
遠藤太津朗(多田源三郎)樹木希林(お好み屋のおかみ)金子信雄(ルンペン)西村晃成田三樹夫(松井治郎)
岸田森(殺し屋)小池朝雄(八代一明)田中邦衛(丹波誠)舟木一夫(木村一生)梅宮辰夫(小池勝利)
安藤昇(花森庄造)鶴田浩二(有田栄吉)   


【物語】

昭和初期の浅草は、
当時、浅草では全国に縄張りを持つ関東侠友会と、地元の花森組が張り合っていたが、
花森組長(安藤昇)と、侠友会の幹部、有田(鶴田浩二)が兄弟盃を交わしていたために
どうにか均衡が保たれている。
だが、血桜団の若者が、縄張りを荒らした侠友会の組員を射殺してしまうという事件が起きてしまう。
侠友会はいきり立つが、有田はこちらにも非があったと何とか押し留めるのだった。
それにも関らず、数日後、血桜団の団長、八代(小池朝雄)は、
侠友会の幹部が放った刺客に殺されてしまう。
八代の葬式の日、満州に行っていた弟の順二(菅原文太)が帰ってくる。
彼は、花森組長と親子の盃を交わし、血桜団二代目となった。だが、状況は一変する。
八代の葬式に出席した有田が、侠友会から絶縁処分されたのだ。
均衡が破れた花森組と侠友会は、血を血で洗う抗争に突入していった。


【解説】

昭和10年代の浅草を舞台に、
ヤクザの抗争の渦の中を、死に物狂いに動き回る男達の群像を描く作品。
  東映ヤクザ映画路線の一本として製作されているが、
中島貞夫監督の創造する個性的な登場人物達が多数登場し、
それらがみんな、求めているものを手に入れられない歯がゆさを背負っているという、独特の作品に仕上がっている。
特に、劇中いきなり登場する西村晃が演じる、
時代を先取りしてしまったために観客達に全く受け入れられないパントマイム師が、それが如実に表現していた。
敵の総長を殺した血桜組の若者たちは、
敵討ちで得られる名誉とは逆に、どんどん追い詰められ、一人ひとりと殺されてゆく。
白塗りで不気味に踊る盆踊りの輪の中に、傷ついた菅原文太が飲み込まれてゆくラストシーンが、非常に印象的である。
大掛かりな浅草のオープンセットを組んで撮影された。


【岸田森の役】

殺し屋

侠友会の小池(梅宮辰夫)に雇われた殺し屋。
銭湯で八代(小池朝雄)をドスで刺殺、新堂(清水健太郎)を相手に素っ裸で大暴れする。
最後にはぼかしまで入っていた。
『犬笛』(昭和531978 年)」に引き続いての中島貞夫監督作品。ワンシーンのみの出演。




関連作品

中島貞夫

徳川三国志 第3話「悲運の貴公子忠長」(昭和50年1975
徳川三国志 第5話「南海のあばれ竜」(昭和50年1975
犬笛 (昭和53年1978
制覇 (昭和57年1982







昭和54年4月7日(土)公開


白昼の死角

東映(東京)製作東映配給
上映時間154分カラー作品 ワイド
監 督村川透原 作高木彬光脚 本神波史男


【出演】

夏木勲(鶴岡七郎)島田陽子(綾香)丘みつ子(藤井たか子)エドワード・J・オルモス(ゴンザレス)中尾彬(九鬼善司)
竜崎勝(木島良助)岸田森(隅田光一)夏樹陽子(血桜の定子)田口久美(ゴンザレスの女)沢たまき(クラブのママ)
鈴木ヒロミツ(梶鉄夫<川前工業>)志賀勝(刺客)佐藤蛾次郎(配下B)ガッツ石松(配下A)柴田恭兵(政)
草野大悟(色川貢)角川春樹(野崎寿美男<大和皮革>)西田敏行(西田<常陽精工社員>)高木彬光(高木彬)鬼頭史郎(大和皮革の顧問弁護士)
内田朝雄(金森光蔵)田崎潤(五十嵐<川前工業>)福田豊土(酒井部長<新陽汽船>)草薙幸二郎(今泉昌男)田口計(債権者代表)
福地泡介(モンタージュ係)中田博久(広田<高岡薬品>)阿藤海(立川)宮口二朗(三課の刑事)片桐竜次(刺客)
大前均(配下C)河合絃司(債権者A)相馬剛三(相模化工経理課長)ウンタウン・ブギウギバンド
<宇崎竜童、千野秀一、新井武、
和田静男、坂庭泰三>(バンド)
ロバート・マッカーター(ガルシヤ公使)
ドナルド・ノード(神父)ジャクリーヌ・マッカーター(ガルシヤ夫人)橋爪真知子(芸者A)遠藤薫(酔月の女中)和田瑞穂(江波みどり)
佐藤晟也(債権者C)土山登士幸(債権者B)山田光一(刑事E)亀山達也(子分A)高月忠(子分C)
清水照夫(刑事D)佐川二郎(刑事B)木村修(刑事A)きくち英一(金森のボディガードA)山浦栄(刑事C)
沢田浩二(子分B)伊藤慶子(酔月の女将)仲塚康介(常陽精工社員B)山本緑(債権者D)幸英二(子分E)
城春樹(子分D)泉福之助(六甲商事事務員)山西道広(金森のボディガードB)畑中猛重(刑事F)原田君事(常陽精工社員A)
清水圭一郎(配下D)広京子鈴木弘道(鶴岡の替え玉)岡麻美(芸者B)栗原敏(子分H)
八百原寿子(債権者E)大島博樹(配下F)結城なほ子(六甲商事女事務員)村添豊徳(配下E)白川絹子(高岡薬品の秘書)
<野性軍団>達純一(刺客)<野性軍団>城野勝巳(子分F)<野性軍団>鹿島研(子分G)<野性軍団>和田敏夫(子分I)<野性軍団>江藤康夫(子分J)
高橋利道(刺客)君塚正純(金森のボディガードC)亀渕昭信(常陽側の弁護士)川内通康(鶴岡側の弁護士)嵐寛寿郎(高島総長)
成田三樹夫(小岩恭三<高岡薬品>)藤巻潤(戸塚<相模化工>)内田良平(加藤精吉)佐藤慶(上松利勝<大和皮革>)室田日出男(熊谷経済主任)
藤岡琢也(ニセ木下雄次郎)長門勇(稲垣専務<新陽汽船>)伊吹吾郎(西郷警部)天知茂(福永検事)千葉真一(太田洋助)
丹波哲郎(木下雄次郎<常陽精工>)     


【物語】

昭和23年、金融会社社長の隅田(岸田森)が焼身自殺を遂げる。
その炎を見ていた鶴岡(夏木勲)は、犯罪者として生まれ変わる決意を胸に秘め、
手形金融「六甲商事」を開く。
そして、法の死角と盲点を突いた完全経済犯罪を目論むのだった。
手始めに鶴岡は、一億円の融資を求めている新陽汽船に目をつける。
そして、ニセの社長を仕立て上げ、ヤクザ太田(千葉真一)の配下を使い、
綿密な脚本と演出で見事に手形詐欺を働しいた。
鶴岡は警察に出頭を求められる。
しかし、手形詐欺の犯人はニセの会社社長で、鶴岡は善意の第三者でしかなかった。
その後も大型詐欺事件になると、どこかしらに顔を出す鶴岡を見て、
事件を担当した福永検事(天知茂)は、ただならぬ犯罪の匂いを感じる。


【解説】

戦後の歴史と経済を背景に、法律の死角と盲点を突きながら詐欺を続ける、
東大出身者集団が行う完全犯罪を描くピカレスク・ロマン。
戦後、実際に起きた、東大生たちによる学生金融会社「光クラブ」事件に題材を採った、
高木彬光原作作品の映画化。
戦後すぐの、価値観が大きく変貌した世の中で、
その変ったばかりの法律によって破滅させられた友人、隅田(岸田森)の自殺がきっかけとなり、
価値観の脆さを思い知った鶴岡八郎(夏木勲)は法に挑戦するようになる。
騙される人物達は、殆どみんな戦前から経済界を乗り越えてきた年上の人物で、
主人公達との世代間の確執も隠れたテーマとなっている。
特に、佐藤慶が演じる初老の上松が、
夏木勲が演じる鶴岡に騙されるまでの長い対決は、この映画の一つのクライマックスだ。
カメオ的に登場するゲストが多彩で、原作者の高木彬光も初老のヤクザ役で出演している。
また、映画製作当時、ロッキード事件に関係していることで有名だった鬼頭判事補が、
顧問弁護士役で特別出演していることも話題になった。


【岸田森の役】

隅田光一

金融会社「太陽クラブ」の社長。
学生のまま金融会社を設立し、東大というネームバリューを利用して、
当時の世相に乗り会社は急成長する。
東大法学部きっての秀才だったが、
闇金融容疑で検挙されたことから崩壊の道をたどり、資金繰りに困った揚げ句焼身自殺する。
実際に起きた「光クラブ」事件の主犯、山崎晃嗣をモデルにした登場人物で、
原作ではカミソリのような頭脳を持った男として描かれ、主人公、鶴岡(夏木勲)と対比されて描かれていた。
映画では冒頭でいきなり焼身自殺するシーンから描かれる。
レコードから流れるシャンソンに合わせて、踊りながら自殺するという難しいシーンだったが、
岸田森は、スタントマンを使わずに、火に包まれるシーンを文字通り熱演した。
その他にも、冒頭の回想シーンに学生服姿で数カット出演。
また、ラスト近く、主人公が見る幻覚の中に、白塗りになり、野球のユニホーム姿でワンカット登場する。




関連作品

雑誌記事 Color Scope 「これぞ必殺の"熱炎" 焼身自殺に挑戦した岸田森」(昭和54年1979






昭和54年4月28日(土)公開


乱れからくり

東宝映画製作東宝配給
上映時間92分カラー作品 ビスタビジョンサイズ
監 督児玉進原 作泡坂妻夫脚 本永原秀一


【出演】

松田優作(勝敏夫)篠ひろ子(馬割真棹)沖雅也(馬割朋浩)峰岸徹(馬割宗児)結城しのぶ(馬割香尾里)
岸田森(馬割鉄馬)北見治一(宝田老人)山西道広(京堂刑事)津路清子神山勝
丸山秀典和田瑞穂西村和夫東條きよし前田哲郎
結城なほ子松下容子藤田康之田中邦衛(奈良木警部)野際陽子(宇内舞子)


【物語】

玩具メーカーの製作部長・馬割朋浩(沖雅也)が交通事故死する。
会社乗っ取り工作を調査するために、偶然後をつけていた興信所の社員、勝敏夫(松田優作)は、
炎上する車から同乗していた真棹(篠ひろ子)を助け出した。
馬割家は、江戸時代以来人形作り一筋に歩んできた家柄で、
現在は脳溢血で倒れて健康を害した三代目の鉄馬(岸田森)に替わり、
息子の宗児(峰岸徹)が営業部長を、甥っ子の朋浩(沖雅也)が製作部長を担当して、会社を切り盛りしている。
しかし、朋浩の妻、真棹と宗児は肉体関係にあり、朋浩と宗児の仲は険悪だった。
そのことがきっかけとなったように、次々と一族の者たちが殺害される。
屋敷は「ねじ屋敷」と呼ばれるほど、迷路の入り組んだ邸宅で、外部の者は自由に歩けない。
勝は、次々と起こる殺人の犯人を探すために、謎に包まれた馬割家の過去に挑むこととなる。


【解説】

玩具メーカー「鶴寿堂」を経営する馬割家で起る連続殺人の謎に挑む、
興信所の社員、勝敏夫(松田優作)の活躍を描くミステリー作品。
原作は、昭和53年度日本推理作家協会賞を受賞した、泡坂妻夫の同名小説。
この当時ヒットしていた、市川崑監督の横溝正史原作作品を多分に意識した作風で、
馬割家の描写が、原作以上に暗く陰惨な旧家の雰囲気になっている。
脚本は
『狙撃』(昭和431968 年)などの永原秀一が担当。
松田優作が演じる主人公を、原作よりもふてぶてしく、ハードボイルドタッチで描いている。

【岸田森の役】

馬割鉄馬

玩具メーカー「鶴寿堂」の社長。
脳溢血で倒れてからは車椅子の生活をしており、会社の実権は譲ったが、それでも会社には支配力は持っている。
最後は、毒薬を飲まされて、殺されてしまう。
岸田森にとってはかなりの老け役、
横溝正史作品のような旧家の雰囲気を出すために、陰に籠ったような喋り方で陰うつに演じていた。
ちなみに、同じ原作が円谷プロダクションによって、昭和571982 年にテレビ化された時に、
岸田森は同じ役を再び演じている。




関連作品

火曜サスペンス劇場「乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件」(昭和57年1982


松田優作

海賊(二幕)(昭和45年1970
ひとごろし(昭和51年1976
森村誠一シリーズ「腐蝕の構造」(蝕の「食」は、旧字体) 全7回  (昭和52年1977
蘇える金狼 (昭和54年1979
インタビュー 「SHORT INTERVIEW 岸田森」  (昭和54年1979
探偵物語 第13話「或る夜の出来事」  (昭和54年1979


永原秀一

狙撃(昭和43年1968
弾痕(昭和44年1969
傷だらけの天使 第2話「悪女にトラック一杯の幸せを」(昭和49年1974
蘇える金狼(昭和54年1979







昭和54年7月14日(土)公開


金田一耕助の冒険

角川春樹事務所作品東映配給
上映時間113分カラー作品 ビスタビジョンサイズ
監 督大林宣彦原 作横溝正史脚 本斎藤耕一中野顕彰


【出演】

古谷一行(金田一耕助)田中邦衛(等々力警部)仲谷昇(古垣和哉)山本麟一(森友吉)吉田日出子(明智文江)
樹木希林(たね)熊谷美由紀(マリア)江木俊夫(パンチ)原田潤(歌手)宇佐美恵子(英子)
小島三児(床屋の店主)小野ヤスシ(店員)草野大悟(高木)大泉滉(老人A)佐藤蛾次郎(蛸島裕太郎)
梅津栄(記者A)伊豆肇(今泉)南州太郎(根本)重松収(矢野)車だん吉(警官)
坂上二郎(石田五右衛門)赤座美代子(藤井たか子)小川亜沙美(綾香)三輪里香(子供たちのリーダー)千うらら(団地の夫婦・妻)
山中光(デリッチュ)武知杜代子(音楽教室の秘書)だるま二郎(記者B)川口裕子(修道尼)新山真弓(アナウンサー)
高林陽一(釣人)明日香和泉(里子)田山力哉(画家)宮子昌代(スウィート)宮崎尚志(世田)
石井めぐみ(時代劇映画の娘)大久保賢一(スタジオスタッフ)阿部健太(サンデー)中岡京平(スタジオスタッフ)木下隆康(ポスト)
宇田川幸祥(スタジオスタッフ)大塚治美(ピア)磯野好司(記者D)金子盛勇(記者C)高橋良平(記者E)
南たかし(アデランス)大林千茱萸(下駄屋の娘)広瀬正一中村明(スタジオスタッフ)前川鴻(「スーパーマン」と叫ぶ通行人)
池田伝一(サラ金大王の配下A)大内勇吉(サラ金大王の配下B)姫田真左久(スタジオスタッフ)吉中六(バッファロー軍団)兼松隆(バッファロー軍団)
檀喧太(バッファロー軍団)龍駿介(バッファロー軍団)東千代之介(明智小十郎)志穂美悦子(アパートの隣人)斉藤とも子(金田一を慕う少女)
横溝正史(横溝先生)高木彬光(床屋の客)角川春樹(団地の夫婦・夫)峰岸徹(瞳の中の訪問者)岸田森(街のドラキュラ)
檀ふみ(列車の乗客)岡田茉莉子(八杉恭子)夏木勲(隅田光一)三橋達也(映画の中の等々力警部)三船敏郎(映画の中の金田一)


【物語】

すっかり有名になった金田一耕助(古谷一行)は、
最近等々力警部(田中邦衛)とコマーシャルに出演したりしている。
その頃、町では「ポパイ」という美術品窃盗集団が暴れまくっていた。
リーダーのマリア(熊谷美由紀)は、金田一の元に石膏像「不二子の像」を持ち込んでくる。
この像は、金田一が十年前に手掛けて、未解決のままだった「瞳の中の女」事件の鍵を握るものだったのだ。
さっそく事件に飛び込んでゆく金田一だったが、首は何者かに盗まれてしまう。
首の行方を追い、古美術商の明智小十郎(東千代之介)を訪ねた金田一は、
明智の妻、文江(吉田日出子)と出会った。
彼女こそ、「不二子の像」のモデルだったのだ。
さらに捜査を続ける金田一の行く先々で、いつもの通りに殺人事件がどんどん起きてゆく。


【解説】

名探偵金田一耕助が活躍する、横溝正史原作の大ヒットシリーズから、
唯一未解決のまま終わっていた短編「瞳の中の女」を大胆に脚色して映画化。
当時立て続けにヒットを飛ばしていた金田一耕助映画の番外編的な作品。
テレビシリーズで金田一耕助を演じていた古谷一行を主役に迎えている。
大作映画を立て続けに製作してきた角川春樹事務所が、
今度は大林宣彦監督を招き、低予算で好きなように製作させた作品。
劇場用作品がこの作品で第5作目になる大林宣彦が、
原作とは似ても似つかないパロディー満載の怪作に仕上げた。
当時の大ヒットコマーシャル「アデランス」「マキシム(コーヒー)」「資生堂キス・ミー」など、
今の時代に見ると元のネタが非常に判りづらい作品をパロディーにして、堂々と作中に取り入れている。
また、登場キャラクターの殆ど全てがセルフパロディーを楽しんでおり、
自分が登場すると何故かいつも人が殺されると悩む金田一や、
巨額の印税をわざわざ横溝先生に届けに行く角川春樹本人が秀逸だった。


【岸田森の役】

街のドラキュラ

検問で止められたリムジンの中で、花嫁の血を吸っている。2カットの登場。
この映画に登場する他のキャラクターと同じく、セルフパロディーを堂々と演じていた。




関連作品


大林宣彦

喰べた人 (昭和38年1963
火曜サスペンス劇場「可愛い悪魔」  (昭和57年1982



ドラキュラ関連

呪いの館 血を吸う眼  (昭和46年1971
血を吸う薔薇  (昭和49年1974
新聞記事 和製ドラキュラ 今度は「血を吸う薔薇」植物性′ゥ込まれたかな 岸田森  (昭和49年1974
日曜☆特バン 第4回「戦慄!!ドラキュラは今でも生きている!!」 (昭和51年1976
SPECIAL INTERVIEW 「フルコース ミスターどらきゅら 岸田森VSドラキュラ ドラキュラのルーツをたずねて」  (昭和54年1979
もんもんドラエティ 全30回(昭和56年1981
インタビュー「日本一の吸血鬼役者、岸田森!」  (昭和56年1981
木曜洋画劇場「ドラキュラ都へ行く」  (昭和56年1981
インタビュー「日本一の吸血鬼役者、岸田森!」 (昭和56年1981






昭和54年8月4日(土)公開


ホワイト・ラブ WHITE LOVE

ホリ企画制作製作東宝配給
上映時間110分カラー作品 ビスタビジョンサイズ
監 督小谷承靖原 案中川美知子脚 本藤田敏八小林竜雄


【出演】

山口百恵(上村忍)三浦友和(山野辺健)范文雀(野川多恵子)岩崎加根子(上村律子)赤座美代子(柿沼女史)
永島暎子(竹内典子)岸田森(スチール・カメラマン)藤木悠(古美術商の主人)林ゆたか(竹内信夫)泉じゅん
岡田舞千うらら星野晶子香野なつみ藤丸由華(竹内真由美)
長沢大小林まさひろラ・ポーチャーベルニース・ド・ヤング(エレナ)ローズ・マリー
エリーサ・ワトキンス(スペイン人の女老教師)ハシントン・ウエルタス宮井えりな(赫い髪のローラ)薩谷和夫池田貴雄
大林宣彦(CMディレクター)岩城滉一(ミッキー・安田)高橋昌也(支社長)北村和夫(山下洋一郎)田中邦衛(バーテンの梶山)
小林桂樹(上村圭介)    


【物語】

スペイン語教室に通う上村忍(山口百恵)は、臨時講師・山野辺(三浦友和)と親しくなる。
山野辺は、スペイン駐在経験のある元商社マンだったが、何故商社を辞めたのかは語ろうとしない。
また、スタイリストの忍も、スペイン語を学習するわけを語ろうとはしなかった。
そんなある日、忍の父がスペインで病に倒れたと連絡が届いた。
父親は、家族を捨てて愛人とともに蒸発、その後死んでいると忍は聞かされていたのだ。
スペインに飛んだ忍は、マドリッドで山野辺の部屋にあった写真の女と偶然出会う。
彼女は、山野辺と何かがあったらしいが、何も語らなかった。
翌日、忍はセコビアの小さな村で、病床の父親(小林桂樹)と会った。
力なく涙を流す父親を見て、忍は父親を許す気持ちになった。
そこに、忍を追いかけて東京から山野辺もやってくる。
写真の女をマドリッドで見たと聞いた山野辺は、忍を連れて急いでマドリッドに引き返した。


【解説】

当時、東宝映画の大ヒットシリーズだった、山口百恵と三浦友和コンビ映画。
「百恵・友和共演10作記念作品」と銘打たれて公開された。
この作品は、ストーリーを一般に公募したことが話題となり、約1万通も集まる。
その中から、中川美知子のシノプスが選ばれ、映画化された。
この作品で主演作品が12本目になる山口百恵は、存在感たっぷりに等身大の女性を演じた。
また、いつもは山口百恵の引き立て役になることが多かった三浦友和が、主役と同等の立場に並び、
むしろ山口百恵よりもキャラクターが深く描き込まれているのが特徴だ。
この当時、実生活でも二人は恋人と噂されていて、息の合ったラブシーン等が話題になっていた。
その後二人は本当に結婚、山口百恵は惜しまれつつも芸能界を引退する。


【岸田森の役】

スチール・カメラマン

仕事先のスタジオで、スタイリストをしている忍(山口百恵)に難癖をつけ、
彼女が用意した撮影用の壷がイメージしたものではなかったので、いきなりたたき割ってしまう。
最後には腹いせにジャック・ダニエルをラッパ飲みしていた。
かなりわがままに現場で振舞い、撮影中でもウイスキーを欠かさない、完全なアル中のカメラマン。
1シーンのみの出演。




関連作品


小谷承靖監督

はつ恋(昭和50年1975
愛の嵐の中で(昭和53年1978








昭和54年8月18日(土)公開


スーパーGUNレディ ワニ分署

にっかつ製作にっかつ配給
上映時間96分カラー作品 ワイド
監 督曽根中生原 作篠原とおる子脚 本荒井晴彦高田純曽根中生


【出演】

横山エミー(火野三夏)ジャンボかおる(加倉リン)岸田森(緒方哲夫)山谷初男(高品賢司)深水龍作(加藤孝)
今井健二(雨宮将人)益富信孝(清水)安岡力也(中本)古尾谷雅人(加藤信)風間健(下川)
河村弘二(武部宗一郎)入江正徳(田島文造)坂田金太郎(隊長)檀喧太(中山)高瀬将嗣(沢英二)
遠藤征慈(取調官)深見博(杉岡)川島めぐ(ディスコの女)織田俊彦(岡林)中平哲仟
森みどり玉井謙介八代康二大平忠行影山英俊
熊沢一美佐藤了一小見山玉樹庄司三郎緑川セツ
飯田紅子あららぎ裕子世良真弓佐藤弥生宮崎チカ子
千羽晶子秋田真貴内田裕也(戸田忠雄)佐藤慶(小野寺吾郎) 


【物語】

警視庁資料調査分室、通称ワニ分署に所属するスーパーレディー火野三夏(横山エミー)は、
航空機疑惑で騒がれている大和商事の田島常務(入江正徳)をマークしていた。
だが、三夏が油断した隙に、田島はビルから突き落とされて殺されてしまう。
任務に失敗した三夏は、
加倉リン(ジャンボかおる)という相棒とコンビを組むことになり、事件の真相を究明することになった。
まず、田島のホモ相手を問い詰めるが、二人の目の前で事故に見せかけて殺されてしまう。
田島を殺した男達を追いかけた二人は、軍事評論家の小野寺(佐藤慶)に行き当たる。
だが、尾行中に二人の乗った車は、オートバイの集団に襲われ、身動きが取れなくなってしまった。
リンを逃がすために、三夏は集団に囮となり捕まる。
監禁された三夏は、麻薬を打たれ、何人もの男達に次々と犯された。
一方、リンは、三夏の行方を必死に探すが、手掛かりは全く無かった…。


【解説】

警視庁資料調査分室・内線82番、通称ワニ分署の所属するスーパーレディー
火野三夏(横山エミー)の活躍を描く、篠原とおる原作の劇画の映画化。
公開当時「週刊プレイボーイ」に連載中だった。
ワニ分署は、主として公務員の犯罪摘発及び防止にあたる。そのためには、暴力行為も是認されている。
主役を演じる横山エミーは、深夜番組『11PM』などで人気があったモデル。
また、リンを演じたジャンボかおるは、初代女子キック・ボクシングのチャンピオン。
二人とも、芝居はこの映画が初めてだった。
ロマンポルノを主に製作していたにっかつ映画にしては珍しいアクション作品。
ポルノシーンはやはり普通の作品より多い。
特に、銀行ろう城事件のエピソードは、わざわざ女子行員全員の服を脱がしていたりと、
ロマンポルノ路線を意識した作りになっている。
ちなみに、このろう城事件は、当時実際に起きた、大阪、梅田の事件をモチーフにしている。
また、三夏たちが追う航空機疑惑は、これも当時騒がれていたロッキード疑惑をイメージしたものだ。
平成71995 年に、同じ原作を井上晴美主演で『82分署』として映像化されている。


【岸田森の役】

緒方哲夫

警視庁資料調査分室のチーフ。
いつも問題を起こす三夏らをかばいながら、厳しく指導する。
秘密調査セクションのチーフらしく、ダーティーなイメージを強調した、厳しい雰囲気の芝居をしていた。








昭和54年8月25日(土)公開


蘇える金狼

角川春樹事務所製作東映配給
上映時間131分カラー作品 ビスタビジョンサイズ
監 督村川透原 作大藪春彦脚 本永原秀一


【出演】

松田優作(朝倉哲也)風吹ジュン(永井京子)成田三樹夫(小泉)小池朝雄(金子)草薙幸二郎(竹島)
岸田森(石井)佐藤慶(清水)結城しのぶ(牧雪子)真行寺君枝(清水絵理子)岩城滉一(湯沢)
加藤大樹(富田)加藤健一(石田)江角英明(冬木)阿藤海(野坂)椎谷建治(栗原)
吉岡ひとみ(西川朱実)村松克己(植木)高橋明(田宮)トビー門口(福田)河合紘治(秀原)
山西道広(吉村)尾上一久関川慎二飯田広幾司千四郎
団巌(原)榎木兵衛(警官)<野性軍団>達純一(磯川の配下)<野性軍団>鹿島研(磯川の配下)<野性軍団>城野勝巳(磯川の配下)
<野性軍団>長井勝(磯川の配下)<野性軍団>和田敏夫(磯川の配下)<野性軍団>君塚正純(磯川の配下)<野性軍団>高橋利道(磯川の配下)井上高志
大竹義夫萩原紀二家本辰己芦沢洋三エミリー岡田
中島ゆたか(スチュワーデス)角川春樹(沢野)田畑靖男(磯川のボディガード)猪狩元秀(磯川のボディガード)南原宏治(磯川)
待田京介(国友)久米明(兵庫)今井健二(坂本)安部徹(鈴木光明)千葉真一(桜井光彦)


【物語】

平凡なサラリーマン朝倉(松田優作)は、
いつの日か会社を乗っ取ろうという野望に燃え、日夜身体を鍛えていた。
ある日、朝倉は現金輸送車を襲い、一億円強奪することに成功する。
金を麻薬に変え、それを使って会社の上司小泉(成田三樹夫)の愛人、京子(風吹ジュン)を手なずけた。
その頃、会社は桜井(千葉真一)という男に、公金横領をネタに強請をかけられていた。
それを知った朝倉は、桜井が会社からゆすり取った金を奪い取ってしまう。
会社に金を奪い取られたと思い込んで激怒した桜井は、要求額を大幅に釣り上げた。
これ以上問題が悪化することを恐れた会社は、秘密興信所の石井(岸田森)に桜井を暗殺させる。
だが、桜井に仲間を殺された石井は、今度は会社に強請をかけて来た。
朝倉はこのチャンスを生かし、自分の秘めた力を巧妙に売り込んだ。
そして、社長直々に石井暗殺を請け負うことに成功する。


【解説】

昼間は平凡なサラリーマンだが、
夜になるとボクシングで体を鍛え、巨大資本を乗っ取ろうという野望を燃やしている男の姿を描く、
大藪春彦原作の同名ハードボイルド小説の映画化。
原作では、主人公が安アパートに住み、いつも飢えているような感じの人物だったが、
この作品では、東映が今まで製作してきた松田優作主演の『遊技シリーズ』のような、モダンな感じに仕上がっている。
主人公の朝倉が、松田優作のキャラクターを生かしたスーパーマンのように描かれているのを筆頭に、
登場する会社の重役たちや、殺し屋の石井(岸田森)等、殆ど全てのキャラクターが、どことなくコミカライズされている。
出演者もクセのある役者達を集め、細部にまで気の利いた演出を見せた。
また、銃器や自動車などにも凝っており、
銃器のアドバイザーとして、映画
『狙撃』(昭和431968 年)で素晴らしい仕事を見せたトビー門口を起用、
映画撮影前に松田優作と共に、ハワイへわざわざ拳銃の練習をするために行き、
一日7時間、一週間毎日5,000発近くも撃ったという。
その成果は、朝倉が自分のアパートで、銃を分解清掃する長いシーンに活かされていた。

【岸田森の役】

石井

表向きは興信所員だが、裏では金次第で殺しも請け負う。
白づくめに黒い上着、盲目を装ってステッキを持ち、サングラスを常用するというコミカライズされた格好だが、
これは全て岸田森自身のアイデア。
ともかく出演しただけで場をさらうくらい異様な格好で、
誰が見ても殺し屋に見えてしまうから不思議だ。
訛りのある独特の言い回しで喋り、
「ギャラ、高いよぅ」「片輪になれば考えもかわるよぉ」「怨み、深いよぉ」等名セリフが続出する。
最初は、朝倉のいる東和油脂の重役に雇われ、会社を強請に来た桜井(千葉真一)殺害を請け負った。
しかし、今度は、この殺しの事をネタに会社を強請る。
そのために、会社に雇われた朝倉(松田優作)に撃たれて死ぬ。
撃たれて吹っ飛ぶときに、背後の障子を、撃たれた後に何度も体当たりして、わざわざぶち破ってから倒れるという荒技を見せた。



関連作品

松田優作

海賊(二幕)(昭和45年1970
ひとごろし(昭和51年1976
森村誠一シリーズ「腐蝕の構造」(蝕の「食」は、旧字体) 全7回  (昭和52年1977
乱れからくり (昭和54年1979
インタビュー 「SHORT INTERVIEW 岸田森」  (昭和54年1979
探偵物語 第13話「或る夜の出来事」  (昭和54年1979



永原秀一

狙撃(昭和43年1968
弾痕(昭和44年1969
傷だらけの天使 第2話「悪女にトラック一杯の幸せを」(昭和49年1974
乱れからくり(昭和54年1979








昭和54年 11月3日(土)公開


英霊たちの応援歌

東京12チャンネル製作東宝配給
上映時間124分カラー作品 スタンダード
監 督岡本喜八原 作神山圭介脚 本山田信夫岡本喜八


【出演】

永島敏行(秋山信吾)中村秀和(三上哲男)勝野洋(相田暢一)竹下景子(蓮見葉子)大谷直子(照代)
田中邦衛(笠間上飛曹)寺田農中谷一郎(須藤司令)小畠絹子(三上きよ)水野久美(秋山貴子)
仲谷昇(平井慶応野球部長)山本麟一(土浦航空隊司令)岸田森(寺本少佐)久米明今福正雄
稲葉義男殿山泰司(屋台の親爺)伊藤敏孝安永憲司二戸義則
時本武杉山直役所広司吉田多門杉崎昭彦
佐山泰三達純一関川慎二中川雅之下塚誠
日の下金太郎山本慶太伊豆肇草野大悟大木正司
浜田晃山本清片岡五郎森章二長谷川弘
三田村賢二小川真司下馬二五七岡部耕大赤穂善計
尼子狂児石山雄大妹尾琢磨河島裕司伊藤健一郎
鴨てんし北見治一安木大介海原俊介長谷川諭
佐藤えりか内田喜郎若林美智子福崎和宏福田さゆり
佐藤闘介伊藤千鶴子西村和夫武正忠明本田博太郎(本田耕一)
山田隆夫(正木蕃)小野寺昭(飛田忠英)八千草薫(坂本美佐子)東野英治郎(飛田穂州) 


【物語】

戦争が激しくなってきた昭和18年春、文部省は六大学野球連盟の解散を命じた。
この知らせに、早慶両校の野球部員達からは、もう一度早慶戦をやりたいという声が高まった。
そんな時、工学部の学生以外の徴兵猶予が撤廃されてしまう。
慶応大学では、いよいよ最後の早慶戦を望む声が沸き上がり、総長以下大乗気だった。
だが、軍部を恐れた早稲田大学側は、野球部OB飛田穂州(東野英治郎)の奮闘もむなしく、全く話が進まなかった。
しかし、試合のことは新聞に発表されてしまう。
こうなると、早稲田大学側は黙認せざるを得ず昭和18年10月16日、最後の早慶戦が開催された。
早大野球部のキャッチャーだった秋山(永島敏行)は、このニュースを読んで悔しがった。
彼は、三カ月前に第13期海兵予備学生に入隊して、この試合には出れなかったのだ。
戦況はますます悪化して行く中、野球部員達は次々と若い命を散らしてゆく。
秋山は、仲間達が乗る特攻隊機を護衛するという、辛い役目になってしまう。


【解説】

昭和18年10月16日、戸塚球場で行われた、最後の早慶戦に関った若者が、
その後出陣して命を落としてゆく様子を描く岡本喜八監督作品。
戦争の中での青春群像を次々と描いてきた監督が、暗く沈みがちな題材を、
所々にユーモアをちりばめつつテンポよくまとめ上げた。
前半は、最後の早慶戦を描き、その出場者たちが出陣した後の話が、後半で描かれるという構成を採っている。
登場する若者たちが、屈託の無い明るさで、陽気に青春を謳歌しながら次々と死んでゆくのが、鋭く胸に突き刺さる。
ラストで、飛田穂州(東野英治郎)が防空壕に隠しておいた300ダースの硬球の白さが、死んでいった若者たちの無邪気さを象徴していた。
実在の人物がたくさん登場するが、秋山(永島敏行)と、三上(中村秀和)の主人公コンビは架空のキャラクターだ。

東京12チャンネルが製作費を全額負担して作り上げ「東京12チャンネル開局15周年記念映画」として封切られた。
最初は3時間テレビスペシャルとして製作される予定だったこともあり、
映画公開後半年しない内にテレビで放映される。
当時、映画はテレビ局にとって視聴率を稼ぐドル箱。
ビデオが普及していなかったこの時代、映画は2年間たってからテレビ放映されるのが普通だった。
劇場公開後、たった半年での早すぎるテレビ放映は、当時物議をかもした。

また、本編には「最後の早慶戦」というタイトルは無い。
現在ポピュラーになっている「最後の早慶戦」というサブタイトルは、ポスターなどで全て採用されているので、
宣伝上、内容をわかり易くするためにつけられたものである。

【岸田森の役】

寺本少佐

秋山(永島敏行)が飛行訓練のために配属された台北基地の司令。
秋山が操縦を誤って背面飛行してしまったのを見て、早大野球部員は運動神経が良いと勝手に誤解、
たった3時間45分しか飛行経験が無い秋山に単独飛行を命じてしまう。
しかし、秋山はまだ着陸を教わっていなかったので、そのまま滑走路脇の豚小屋に墜落。
その時殺してしまった豚で豚カツを作って食べていた予備学生たちに、
秘蔵のナポレオンを差し入れるという優しさを見せる。
大真面目に芝居をしているが、コミカルな味付け担当。この時の2シーンのみ出演。



関連作品

岡本喜八

斬る  (昭和43年1968
赤毛  (昭和44年1969
座頭市と用心棒 (昭和45年1970
激動の昭和史 沖縄決戦 (昭和46年1971
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 (昭和47年1972
青葉繁れる (昭和49年1974
吶喊(とっかん) (昭和50年1975
金曜スペシャル「時効まで後26日!実録・三億円事件」 (昭和50年1975
姿三四郎  (昭和52年1977
ダイナマイトどんどん  (昭和53年1978
ブルークリスマス  (昭和53年1978
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」  (昭和56年1981
近頃 なぜか チャールストン  (昭和56年1981








昭和54年12月5日(土)公開


戦国自衛隊

角川春樹事務所製作東宝配給
上映時間139分カラー作品 ビスタビジョンサイズ
監 督斉藤光正原 作半村良脚 本鎌田敏夫


【出演】

千葉真一(伊庭義明)夏木勲(長尾景虎)渡瀬恒彦(矢野隼人)小野みゆき(みわ)中康次(三村泰介)
江藤潤(県信彦)速見亮(森下和道)にしきのあきら(菊地弘次)三浦洋一(野中学)かまやつひろし(根本茂吉)
倉石功(丸岡正男)高橋研(平井正芳)河原崎建三(加納康治)角野卓造(須賀利重)鈴木ヒロミツ(西沢剛)
竜雷太(木村治久)三上真一郎(島田吾一)辻萬長(小野章一郎)伊藤敏孝(高島春美)加納正(清水英雄)
清水昭博(大西里志)古今亭志ん駒(堀健児)佐藤仁哉(関おさむ)岡田奈々(新井和子)絵沢萌子(ゆい)
岸田森(直江文吾)小池朝雄(小泉越後守)田中浩(武田信玄)真田広之(武田勝頼)鈴木瑞穂(足利義昭)
成田三樹夫(本願寺光佐)仲谷昇(九条義隆)宇崎竜童(落武者)勝野洋(コーチ)薬師丸ひろ子(子供のような武士)
草刈正雄(正吉)佐藤蛾次郎(夜這いの男)   


【物語】

伊庭三尉(千葉真一)を隊長とする21人の自衛隊員たちは、大演習に参加するために移動中だった。
だが、とある河口で休息中に「時空連続体」の歪みによって、400年前の戦国時代にタイムスリップしてしまう。
最初は信じられなかった彼らだったが、
戦国武士たちに襲撃を受けて仲間が殺されるのを見ると、信じないわけには行かなくなった。
一行は成行き上、後に上杉謙信となる長尾景虎(夏木勲)に加担する事になり、近代兵器の威力で勝利をもたらす。
伊庭は、景虎と相通じる何かを感じた。
だが、自衛隊員の一人、矢野(渡瀬恒彦)は、仲間を誘って反乱を起こし、
近くの漁村を襲って手当たり次第に略奪をする。
伊庭は、激しい戦いの末、矢野達を射殺した。
近代兵器を味方につけた景虎は、
何もしないでそれを横取りしようとする主君、小泉越前守(小池朝雄)の卑怯さに我慢できず、
春日山城に単身乗り込み、主君を殺害した後天守閣からヘリコプターで脱出する。
その勢いで、景虎は京へ攻め上ろうとした。
伊庭は、途中川中島で待ち受ける武田信玄(田中浩)を自衛隊だけで引き受け、壮絶な死闘を展開する。


【解説】

400年前の戦国時代にタイム・スリップしてしまった、演習中の自衛隊一個小隊の活躍を描く、
半村良原作中編小説の映画化。
最初は青春SFグラフィティを目指して企画されたが、
戦いのシーンが大掛かりなために、スペクタクルシーン中心の映像作りとなった。
主役の千葉真一が、アクション監督も兼ねており、合戦のシーンは素晴らしい迫力を見せた。
特に、後半30分にも及ぶ川中島の合戦のシーンは、
数個所のロケ地を巧につなぎあわせて、エキストラを大量動員した大規模な撮影が行われている。
61式戦車や哨戒艇等を本物そっくりに作り上げ、戦国時代を舞台に大活躍させた事が話題となった。
最後には、景虎(夏木勲)が京に上り、武田信玄の首は伊庭(千葉真一)たちによって討ち取られてしまう。
歴史は変ってしまうが、自衛隊隊員たちの死で映画は終了、後のことは分からないようになっていた。

【岸田森の役】

直江文吾

春日山城から、景虎(夏木勲)に遣わされた使者。
近代兵器の活躍を知り、景虎から伊庭(千葉真一)達を召し上げようとする。
しかし、その卑怯なやり方に激怒した景虎に、一刀の元に斬り捨てられた。
ワンシーンのみの登場。


































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