| 監 督 | 実相寺昭雄 | 脚 本 | 実相寺昭雄 | 武末勝 |
【出演】
| 岸田森（歌麿） | 山城新伍（嶺山月） | 成田三樹夫（蔦屋重三郎） | 岡田英次（田沼意次） | 内田良平（風来山人） |
| 中丸忠雄（志水燕十） | 玉川伊佐男（檜前屋宗兵衛） | 小林昭二（橘左近） | 尾藤イサオ（源太） | 堀内正美 |
| 寺田農（影師申吉） | 菅貫太郎（北斎） | 樋浦勉（摺師万平） | 富川澈夫（郡主膳） | 村松克己（乞食） |
| 小沢幹雄 | 蔵一彦 | 河原裕昌 | 内田勝正 | 上條慎五 |
| 仲谷昇（松平定信） | 田村亮（佐野善左衛門） | 東野英心（赤石丹後守） | 岸田今日子（お千佳） | 瑳峨三智子（大奥老女） |
| 長嶺ヤス子（巫女） | 中川梨絵（朱雀） | 八並映子（夜鷹） | 太田美緒（おその） | 渡辺とく子（沢乃井） |
| 永野裕紀子（おふみ） | 鹿沼えり（お美代） | 夏樹レナ | 桜井浩子（お志麻） | 緑魔子（お涼） |
| 三田和代（お奈津） | 平幹二朗（市川団鶴・夢の浮橋） |
【物語】
材木問屋・飛騨屋の蔵から、献上品の茶碗が盗まれ、壁にはただ一文字「夢」とだけ書き残されていた。
江戸っ子の喝采を浴びている「夢の浮橋」（平幹二朗）の犯行である。
夢の浮橋は、役人に追われ料理茶屋に逃げ込むが、そこには歌麿（岸田森）ら風流人仲間が集まっていた。
匿われた浮橋は、さっそうと礼を言って去ってゆく。
ある日歌麿は、版元の蔦屋（成田三樹夫）に、女が描けていないと言い放たれる。
考え込む歌麿を見て、狂歌仲間達は、彼に交合図を覗かせようと吉原へ連れ込む。
だが、やはり美人画は描けなかった。
ある時、歌麿は高貴で美しい女性に出会う。
この女性の美しさを描こうと焦る心とは裏腹に、筆は一向に進まない。
思い余った歌麿は、町から乞食（村松克己）を連れ帰り、妻のお奈津（三田和代）を襲わせる。
犯される妻の姿を見れば、何かが掴めるかもしれないと思ったのだ。
だが、歌麿は耐えきれなくなって家から飛びだしてしまう。
翌日、家へ帰ってくると、妻の姿はなかった…。
【解説】
天明の世、田沼意次の力が最も大きかった時代。
世界的に有名な浮世絵師、喜多川歌麿（岸田森）を主人公にして、
絢爛豪華な江戸文化の華やかさを背景に様々な登場人物が入り乱れる人間絵巻を映像化した作品。
海外との映画製作を続けてきた日本ヘラルド映画が、海外配給を目指して製作した、初めての自主製作作品。
実相寺昭雄監督が、今までの自主製作映画ではなく、大手資本で初めて劇場用映画を作り上げた作品である。
カンヌ映画祭にも出品され、メインキャスト達は、実際にカンヌまで行った。
登場人物は、歌麿のほか、人気役者であり怪盗でもある夢の浮橋（平幹二朗）、
浮世絵の版元、蔦屋十三郎（成田三樹夫）、風来山人こと平賀源内（内田良平）等、実在と架空の人物が入り乱れている。
編集の違う海外版があり、夢の浮橋と嶺山月（山城新伍）の決闘シーンがラストシーンになっている。
【岸田森の役】
喜多川歌麿
数少ない主役作品のうちの一本。
世界的に有名な浮世絵師。
実際に多数の枕絵を残した歌麿を、花鳥風月は巧いが女が描けないという、史実とは正反対の人物に設定した。
余りにもまじめなために、女を描こうと、自分の妻を乞食に襲わせて、その情景を浮世絵に描こうとしたりする。
謎の絵師、写楽の絵に衝激を受け、旅に出るが、
その後、自分たちを庇護してくれていた田沼意次が失脚、仲間達とともに投獄される。
夢を追い求めながらも、リアルな傍観者であるという、難しい役柄を、能面のようなメイクで、繊細に演じている。
関連作品
１１ＰＭ「女がしびれる偉大なオトコ！？あの歌麿に熱―い視線」（昭和５２年1977）
実相寺昭雄
近鉄金曜劇場 芸術祭参加作品 ｢正塚の婆さん｣ （昭和３８年1963）
怪奇大作戦 全２６話 （昭和４３年1968）
第２８話「ウルトラ特攻大作戦」 （昭和４６年1971）
曼陀羅 （昭和４６年1971）
哥 （昭和４７年1972）
シルバー仮面ジャイアント（昭和４７年1972）
あさき夢みし （昭和４９年1974）
ＣＭ演出「Ｓ＆Ｂスナックチップ」 （昭和５２年1977）
ＣＭ企画「Ｓ＆Ｂ」スナックトースト野球篇」 （昭和５３年1978）
ＣＭ企画Ｓ＆Ｂスナックトースト 外野フライ篇 （昭和５４年1979）
昭和52年10月29日（土）公開
姿三四郎
| 東宝映画製作 | 東宝配給 |
| 上映時間143分 | カラー作品 シネマスコープ |
| 監 督 | 岡本喜八 | 原 作 | 富田常雄 | 脚 本 | 隆巴 | 岡本喜八 |
【出演】
| 三浦友和（姿三四郎） | 秋吉久美子（村井乙美） | 仲代達矢（矢野正五郎） | 中村敦夫（檜垣源之助） | 田中邦衛（安吉） |
| 草笛光子（お仙） | 浅野ゆう子（門馬おすみ） | 岸田今日子（おもん） | 中谷一郎（門馬三郎） | 矢吹二朗（檜垣鉄心） |
| 宮内洋（檜垣源三郎） | 神崎愛（南小路高子） | 岸田森（折口大助） | 山本麟一（問屋柔山） | 田崎潤（三島通庸） |
| 丹波哲郎（飯沼恒民） | 芦田伸介（南小路光康） | 伊藤敏孝（津崎公平） | 福崎和宏（留） | 香川良介（村長） |
| 常田富士男（原口天明） | 砂塚英夫（質屋の番頭） | 草野大悟（「たつみ」親方） | 藤岡麻里（タミ） | 佐久間宏則（新関虎之助） |
| 大木正司（八田） | 長谷川弘（巡査） | 村松克己（憲兵中尉） | 森田川利一（壇義磨） | 川本高大（戸田雄次郎） |
| 隆大介 | 小川真司（仙吉） | 明石潮 | 斉藤英雄 | 伊吹新太郎 |
| 伊吹徹 | 川口節子（看護婦） | 伊奈貫太 | 中山剣吾 | 岡元裕次 |
| ダン・ケニー（ドクトル） | 鈴木朗（山下） | 水野悟郎（吉野） | 中山宏通 | 大島大 |
| 原田君事（憲兵軍曹） | 若山富三郎（村井半助） | 森繁久彌（玄沙和尚） |
【物語】
会津生まれの姿三四郎（三浦友和）は、先輩の安吉（田中邦衛）と共に東京へ出てきた。
文明開化に湧いている東京で、三四郎は車挽きとして生活を始める。
三四郎は、柔術の師を求め、門馬三郎（中谷一郎）の門をたたく。
だが、入門した日、門馬一門は、矢野正五郎（仲代達矢）に全員で闇討ちをかけようとしていた。
柔術ではなく、理論的な「柔道」の確立を目指す正五郎は、多くの柔術家の反感を買っていたのだ。
闇討ちは失敗に終わる。正五郎の腕には、多人数での闇討ちでも全く敵わなかった。
三四郎は、その場で正五郎に弟子入りをする。
稽古を始めると、三四郎は見る間に上達、「山嵐」という彼にしか出来ない技も編みだす。
そんな時、警視庁武術師範の座を賭けて、村井半助（若山富三郎）と闘うことになるが、
半助の娘、乙美（秋吉久美子）は、そのことを知らずに三四郎に好意を寄せていた。
【解説】
岡本喜八監督が、黒澤明監督のデビュー作『姿三四郎』（昭和181943年）のリメイクに挑んだ作品。
この作品が『姿三四郎』の戦後４本目のリメイク作品に当る。
明治１５年から２０年頃の文明開化華やかな頃を舞台に、
西洋文化へと走ってゆく人々の中で、日本の心を失わなかった人々が、
衰退しつつある柔術を「柔道」として体系づけ、完成させる姿を、
矢野正五郎門下の姿三四郎の活躍を通して描く。
ストーリーは、黒澤明監督作品『姿三四郎』と『續姿三四郎』（昭和201945年）を合わせた作品となっている。
黒澤明が姿三四郎の物語に焦点を当てていたのに比べて、
岡本監督は、たくさんの登場人物を三四郎に絡めることにより、物語を多角的に描き出している。
三四郎の敵、檜垣源三郎（中村敦夫）を、右翼につながる政治家として描き出す新解釈を加えていた。
所々に、黒澤明作品を意識した演出かあって、両作品を見比べてみると楽しい。
【岸田森の役】
折口大助
一刀流の達人。
富国強兵論者の原口（常田富士男）に雇われ、
洋行帰りの穏健派子爵、南小路（芦田伸介）と、そこに出入りする姿三四郎（三浦友和）を狙う。
三四郎に斬り付けるが、逆に押さえ付けられて腕を折られる。
着流しで不気味に登場して活躍が期待されるのだが、わずか２シーンのみの出演だった。
関連作品
岡本喜八
斬る （昭和４３年1968）
赤毛 （昭和４４年1969）
座頭市と用心棒 （昭和４５年1970）
激動の昭和史 沖縄決戦 （昭和４６年1971）
にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 （昭和４７年1972）
青葉繁れる （昭和４９年1974）
吶喊(とっかん) （昭和５０年1975）
金曜スペシャル「時効まで後２６日！実録・三億円事件」 （昭和５０年1975）
ダイナマイトどんどん （昭和５３年1978）
ブルークリスマス （昭和５３年1978）
英霊たちの応援歌 （昭和５４年1979）
時代劇スペシャル 「着ながし奉行」 （昭和５６年1981）
近頃 なぜか チャールストン （昭和５６年1981）