【映画】


昭和56年6月6日(土)公開


漂流

東京映画製作東宝配給
上映時間151分カラー作品 ビスタサイズ
監 督森谷司郎原 作吉村昭脚 本廣沢榮森谷司郎


【出演】

北大路欣也(長平)坂上二郎(源右衛門)高橋長英(音吉)岸田森(儀三郎)鷹巣豊子(お絹)
草野大悟(惣助)樋浦勉(重次郎)桐原史雄(忠八)水島涼太(甚兵衛)酒井昭(由浩)
小川隆一(久七)宮坂正則(清蔵)松井範雄石原昭宏塩見三省
清水健祐平石健太郎畠中ユキヒロ阿部一夫荻野公子
高崎蓉子山本廉(得造)井上博一(年配の水主)青山鉄兵野口ふみえ(お栄)
三田佳子(長平の母)渡瀬恒彦(伊平次)   


【物語】

天明5年、冬の嵐に遭った土佐の永徳丸が難破、長平(北大路欣也)と三人の仲間が無人の火山島に漂着する。
大きな白い鳥しかいないこの島の生活は厳しく、3人は次々と死んでゆく。
一人、長平は、お遍路だった母の言葉を思い出しながら孤独に耐え、
鳥の羽を衣服に、卵の殻を水受けにして命を永らえ続けた。
九年が経ち、江戸から七人の男達が漂着してくる。
船頭頭の儀三郎(岸田森)には学があり、島の生活は大分改善された。
だが、ちょっとした言い争いから、伊平次(渡瀬恒彦)は仲間を刺し殺してしまう。
この事件で、仲間達は意気消沈する。
そんな様子をみて、長平は一致団結して船を造ることを提案した。
奮い立った一行は、流木を集めて、建造を始める。



【解説】

嵐で難破して無人島に漂着した男が、12年の歳月を経て再び生還したという実話を元にして書かれた、
吉村昭原作長編ドキュメンタリー小説の映画化。
無人島(現在の南鳥島)をスクリーンに描き出すために、
南方洋上トカラ列島の諏訪之瀬島や、シロカツオ鳥の生息するスコットランドのバスロック島、
そして、火山のシーン等に、伊豆諸島の大島をロケーションしている。
天候に左右された非常に大変な撮影で、足場が悪いうえに寒い中、褌一枚という格好で裸足のまま芝居しなければならず、
撮影というよりは、サバイバルに近かったという。
期限なしの製作進行で、膨大な時間と製作費をつぎ込んだが、内容が地味だったために興行的にはあまり成功しなかった。



【岸田森の役】

儀三郎

長平(北大路欣也)が漂着した無人島に、後から漂着した船の船頭。
学があり、先に漂着していた長平の意見を尊重して共同生活を行う。
狼煙台を作ったり、持ってきた朝顔の種を植えたりと、知性的な活動を見せる。
脱出する時の船を設計したのも儀三郎だった。
また、島を出るときに、また漂流して来る人がいた時のために、
生活する知恵を書き付けた板を残すという気配りも見せる。
年長者の役なので、終りの頃は杖を手放さないで演技をしていた。



関連作品

森谷司郎

弾痕  (昭和44年1969
森村誠一シリーズ「腐蝕の構造」 (蝕の「食」は、旧字体)  第1回  (昭和52年1977
動乱(昭和55年1980







昭和56年6月21日(日)公開


モーニング・ムーンは粗雑に

アミューズ・シネマ・シティ・コーポレーション製作スーパー・ハリウッド配給
上映時間98分カラー作品 ビスタサイズ
監 督渡辺正憲脚 本小林竜雄


【出演】

斉藤淳之介(ツギ)高樹澪(ミオ)范文雀(栞)新井康弘(岩瀬)岸田森(一条)
パティ・シュナイダー(スーザン)大橋吾郎久保益美うえだ峻古谷一行(九鬼)
高橋洋子(霧子)渡瀬恒彦(草壁)   


【物語】

4月のある日、ツギ(斉藤淳之介)は、前から欲しかった中古のアメ車ダッジを手に入れた。
試し乗りを兼ねて、ツギはバイト先のバーのマスター草壁(渡瀬恒彦)の用事で、音楽プロデューサー一条(岸田森)の元に向かう。
一条は、ツギに自作の歌を唄うミオ(高樹澪)を紹介した。
ミオの曲は音楽祭の予選を一位で通過した。
しかし、歌をテープに録音だけすると、ミオは音楽祭出場を辞退するというのだ。
テープは、妻子と別れて来日して来るアメリカ人の恋人にプレゼントするという。
ツギは愛車にミオを乗せて成田空港へと向かった。
しかし、そこで出会った恋人は、妻子を同伴していて、前に進み出た彼女を避けるようにして去ってゆく。
ツギは、ミオを連れて草壁の店に戻った。
そして、ミオを置いて、草壁の愛人、栞(范文雀)と共にドライブ、事故で車は大破してしまう。
その日遅くなって店に戻ると、ミオはまだ残っていた。
ツギは、ミオをボロボロになった車に乗せて、ホテルへと行く…



【解説】

日曜日の午後から月曜日の朝までの17時間を舞台に、
青年ツギ(斉藤淳之介)と、ミオ(高樹澪)の偶然の出会いを描く、新しいタイプの青春映画。
当時の世相を反映して、非常に淡々とした描かれ方をしている。
原作は、昭和55年に設けられた「ニッポン放送青春文芸賞」という、ラジオで募集された賞の第一回受賞作をベースにしている。
同賞受賞作品「無力の王」(粗谷日出美・作)と、同賞佳作「八月は夏の終わり」(東條雅紀・作)の、二本を合わせて脚色された。
企画は、サザンオールスターズの桑田佳祐が担当、
上映は、映画館ではなく、各地の演奏会ホールをネットした新しい方式で行われていた。
主人公の斉藤淳之介と高樹澪は、一万三千人の応募者から選ばれた新人だった。


【岸田森の役】

一条

音楽プロデューサー。
学生歌手ミオ(高樹澪)の才能を認め、
音楽祭に出場しないで成田へ行くという彼女を、ツギ(斉藤淳之介)に追わせた。
いかにも業界人という怪しい雰囲気で、
いきなり床に寝転んで話し出したりと、斉藤淳之介と共に、やりたい放題の変な芝居を見せる。
始まってすぐの数シーンに出演。登場時間はあまり長くない。








昭和56年7月18日(土)公開


太陽戦隊サンバルカン

東映東京製作東映配給
上映時間29分カラー作品 ビスタビジョンサイズ
監 督東条昭平原 作八手三郎脚 本上原正三


【出演】

五代高之
(バルイーグル/飛羽高之)
杉欣也
(バルシャーク/鮫島欣也)
小林朝夫
(バルパンサー/豹朝夫)
根本由美(嵐山美佐)岸田森(嵐山長官)
須賀沢真理子徳石光浩一柳みる星景太武田弘樹
伊藤巧美山口由美村尾由紀子富岡香織新堀初男
柴原孝典伊藤久二康日下秀昭沢田祥二村山潤
喜多川務東山茂幸甲斐道夫猿渡幸太郎釼持誠
山本亨渡辺実竹田道弘藤川聡山田一善
佐藤浩卯木浩二青山隆裕曽我町子(へドリアン女王)賀川雪絵(アマゾンキラー)
東まり子(ゼロツー)宇多川由紀(ゼロスリー)広京子(ゼロフォー)大平透(ナレーター) 


【物語】

世界征服を企む機械帝国ブラックマグマは、帝国の建国記念日を祝うために、
東京中に花火を仕掛け、空から爆撃するという「東京花火ショー作戦」を立てた。
この作戦を成功させるために、アマゾンキラー(賀川雪絵)達は、サンバルカン分断作戦を実行に移す。
子供を人質にとり、バルイーグル(五代高之)だけを、奥浜名湖へとおびき出すことに成功した。
東京で花火爆弾を回収し終わったバルシャーク(杉欣也)、バルパンサー(小林朝夫)は、事態に気づき、急いで救出に向かった。


【解説】

テレビシリーズ
『太陽戦隊サンバルカン』(昭和561981 年)の劇場用新作。
東映映画で、夏休みに子供向け作品を上映した際に同時上映された短編映画で、
ほかには『ドラえもん ぼく桃太郎のなんなのさ』『21エモン 宇宙へいらっしゃい!』
『Dr.スランプ・アラレちゃん ハロー!不思議の島の巻』と同時上映された。
レギュラーキャストは、大幅に変更になった後半のキャスト。
奥浜名湖が舞台になっていることから、
テレビシリーズ第24話「浜名湖のネッシー」(昭和561981 年7月18日(土)放映)と同じ時期の撮影と思われる。
劇場用映画なので、アクションシーンなどがテレビシリーズよりもパワーアップされ、見ごたえがある仕上がりだ。

【岸田森の役】

嵐山長官

太陽戦隊サンバルカンの創設者であり隊長。
普段はスナック・サファリのマスターとして生活しているが、一度事件が起きると、隊長に早変わりする二重生活を送っている。
司令室3シーンと、スナック一シーンの計4シーンのみの出演。
浜名湖のロケには参加していない。



関連作品


太陽戦隊サンバルカン 全50話 (昭和56年1981








昭和56年12月19日(土)公開


近頃 なぜか チャールストン





喜八プロダクション=
日本アート・シアター・ギルド製作
日本アート・シアター・ギルド配給
上映時間116分白黒作品 スタンダード
監 督岡本喜八脚 本岡本喜八利重剛


【出演】

利重剛(小此木次郎)古館ゆき(タミ子)財津一郎(大作刑事)本田博太郎(中町刑事)岸田森(内閣書記官長)
寺田農(殺し屋・飯室)殿山泰司(文部大臣)今福将雄(外務大臣)堺左千夫(逓信大臣)千石規子(大蔵大臣)
小畠絹子(小此木政子)中村たつ(大作の妻・トク)伊佐山ひろ子(パブのママ)平田昭彦(寺尾市会議員)滝田裕介(警察署長)
藤木悠(小此木宗親)山崎義治(小此木一郎)長谷川弘(商店街のおやじ)根本由美(襲われる女)黒沢正義(消音銃の殺し屋)
速水典子(婦人警官)花田優吉(白バイの警官)小菅啓美舛方勝宏河崎博司
浅野泰行桜井勝石原昇竹本和正河合信芳
藤田直人田中一田中邦衛(陸軍大臣)小沢栄太郎(総理大臣) 


【物語】

1981年8月6日、自称「独立非行少年」小此木次郎(利重剛)は、婦女暴行未遂でブタ箱に入れられた。
そこで、国会議事堂の議員食堂で無銭飲食をして捕まった中高年達の一団と出会う。
彼らは、自分たちの事を、独立国家「ヤマタイ国」の国民と称し、傍若無人の生活をしていた。
出所した次郎は、この老人達の盗みの濡れ衣を着せられ、すぐに警察署に逆戻りしてしまう。
この落とし前を付けようと、老人達がヤマタイ国と称している邪馬臺荘へと出向く。
そこは何と、蒸発中の次郎の父親(藤木悠)が、去年の12月6日に、彼等に無償提供していた家だった。
しかも、次郎の母親(小畠絹子)が8月15日までに立ち退きを迫っていた。
そして、あろう事か、邪馬臺荘の地下には、第二次世界大戦中の不発弾が眠っているという。
そこへノコノコと乗り込んだ次郎は、小此木家の人間と判った途端、スパイ容疑で死刑にされそうになる。
しかし、次郎が亡命して帰化すると言い出すと、労働大臣を任ぜられ、住人達の下働きを押し付けられた。
老人達と若者の奇妙な共同生活が始まる。


【解説】

勝手に独立国家を作り、傍若無人の生活をしている7人の老人達と、
ふとした弾みで同居する事になった非行少年が巻き込まれる事件を、戦争の影をにじませながら描く岡本喜八監督製作の喜劇映画。
13年前に、同じATGで製作した傑作『肉弾』(昭和431968 年)や、
東宝映画で製作した『独立愚連隊』(昭和341959 年)に登場した、バイタリティ溢れる兵隊や慰安婦たちが、
もし今生きていたら、国を見限って勝手に独立国でも作っているのではないかというのが、この物語の発想の原点。
独立愚連隊シリーズの常連、堺左千夫が、非行老人たちの一人として出演しているのが嬉しい。
この映画は「新一千万円映画」と銘打たれて公開された。
これは一時期途絶えていた、ATG一千万円映画をもう一度作ろうという企画。
諸物価が値上がりしたこともあって、結局総製作費は一千六百万円かかってしまい、
監督は、自宅を抵当に入れて製作費を工面した。
撮影は昭和56年8月22日〜昭和56年9月13日の正味19日間という、信じられない程の早撮りで進行。
多い日は、一日に90カットくらい撮影している。
ロケ地は、岡本喜八監督の自宅や持ちビルが使われ、16mmフィルムで撮影、最後に35mmフィルムにブローアップする方法が採られた。

映画の公開は、渋谷パルコに特設されたシネマプラセットで一本立て上映された。
シネマプラセットとは、移動可能のエア・ドームで、
鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』(昭和551980 年)『陽炎座』(昭和561981 年)等も、ここで上映された。
脚本と主演を兼ねている利重剛は、’81PFF(ぴあフィルムフェスティバル)入選者で
『三年B組金八先生』等で有名な脚本家、小山内美江子の息子。
現在では俳優として活躍している。
ちなみに、チャールストンとは、1920年代にアメリカ南部の町チャールストンで起こったダンス形式。
第一次世界大戦後に世界的に大流行する。
映画では、近頃流行のチャールストンが、世の中の右傾化の象徴として使われていた。


【岸田森の役】

内閣書記官長

勝手に作った独立国家ヤマタイ国の一人。
住人達は、始め遊びのつもりで始めた独立国家ごっこだったが、そのうちに本格化、組閣ごっこを始める。
内閣書記長官の本名は持田と言い、元呉服屋の番頭だった。
そのために、いつも和服で過ごしている。
フリルの付いた日傘を持参し、丸眼鏡をかけ、オカマ言葉で喋るという非常に悪ノリした役作りをしていた。
喧嘩の仲裁に回ることが多い常識人だが、配達された牛乳を勝手に持ち去ったりという非行面も見せる。
見せ場は、市会議員(平田昭彦)を徹底的に麻雀でカモにするシーンで、実に楽しそうに議員をたたきのめしていた。
ちなみに内閣書記官長は、今の官房長官の事。





関連作品


岡本喜八

斬る  (昭和43年1968
赤毛  (昭和44年1969
座頭市と用心棒 (昭和45年1970
激動の昭和史 沖縄決戦 (昭和46年1971
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 (昭和47年1972
青葉繁れる (昭和49年1974
吶喊(とっかん) (昭和50年1975
金曜スペシャル「時効まで後26日!実録・三億円事件」 (昭和50年1975
姿三四郎  (昭和52年1977
ダイナマイトどんどん  (昭和53年1978
ブルークリスマス  (昭和53年1978
英霊たちの応援歌  (昭和54年1979
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」  (昭和56年1981



































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